夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第三十四話 偽りの神
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夏目が去った後、白笠衆の一人に案内されて別のところへと案内した。
そこから数十分後──。
ごろ~ん! ごろ~ん!
大きな音が聞こえた。
『大鈴の音──。祭りが始まった』
案内してくれた妖が呟く。
『夏目様が身代わりを引き受けてくださらなければこの時、すでに負けが決まるところでした』
「結構危なかったのね……」
山が枯れるだなんて冗談じゃない。そういう意味では余裕ができたともいえる。
「──勝負がつくまでに豊月を探す時間ができたってわけだ」
名取も同じことを考えたのか呟く。
『はい。急いで探さねば』
「そうだね。急いで探そう」
白笠と美結花は探そうと別のところへと向かおうとした。
「一つ確認なんだが」
『はい』
白笠が振り向く。
「豊月神は本当に封印されたのか?」
「名取さん!?」
なんてことを聞くのかと美結花は驚いた。
白笠の動きが止まる。
『どういう意味でございましょう?』
「封印されたっていつのことだい?」
名取の追及は止まらない。
「ずいぶん土壇場な行動じゃないかい。もっと早く動くこともできたんじゃないのか? ──彼の妖力の強さや人のよさに付け込んで何か良からぬことでも企んでいるんじゃないかと思ってね。本当は豊月神はいなくなったんじゃないのか?」
名取が笑顔で訊く。
「名取さん、違う……。そんなわけない……」
美結花は首を横に振る。
あの必死のお願いがそんな黒い思いをはらんだものではないと思った。
「時の流れや信仰の薄れで力も衰え祓い人に祓われてしまったか、黒衣たちが言った通り、この山やお前達が面倒になり、この地を捨てて去ったか……。残され困ったお前たちは夏目を連れてきて騙し、本物の豊月神に仕立て上げる気ではないだろうな」
「…………」
あたりを沈黙が襲った。
(でも私は?)
本当に夏目を豊月神に仕立て上げるつもりだったら美結花は連れてこないだろう。
『──なるほど。それは名案ですな』
白笠の言葉に名取が警戒する。
『ふふふ』
その様子に白笠は笑う。
『失礼。冗談でございます。しかし豊月様が封じられたのは本当で…三年ほど前のことです。ぎりぎりになったのは我々が思い違いをしていたからです』
「思い違い?」
「何を?」
二人は訊いた。
『──月分祭で勝った神は森深い奥の祠を宿とし山や里を見守っておりましたが、確かに人の信仰も薄れ、面白みのない日々を送っておられるかとも感じておりました。そんなころ、理も陸に知らぬ祓い人が腕試しのつもりでしょう。妖多きこの森に入り、たまたま見つけた豊月様を封じて去っていったのです』
「迷惑な奴っているものね……」
佐貝が毒つく。
『封じられた石はこの山のどこかへと飛んでしまい、我々は慌てて探し回りました。…しかし…封じたのは下級の祓い人。子供だましのような簡易な封印のようでした。あの程度の封印を解けぬお方ではないのです』
(名取さんや水崎さんが上級だとするとかなり下の祓い人がしたってこと?)
美結花はそう考えた。
話は続く。
『──それゆえ祠で山を守るのに飽きてしまわれていて、しばらくは封印の中でお休みになり、また楽しい祭りが始まる頃にはきっと姿を現してくださるだろうと……祠をお守りながら我々は待ってしまったのです』
「なるほどねえ……。ただ石の中で待っているとは限らない。強い神ならとっくの昔に破って去ってしまっているだろうよ」
「佐貝!」
なんてことを言うのだと佐貝を睨みつける。
『はい。豊月様が戻られたら祭りは今回を最後にしましょうと役目を終えたらまた旅に出ましょうと申し上げるつもりでしたが……。あなた方がいうとおり、もうとっくの昔に封印など破ってしまって──この地を去ってしまわれたかもしれない』
その姿は寂しそうだった。
『─しかし、しかし去ったとは限らぬのだろう。思わぬほど封印がきつく、お前たちの助けを待っているのかもしれない』
柊が白笠に話しかける。
『お前たちを残して去るような主だったのか? 仮にも使えようと決めたのなら主を信じろ』
「柊の言う通りだよ。助けを必要としているかもしれない。探してからなぜ出てこなかったのか真意を訊こう?」
その言葉に白笠は救われたようだった。
「──で封印がほどこされたあたりってのはどこだい?」
名取が気を取り直して訊いた。
『はい。こちらです』
白笠が案内する。
そこから数十分後──。
ごろ~ん! ごろ~ん!
大きな音が聞こえた。
『大鈴の音──。祭りが始まった』
案内してくれた妖が呟く。
『夏目様が身代わりを引き受けてくださらなければこの時、すでに負けが決まるところでした』
「結構危なかったのね……」
山が枯れるだなんて冗談じゃない。そういう意味では余裕ができたともいえる。
「──勝負がつくまでに豊月を探す時間ができたってわけだ」
名取も同じことを考えたのか呟く。
『はい。急いで探さねば』
「そうだね。急いで探そう」
白笠と美結花は探そうと別のところへと向かおうとした。
「一つ確認なんだが」
『はい』
白笠が振り向く。
「豊月神は本当に封印されたのか?」
「名取さん!?」
なんてことを聞くのかと美結花は驚いた。
白笠の動きが止まる。
『どういう意味でございましょう?』
「封印されたっていつのことだい?」
名取の追及は止まらない。
「ずいぶん土壇場な行動じゃないかい。もっと早く動くこともできたんじゃないのか? ──彼の妖力の強さや人のよさに付け込んで何か良からぬことでも企んでいるんじゃないかと思ってね。本当は豊月神はいなくなったんじゃないのか?」
名取が笑顔で訊く。
「名取さん、違う……。そんなわけない……」
美結花は首を横に振る。
あの必死のお願いがそんな黒い思いをはらんだものではないと思った。
「時の流れや信仰の薄れで力も衰え祓い人に祓われてしまったか、黒衣たちが言った通り、この山やお前達が面倒になり、この地を捨てて去ったか……。残され困ったお前たちは夏目を連れてきて騙し、本物の豊月神に仕立て上げる気ではないだろうな」
「…………」
あたりを沈黙が襲った。
(でも私は?)
本当に夏目を豊月神に仕立て上げるつもりだったら美結花は連れてこないだろう。
『──なるほど。それは名案ですな』
白笠の言葉に名取が警戒する。
『ふふふ』
その様子に白笠は笑う。
『失礼。冗談でございます。しかし豊月様が封じられたのは本当で…三年ほど前のことです。ぎりぎりになったのは我々が思い違いをしていたからです』
「思い違い?」
「何を?」
二人は訊いた。
『──月分祭で勝った神は森深い奥の祠を宿とし山や里を見守っておりましたが、確かに人の信仰も薄れ、面白みのない日々を送っておられるかとも感じておりました。そんなころ、理も陸に知らぬ祓い人が腕試しのつもりでしょう。妖多きこの森に入り、たまたま見つけた豊月様を封じて去っていったのです』
「迷惑な奴っているものね……」
佐貝が毒つく。
『封じられた石はこの山のどこかへと飛んでしまい、我々は慌てて探し回りました。…しかし…封じたのは下級の祓い人。子供だましのような簡易な封印のようでした。あの程度の封印を解けぬお方ではないのです』
(名取さんや水崎さんが上級だとするとかなり下の祓い人がしたってこと?)
美結花はそう考えた。
話は続く。
『──それゆえ祠で山を守るのに飽きてしまわれていて、しばらくは封印の中でお休みになり、また楽しい祭りが始まる頃にはきっと姿を現してくださるだろうと……祠をお守りながら我々は待ってしまったのです』
「なるほどねえ……。ただ石の中で待っているとは限らない。強い神ならとっくの昔に破って去ってしまっているだろうよ」
「佐貝!」
なんてことを言うのだと佐貝を睨みつける。
『はい。豊月様が戻られたら祭りは今回を最後にしましょうと役目を終えたらまた旅に出ましょうと申し上げるつもりでしたが……。あなた方がいうとおり、もうとっくの昔に封印など破ってしまって──この地を去ってしまわれたかもしれない』
その姿は寂しそうだった。
『─しかし、しかし去ったとは限らぬのだろう。思わぬほど封印がきつく、お前たちの助けを待っているのかもしれない』
柊が白笠に話しかける。
『お前たちを残して去るような主だったのか? 仮にも使えようと決めたのなら主を信じろ』
「柊の言う通りだよ。助けを必要としているかもしれない。探してからなぜ出てこなかったのか真意を訊こう?」
その言葉に白笠は救われたようだった。
「──で封印がほどこされたあたりってのはどこだい?」
名取が気を取り直して訊いた。
『はい。こちらです』
白笠が案内する。
