夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第二十四話 矢を射るもの
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「! 夏目」
「! 美結花!」
名取と水崎が叫ぶ。
「おや、失礼。妖がごちゃごちゃいたのでどれがどれやら。その子たちに当てる気はなかったんですが。…かばったということはそれはその子たちの子分ですか? すごいな」
悪びれもせず的場はそう言った。彼の手には弓矢があった。
「お前……!」
水崎が的場を睨みつける。
怪我をさせておいて悪びれもしない態度が癇に障ったのだ。
「私でさえこの場所を知ろうと紙面の妖について回ったり、妖に後を追わせたりしたが、中々たどり着けなかったというのにちょっと泳がせてみればすぐにこの場所をみつけてくれた。──さて式として使えるかこいつが動いている所をみてみたいですね」
「う……」
「う…あ……」
的場がべらべらと話しているが、美結花には聞いている余裕はなかった。
無理して走ったためにひねった足が痛いし、矢がかすった腕も痛い。
その様子をみた佐貝はゆらりと立ち上がった。同時に先生も立ち上がる。
『小僧…。身の程を知らぬものよ。覚悟するがいい……』
『そこの若造……。身の程知らずなものよ……。大事なものを傷つけられた覚悟をしなさい……!』
荒い息を吐きながら的場を見る。暴走状態にありそうだった。
(まずいな……暴走している……血も出ているし……)
水崎は暴走状態の妖二匹というこの状況に冷や汗をかいていた。
暴れる先生と佐貝から血がぱたぱたと流れ落ちる。
「先生!」
「佐貝!」
痛みでうめいていた二人は先生たちが暴れていることにきづき、名前を呼ぶ。
「佐貝! 落ち着いて! このままだと怪我が酷くなっちゃう……! やめて!」
「先生! 落ち着け! あまり動くな。血が出ているんだ。傷が広がってしまう!」
二人の言葉に先生と佐貝の動きが止まる。
「夏目! 大丈夫か!?」
「美結花! 怪我は大丈夫!? 足の方は!?」
名取と水崎が声をかける。
「──すみません。かすっただけです。それより先生が……」
「──腕の方は大丈夫です。それよりも佐貝を何とかしないと……」
自分たちの怪我より二匹の安否を夏目たちは気にした。
「先生!」
「佐貝!」
そのままにらみ合う。
「ちっ。命拾いしたな。的場とやら」
「本当にね。今回は見逃すわ」
依代の姿に戻った先生たちが吐き捨てる。
「──なんだ。つまらないですね」
的場はどことなくつまらなさそうだ。
それを美結花は睨みつけた。
気に食わないと思ったのだ。
だが今はそれを気にしている場合ではなかった。
「佐貝! 血が出ている! 大丈夫!?」
「大丈夫よ。なめときゃ治る。それよりあなたの方が心配よ。足ひねっているでしょ……」
「えへへ。大丈夫……」
本当は大丈夫じゃなかったが、心配させまいと無理してほほ笑む。
「大丈夫じゃないでしょうに……。おい。お前、手当て」
「わ、分かっている……!」
水崎がわたわたと美結花の手当てをする。
今まで手当ての余裕はなかったが、ひねった足と怪我をした腕に軽い処置を施す。
「まったく無茶をして……」
「佐貝が危ないと思ったの……。それよりも佐貝の血があんなに……」
美結花が地面に流れ落ちた佐貝の血を示す。
すぐそばにはニャンコ先生の血が落ちていた。
しかしその血はしゅるしゅると動いていった。
「!?」
美結花は驚愕して佐貝を見た。
「佐貝って妖怪だったのね……。血が蛇みたいに動いて……」
「馬鹿! 私だってあんなに動いている血が体の中を流れていたら気持ち悪いわよ!」
佐貝が突っ込む。
向こうで先生が夏目に同じように突っ込んでいるのが聞こえた。
「美結花! 呪文が……」
水崎が女の人の方を指す。
彼女はぶつぶつと呪文を唱えていた。
「本当だ。壺の中が空になっている……」
名取の言う通り、壺の中にある血が呪文に従って動いて、妖の口の中に入った。
「しまった! 目覚めの儀式が始まってしまったか……」
「しまった。陣に落ちた猫ちゃんたちの血で目覚めてしまったか……」
水崎が焦り、名取が冷静に分析する。
「!!」
美結花は的場を見た。
(もしかしてわざと……?)
この妖を試したくて佐貝と先生を射ったのではないかということが頭から離れない。
『ぐおおおおお!』
大妖が目覚めて動き出す。
「きゃっ!」
地面が揺れ、座り込んでいる美結花は悲鳴を上げる。
「離れろ夏目、美結花。これはマズイ。ひどい毒気を放っている!」
「体に毒よ! さっさと離れないと……」
「でも……」
足が痛くて素早く動けそうになかった。
「ちょっとごめんよ……」
水崎は一言断ると美結花を抱き上げた。
「美結花さん!?」
「我慢して。この場から離れないと……」
安全な場所まで連れて行こうとしてくれた。
「お前のために血を集め陣を描いたのは私だ。さぁ、私のためにあの男を食べなさい」
大妖がぎょろりと術者の女の人を見た。
「さぁ、あの男を……」
しかし言う事を聞かずに手で攻撃され、倒れた。
「水崎さん……!」
「ああ……」
水崎は頷くと女の人の元へ連れて行ってくれた。
「大丈夫ですか!? しっかり……」
「もろに攻撃を受けたんだもの……。大丈夫かしら……」
夏目と美結花は女の人を心配する。
「息はある。大丈夫そうだ……」
水崎が息を確かめていった。
「無様ですね」
そこへ的場が冷たく声をかけた。
「妖祓いをやっていながら妖に情をうつして思慮に欠けた行いに走るとは。あげくがこれだ。あの妖は使えない。うちは撤退する」
引っ掻き回すだけ引っ掻き回しての撤退宣言だ。
「! おいあんた!」
「あんたねえ……!」
的場を睨みつけて二人は喰ってかかろうとする。
「夏目、美結花。かまうな。ここは危険だから外へ出なさい」
「そうだよ。あいつに構っている時間が惜しい。美結花も怪我をしているんだ。外に出た方が良い」
名取と水崎がなだめる。
「あの妖の毒気が充満している。さすがにこれが地上に出るのはまずい。封印してみる」
名取が言った。
「私の手伝いは必要?」
「いや。もしもの時のフォローを頼む」
「わかった」
水崎は頷いた。
「! なら俺も手伝います」
話しを聞いていた夏目が言った。
「一人よりは二人でしょう? 美結花は足を怪我しているし、先生や佐貝とここにいてくれ」
夏目はそう言って先生と佐貝と美結花の頭をなでた。
「夏目が手伝うとなると勝率は上がるかもしれない。私はここに毒気がいかないように術を張り巡らせるよ」
「ああ。頼むよ」
名取は水崎に頷いて大妖の方へと向かった。
(どうか無事で……)
足を怪我して走れない美結花は祈るような心地で夏目たちを見送った。
「! 美結花!」
名取と水崎が叫ぶ。
「おや、失礼。妖がごちゃごちゃいたのでどれがどれやら。その子たちに当てる気はなかったんですが。…かばったということはそれはその子たちの子分ですか? すごいな」
悪びれもせず的場はそう言った。彼の手には弓矢があった。
「お前……!」
水崎が的場を睨みつける。
怪我をさせておいて悪びれもしない態度が癇に障ったのだ。
「私でさえこの場所を知ろうと紙面の妖について回ったり、妖に後を追わせたりしたが、中々たどり着けなかったというのにちょっと泳がせてみればすぐにこの場所をみつけてくれた。──さて式として使えるかこいつが動いている所をみてみたいですね」
「う……」
「う…あ……」
的場がべらべらと話しているが、美結花には聞いている余裕はなかった。
無理して走ったためにひねった足が痛いし、矢がかすった腕も痛い。
その様子をみた佐貝はゆらりと立ち上がった。同時に先生も立ち上がる。
『小僧…。身の程を知らぬものよ。覚悟するがいい……』
『そこの若造……。身の程知らずなものよ……。大事なものを傷つけられた覚悟をしなさい……!』
荒い息を吐きながら的場を見る。暴走状態にありそうだった。
(まずいな……暴走している……血も出ているし……)
水崎は暴走状態の妖二匹というこの状況に冷や汗をかいていた。
暴れる先生と佐貝から血がぱたぱたと流れ落ちる。
「先生!」
「佐貝!」
痛みでうめいていた二人は先生たちが暴れていることにきづき、名前を呼ぶ。
「佐貝! 落ち着いて! このままだと怪我が酷くなっちゃう……! やめて!」
「先生! 落ち着け! あまり動くな。血が出ているんだ。傷が広がってしまう!」
二人の言葉に先生と佐貝の動きが止まる。
「夏目! 大丈夫か!?」
「美結花! 怪我は大丈夫!? 足の方は!?」
名取と水崎が声をかける。
「──すみません。かすっただけです。それより先生が……」
「──腕の方は大丈夫です。それよりも佐貝を何とかしないと……」
自分たちの怪我より二匹の安否を夏目たちは気にした。
「先生!」
「佐貝!」
そのままにらみ合う。
「ちっ。命拾いしたな。的場とやら」
「本当にね。今回は見逃すわ」
依代の姿に戻った先生たちが吐き捨てる。
「──なんだ。つまらないですね」
的場はどことなくつまらなさそうだ。
それを美結花は睨みつけた。
気に食わないと思ったのだ。
だが今はそれを気にしている場合ではなかった。
「佐貝! 血が出ている! 大丈夫!?」
「大丈夫よ。なめときゃ治る。それよりあなたの方が心配よ。足ひねっているでしょ……」
「えへへ。大丈夫……」
本当は大丈夫じゃなかったが、心配させまいと無理してほほ笑む。
「大丈夫じゃないでしょうに……。おい。お前、手当て」
「わ、分かっている……!」
水崎がわたわたと美結花の手当てをする。
今まで手当ての余裕はなかったが、ひねった足と怪我をした腕に軽い処置を施す。
「まったく無茶をして……」
「佐貝が危ないと思ったの……。それよりも佐貝の血があんなに……」
美結花が地面に流れ落ちた佐貝の血を示す。
すぐそばにはニャンコ先生の血が落ちていた。
しかしその血はしゅるしゅると動いていった。
「!?」
美結花は驚愕して佐貝を見た。
「佐貝って妖怪だったのね……。血が蛇みたいに動いて……」
「馬鹿! 私だってあんなに動いている血が体の中を流れていたら気持ち悪いわよ!」
佐貝が突っ込む。
向こうで先生が夏目に同じように突っ込んでいるのが聞こえた。
「美結花! 呪文が……」
水崎が女の人の方を指す。
彼女はぶつぶつと呪文を唱えていた。
「本当だ。壺の中が空になっている……」
名取の言う通り、壺の中にある血が呪文に従って動いて、妖の口の中に入った。
「しまった! 目覚めの儀式が始まってしまったか……」
「しまった。陣に落ちた猫ちゃんたちの血で目覚めてしまったか……」
水崎が焦り、名取が冷静に分析する。
「!!」
美結花は的場を見た。
(もしかしてわざと……?)
この妖を試したくて佐貝と先生を射ったのではないかということが頭から離れない。
『ぐおおおおお!』
大妖が目覚めて動き出す。
「きゃっ!」
地面が揺れ、座り込んでいる美結花は悲鳴を上げる。
「離れろ夏目、美結花。これはマズイ。ひどい毒気を放っている!」
「体に毒よ! さっさと離れないと……」
「でも……」
足が痛くて素早く動けそうになかった。
「ちょっとごめんよ……」
水崎は一言断ると美結花を抱き上げた。
「美結花さん!?」
「我慢して。この場から離れないと……」
安全な場所まで連れて行こうとしてくれた。
「お前のために血を集め陣を描いたのは私だ。さぁ、私のためにあの男を食べなさい」
大妖がぎょろりと術者の女の人を見た。
「さぁ、あの男を……」
しかし言う事を聞かずに手で攻撃され、倒れた。
「水崎さん……!」
「ああ……」
水崎は頷くと女の人の元へ連れて行ってくれた。
「大丈夫ですか!? しっかり……」
「もろに攻撃を受けたんだもの……。大丈夫かしら……」
夏目と美結花は女の人を心配する。
「息はある。大丈夫そうだ……」
水崎が息を確かめていった。
「無様ですね」
そこへ的場が冷たく声をかけた。
「妖祓いをやっていながら妖に情をうつして思慮に欠けた行いに走るとは。あげくがこれだ。あの妖は使えない。うちは撤退する」
引っ掻き回すだけ引っ掻き回しての撤退宣言だ。
「! おいあんた!」
「あんたねえ……!」
的場を睨みつけて二人は喰ってかかろうとする。
「夏目、美結花。かまうな。ここは危険だから外へ出なさい」
「そうだよ。あいつに構っている時間が惜しい。美結花も怪我をしているんだ。外に出た方が良い」
名取と水崎がなだめる。
「あの妖の毒気が充満している。さすがにこれが地上に出るのはまずい。封印してみる」
名取が言った。
「私の手伝いは必要?」
「いや。もしもの時のフォローを頼む」
「わかった」
水崎は頷いた。
「! なら俺も手伝います」
話しを聞いていた夏目が言った。
「一人よりは二人でしょう? 美結花は足を怪我しているし、先生や佐貝とここにいてくれ」
夏目はそう言って先生と佐貝と美結花の頭をなでた。
「夏目が手伝うとなると勝率は上がるかもしれない。私はここに毒気がいかないように術を張り巡らせるよ」
「ああ。頼むよ」
名取は水崎に頷いて大妖の方へと向かった。
(どうか無事で……)
足を怪我して走れない美結花は祈るような心地で夏目たちを見送った。
