夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第二十話 すれ違いの末に
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「すみませーん」
「ごめんくださーい」
礼儀を通して中へと入る。
「誰かいますかー?」
声をかけるが返事はない。
「…カイ。いないのか」
「む。床が抜けそうだな」
「確かに。あちこち抜けて今にも落ちそうよね。落ちないでよ、美結花」
佐貝がこちらを見てくる。
「落ちないよ!」
そんなドジはしないと美結花は憤慨した。
「何もいないな。あの人影はなんだったんだ」
「分からない。でもここちょっとぞっとする……」
美結花は腕をさすった。
彼女の勘が叫んでいる。ここは良くない場所だと。
「そういえば斑は?」
佐貝があたりをきょろきょろする。
「先生…? あそこ」
美結花が指さしたところにはニャンコ先生がいた。
彼は動けなくなっていた。
「どうした!? ニャンコ先生」
「先生、どうしたの!?」
二人は異変に気づいた。
(陣……? いったい何のために……)
陣を見ていると何かが動く音がした。
紙人形が動いて部屋の中に入ってきた。
『美結花! 危ない!』
佐貝が美結花を口にくわえてその場から離脱する。
「わあ──!」
夏目が悲鳴を上げる。
「貴志!?」
ぎょっとした美結花がみると紙人形に壁に貼りつけにされていた。
息ができなくて苦しそうだった。
すぐさま先生が本来の姿になって紙人形をちぎった。
『さがれ、夏目。まだ何かあるかもしれん』
「ああ」
先生の言葉に従って夏目がさがるが、後ろに穴があることに気づかずに落ちてしまう。
「! 手を!」
佐貝から降りて手を差し伸べようとするがそれより早く誰かが夏目をつかんだ。
「!?」
「カイ……!?」
夏目をつかんだのはカイだった。
「大丈夫? ナツメ」
カイは子供らしかぬ力で夏目を引き寄せる。
(今のは子供では出ないはずの力……。やっぱり妖なの……?)
美結花は夏目に駆け寄りながら不安そうにカイを見た。
「カイ……。カイは妖なのか?」
とうとうカイに妖かどうか訊いた。
「──そうだよ。やっぱりばれてしまったか」
そう言って笑うカイは妖のようだった。
いや、事実妖なのだろう。
「…でもナツメ、ミユカ。秘密にして。今のこのくらしを気に入っているんだ。それとも二人とも妖は嫌い?」
そんなことを訊いてくる。
「──カイが好きだよ」
「ううん。カイは好きだよ」
その言葉を聞いてカイはほほ笑んだ。
(しかしさっきの名取さんの妖用の罠かな……)
美結花は一瞬だけ罠のことを考えた。
「人の癖に妖用の罠に引っかかるとはおまぬけめ」
依代の姿に戻りながら先生が言った。
「そうそう。美結花も私がいなきゃかかってたもの」
「う。それはありがとう……」
美結花はお礼を言った。
「…先生の匂いがくっついていたせいだろ。カイはなぜここへ? また俺たちをつけて?」
「そう言えば……。さっきの人影はカイなのね……」
「ううん。この辺りに妖を何匹も封じ込めた井戸があるらしいんだ。それを見つけて仲間を増やそうと探していたら夏目と美結花がここに入っていくのが見えて……。あの忌々しい祓い人の罠にかかったら大変だと思って」
祓い人の罠とは先程の名取の罠のことだろう。心配してきてくれたのだ。
「ナツメ、ミユカ。ごめんね。俺、妖祓いに狙われているんだ。はじめはナツメがそうかと思ったし、次はミユカかなとも思ったけど違ってよかった。小賢しいし、ナツメを危ない目に合わせたし、ミユカももう少しで危ない目に合うところだった。…ああ。忌々しい、探し出して片付けてやろう」
「待って……! カイ……!」
「待て……! カイ……!」
二人がとめる間もなく、カイは風を起こして出ていってしまった。
『そろそろ君たちにとって大事なのは人なのか妖なのか決めたらどうだ』
名取の言葉が呪いのように頭に響く。
「カイ……」
「カイ……どうして……」
後に残された二人はただ名前を呟くしかできなかった。
「ごめんくださーい」
礼儀を通して中へと入る。
「誰かいますかー?」
声をかけるが返事はない。
「…カイ。いないのか」
「む。床が抜けそうだな」
「確かに。あちこち抜けて今にも落ちそうよね。落ちないでよ、美結花」
佐貝がこちらを見てくる。
「落ちないよ!」
そんなドジはしないと美結花は憤慨した。
「何もいないな。あの人影はなんだったんだ」
「分からない。でもここちょっとぞっとする……」
美結花は腕をさすった。
彼女の勘が叫んでいる。ここは良くない場所だと。
「そういえば斑は?」
佐貝があたりをきょろきょろする。
「先生…? あそこ」
美結花が指さしたところにはニャンコ先生がいた。
彼は動けなくなっていた。
「どうした!? ニャンコ先生」
「先生、どうしたの!?」
二人は異変に気づいた。
(陣……? いったい何のために……)
陣を見ていると何かが動く音がした。
紙人形が動いて部屋の中に入ってきた。
『美結花! 危ない!』
佐貝が美結花を口にくわえてその場から離脱する。
「わあ──!」
夏目が悲鳴を上げる。
「貴志!?」
ぎょっとした美結花がみると紙人形に壁に貼りつけにされていた。
息ができなくて苦しそうだった。
すぐさま先生が本来の姿になって紙人形をちぎった。
『さがれ、夏目。まだ何かあるかもしれん』
「ああ」
先生の言葉に従って夏目がさがるが、後ろに穴があることに気づかずに落ちてしまう。
「! 手を!」
佐貝から降りて手を差し伸べようとするがそれより早く誰かが夏目をつかんだ。
「!?」
「カイ……!?」
夏目をつかんだのはカイだった。
「大丈夫? ナツメ」
カイは子供らしかぬ力で夏目を引き寄せる。
(今のは子供では出ないはずの力……。やっぱり妖なの……?)
美結花は夏目に駆け寄りながら不安そうにカイを見た。
「カイ……。カイは妖なのか?」
とうとうカイに妖かどうか訊いた。
「──そうだよ。やっぱりばれてしまったか」
そう言って笑うカイは妖のようだった。
いや、事実妖なのだろう。
「…でもナツメ、ミユカ。秘密にして。今のこのくらしを気に入っているんだ。それとも二人とも妖は嫌い?」
そんなことを訊いてくる。
「──カイが好きだよ」
「ううん。カイは好きだよ」
その言葉を聞いてカイはほほ笑んだ。
(しかしさっきの名取さんの妖用の罠かな……)
美結花は一瞬だけ罠のことを考えた。
「人の癖に妖用の罠に引っかかるとはおまぬけめ」
依代の姿に戻りながら先生が言った。
「そうそう。美結花も私がいなきゃかかってたもの」
「う。それはありがとう……」
美結花はお礼を言った。
「…先生の匂いがくっついていたせいだろ。カイはなぜここへ? また俺たちをつけて?」
「そう言えば……。さっきの人影はカイなのね……」
「ううん。この辺りに妖を何匹も封じ込めた井戸があるらしいんだ。それを見つけて仲間を増やそうと探していたら夏目と美結花がここに入っていくのが見えて……。あの忌々しい祓い人の罠にかかったら大変だと思って」
祓い人の罠とは先程の名取の罠のことだろう。心配してきてくれたのだ。
「ナツメ、ミユカ。ごめんね。俺、妖祓いに狙われているんだ。はじめはナツメがそうかと思ったし、次はミユカかなとも思ったけど違ってよかった。小賢しいし、ナツメを危ない目に合わせたし、ミユカももう少しで危ない目に合うところだった。…ああ。忌々しい、探し出して片付けてやろう」
「待って……! カイ……!」
「待て……! カイ……!」
二人がとめる間もなく、カイは風を起こして出ていってしまった。
『そろそろ君たちにとって大事なのは人なのか妖なのか決めたらどうだ』
名取の言葉が呪いのように頭に響く。
「カイ……」
「カイ……どうして……」
後に残された二人はただ名前を呟くしかできなかった。
