夏目の従妹が主人公。原作設定。黒髪に翡翠の瞳の美少女です。
第十九話 人に交じって生きる妖
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「はあっ、はあっ、はあっ」
美結花たちはカイと共に妖から逃げた。
「ナツメ、ミユカ。俺、あんな奴平気だ。怖くなんかない」
「「え!?」」
思わずカイを見た。
「だからみんなに言わないで。俺まだここにいたいんだ!」
その叫びは美結花に突き刺さった。
ここにいたい。普通でいたい。
それは美結花が昔から願っていたことだったからだ。
「──ああ。誰も言わないよ」
「ええ。誰にも言わない」
「本当?」
二人が頷くとカイは嬉しそうな顔でほほ笑んで手をぎゅっと握り締めてくれた。
「──うん」
「──ええ」
普通でいたいという気持ちが分かるから美結花は頷いた。
「…夏目とミユカも視えるんだね。…やっぱりいっぱいつらかった?」
「…以前はね、今はそうでもないよ」
「そうね。今はそんなこと考えないくらい楽しく過ごしている」
「どうして?」
今はつらくないという二人に疑問を感じたようでカイは訊いてきた。
「さあどうしてなのかな」
「どうしてなんでしょうねえ……」
この町に来て温かい人たちに出会ったからというのは理解している。だけどそれをカイに言う気はなかった。
この思いは美結花だけのものだからだ。
「ところで貴志。どこに向かっているの?」
夏目が手を引くままに走ってきた美結花は落ち着いたところで訊いた。
「いつもニャンコ先生が寝ている所だよ。確かこの辺りでニャンコ先生がいつも昼寝を……」
夏目がきょろきょろとあたりを見回す。
「え? ニャンコ先生……?」
先生がいないことに彼は戸惑っているようだった。
「貴志! ここ先生が昼寝をしている場所じゃないわ! 透が近づいちゃだめって言っている所!」
気づいた美結花は叫んだ。
「!!」
夏目の顔が焦る。
焦って逃げてきた二人はいつの間にか違うところへとやってきてしまったのだ。
(不気味な場所……)
ぞっとする雰囲気を感じた美結花はあたりを警戒した。
そこへ斧の妖がやってくる。
斧の妖はカイを見つけるとこちらに向かって走ってきた。
「カイ、あっちへ美結花と共に走れ」
「貴志!」
「ナツメ!」
二人が声をかける間もなく、夏目は斧の妖に殴り掛かった。
斧の妖はひょいとかわして夏目の腕をつかむ。
「貴志!」
思わず美結花は叫んでしまう。
このままだと夏目がやられてしまう!
ガッ!
しかしその時は訪れなかった。
ニャンコ先生が斧の妖に噛みついたのだ。
『斑! そのまま噛むのよ!』
後ろには大きな山猫になった佐貝がいた。
「ニャンコ先生……」
「佐貝……」
ニャンコ先生と佐貝が助けに来てくれたのだ。
ぺっ!
ニャンコ先生が妖を吐き出し、佐貝がさらに踏みつぶした結果、妖は小さくなった。
「「わあ!」」
驚いて悲鳴を上げる。
「あ。逃げた」
佐貝が足をどかすと妖は逃げていった。
『逃がしたんだ阿呆。喰うと夏目がうるさいし、私はグルメだからな。佐貝と私で妖気をかなり吸い取ってやった。あんな小物もう悪さはできんさ』
『そうそう。しばらく活動できないくらいは吸い取ったから大丈夫よ』
二匹はそう言って鼻を鳴らす。
『タキが血相を変えて呼びに来たから来てみれば……。いつになったらお前は懲りるんだ』
『美結花もお人よしよ。いい加減凝りなさい』
「…助かった先生、ありがとう」
「先生、佐貝。ありがとう。貴志が助かったのはあなたたちのおかげね」
ほっとしたようにお礼を言った。
『感謝は晩飯で示してもらおう』
『私も晩飯で!』
「はいはい。でも今夜はそばだよ。今度エビフライにしてもらおうか」
美結花がそう言うと二匹は嬉しそうな顔をした。
「ナツメとミユカはすごいね。妖怪を従えているなんて」
カイが感心したように言った。
「従えてはいないよ。助けてもらってしまっているけど……」
「そうそう。用心棒って奴ね……」
二人は訂正した。
従えるというより約束したから助けてくれるのだ。
「ともあれこれでもうあの妖に付け回されることはないさ」
「よかったね」
「…じゃあもうこれで終わり?」
頭をなでながら妖の脅威は去ったことを伝えるとカイは寂しそうに言った。
「会いに行っては駄目?」
「あっちゃダメかな?」
「いいよ。もちろん」
カイは嬉しそうに頷いた。
余裕ができた美結花はあたりを見回した。
(……?)
するとすぐそばの木陰に人影がいたような気がした。
「お~い! みんな無事~?」
そこへ多軌がやってきた。
しかし美結花は何かが引っかかるような気がした。
(なんか気配がするような……)
考え込んでいると人影が逃げていった。
二人は駆け出した。
「夏目君!? 美結花ちゃん!?」
「透はカイのそばにいてあげて!」
そう言って人影を追うために走ったのだった。
美結花たちはカイと共に妖から逃げた。
「ナツメ、ミユカ。俺、あんな奴平気だ。怖くなんかない」
「「え!?」」
思わずカイを見た。
「だからみんなに言わないで。俺まだここにいたいんだ!」
その叫びは美結花に突き刺さった。
ここにいたい。普通でいたい。
それは美結花が昔から願っていたことだったからだ。
「──ああ。誰も言わないよ」
「ええ。誰にも言わない」
「本当?」
二人が頷くとカイは嬉しそうな顔でほほ笑んで手をぎゅっと握り締めてくれた。
「──うん」
「──ええ」
普通でいたいという気持ちが分かるから美結花は頷いた。
「…夏目とミユカも視えるんだね。…やっぱりいっぱいつらかった?」
「…以前はね、今はそうでもないよ」
「そうね。今はそんなこと考えないくらい楽しく過ごしている」
「どうして?」
今はつらくないという二人に疑問を感じたようでカイは訊いてきた。
「さあどうしてなのかな」
「どうしてなんでしょうねえ……」
この町に来て温かい人たちに出会ったからというのは理解している。だけどそれをカイに言う気はなかった。
この思いは美結花だけのものだからだ。
「ところで貴志。どこに向かっているの?」
夏目が手を引くままに走ってきた美結花は落ち着いたところで訊いた。
「いつもニャンコ先生が寝ている所だよ。確かこの辺りでニャンコ先生がいつも昼寝を……」
夏目がきょろきょろとあたりを見回す。
「え? ニャンコ先生……?」
先生がいないことに彼は戸惑っているようだった。
「貴志! ここ先生が昼寝をしている場所じゃないわ! 透が近づいちゃだめって言っている所!」
気づいた美結花は叫んだ。
「!!」
夏目の顔が焦る。
焦って逃げてきた二人はいつの間にか違うところへとやってきてしまったのだ。
(不気味な場所……)
ぞっとする雰囲気を感じた美結花はあたりを警戒した。
そこへ斧の妖がやってくる。
斧の妖はカイを見つけるとこちらに向かって走ってきた。
「カイ、あっちへ美結花と共に走れ」
「貴志!」
「ナツメ!」
二人が声をかける間もなく、夏目は斧の妖に殴り掛かった。
斧の妖はひょいとかわして夏目の腕をつかむ。
「貴志!」
思わず美結花は叫んでしまう。
このままだと夏目がやられてしまう!
ガッ!
しかしその時は訪れなかった。
ニャンコ先生が斧の妖に噛みついたのだ。
『斑! そのまま噛むのよ!』
後ろには大きな山猫になった佐貝がいた。
「ニャンコ先生……」
「佐貝……」
ニャンコ先生と佐貝が助けに来てくれたのだ。
ぺっ!
ニャンコ先生が妖を吐き出し、佐貝がさらに踏みつぶした結果、妖は小さくなった。
「「わあ!」」
驚いて悲鳴を上げる。
「あ。逃げた」
佐貝が足をどかすと妖は逃げていった。
『逃がしたんだ阿呆。喰うと夏目がうるさいし、私はグルメだからな。佐貝と私で妖気をかなり吸い取ってやった。あんな小物もう悪さはできんさ』
『そうそう。しばらく活動できないくらいは吸い取ったから大丈夫よ』
二匹はそう言って鼻を鳴らす。
『タキが血相を変えて呼びに来たから来てみれば……。いつになったらお前は懲りるんだ』
『美結花もお人よしよ。いい加減凝りなさい』
「…助かった先生、ありがとう」
「先生、佐貝。ありがとう。貴志が助かったのはあなたたちのおかげね」
ほっとしたようにお礼を言った。
『感謝は晩飯で示してもらおう』
『私も晩飯で!』
「はいはい。でも今夜はそばだよ。今度エビフライにしてもらおうか」
美結花がそう言うと二匹は嬉しそうな顔をした。
「ナツメとミユカはすごいね。妖怪を従えているなんて」
カイが感心したように言った。
「従えてはいないよ。助けてもらってしまっているけど……」
「そうそう。用心棒って奴ね……」
二人は訂正した。
従えるというより約束したから助けてくれるのだ。
「ともあれこれでもうあの妖に付け回されることはないさ」
「よかったね」
「…じゃあもうこれで終わり?」
頭をなでながら妖の脅威は去ったことを伝えるとカイは寂しそうに言った。
「会いに行っては駄目?」
「あっちゃダメかな?」
「いいよ。もちろん」
カイは嬉しそうに頷いた。
余裕ができた美結花はあたりを見回した。
(……?)
するとすぐそばの木陰に人影がいたような気がした。
「お~い! みんな無事~?」
そこへ多軌がやってきた。
しかし美結花は何かが引っかかるような気がした。
(なんか気配がするような……)
考え込んでいると人影が逃げていった。
二人は駆け出した。
「夏目君!? 美結花ちゃん!?」
「透はカイのそばにいてあげて!」
そう言って人影を追うために走ったのだった。
