エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 プロポーズはお手やわらかに
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「レイヴン、先生はお前を狙ったんだな」
事の次第を聞き出したエドガーが言った。
「はい、プリンスの犬、と私に言いました」
レイヴンが頷く。
それを聞いたエドガーはリディアの前を往復する。
話を聞くとプリンスの犬と言ってダンスの先生がレイヴンに刃物を持って襲い掛かってきたようだ。
「一体どういうことなのよ」
現場にいたリディアはそこが疑問なようだ。
「たぶんプリンスに敵対する連中だろう。レイヴンがプリンスの元にいたことを知っていて、英国に来たのも奴の差し金だと思っている」
「でしょうね……」
キャロラインは頷いた。プリンスの犬と言って襲い掛かってくるのなら敵対しているものだろう。
「ならあなたもプリンスと敵対していることをわかってもらったら?」
「甘いわよ。リディア。そんな時間ないわ」
話も通じないだろう。
そう吐き捨てる。
「キャロラインの言うとおりだ。突然襲い掛かってくるような奴に説明する機会が?まあプリンスに野放しにされているぐらいだから、たいした連中じゃないんだろう」
兄はそういうが別の懸念がレイヴンにはあるようだ。
「でもエドガーさま、私のことを知っているのならエドガーさまのことも知っているのではないでしょうか?」
その言葉に彼は立ち止った。
「そうだな。用心しておこう。キャロラインも用心しておくように。プリンスの元にいたことを知っているかもしれない。出かけるときにはクロウをつけるように」
「分かったわ。お兄さまも少しできるからって油断しないようにね?」
キャロラインは兄に念を押す。彼は少しスリルを楽しもうとするから心配だ。
「分かったよ」
エドガーはキャロラインの言葉に頷いた。
「それじゃあクロウ。よろしくね」
キャロラインはクロウにほほ笑んだ。
「承知しました」
クロウはキャロラインに頷いた。
しばらく用心しなければと考えていると
「怪我をしたの? レイヴン」
とのリディアの声ではっとした。
見ると手に包帯を巻いていた。
「珍しいわ……」
思わず呟いてしまう。
普段のレイヴンなら一人なら怪我をすることはないからだ。
「あの、ごめんなさい。私がのしかかったりしたせいね」
「のしかかった? それはまた……。明日からは僕が練習相手をしようかな」
「あ、あなたじゃ気が散って練習相手にならないわよ」
想像してしまったのかリディアが焦った声を出す。
「意識してくれてるってこと?」
「は……? そんなわけないでしょ! あなたのそういう下心が嫌なの!」
「けどね、レイヴンにだって下心ぐらいあると思うよ。なあ?」
「お兄さま、そんなこと聞かれてもレイヴンは困ると思うわ」
思わず兄を諫める。
しかしレイヴンは生真面目に「たぶん」と答える。
「真面目に答えなくていいのに……」
ぼやくが兄はそれを無視して「で、どんな気分だった?」と訊いた。
「あーっ! もう何訊いているのよ。やめてちょうだい!」
赤くなってリディアが抗議をする。
それを見てエドガーはくすくすと笑い、レイヴンは無表情だ。
「リディアが恥ずかしがるからあとでこっそり教えてくれ」
「はい」
「はいじゃないでしょ!」
リディアの突っ込みにキャロラインもおかしくなってくすくす笑ってしまう。おかげで自分たちをつけ狙う人がいるかもしれないという憂鬱な憶測を考えないですんだ。
笑っていると執事がやってきた。
「旦那さま、本物のダンス教師は出かけ際に玄関前の階段から突き落とされて足をくじいたそうで、当分ダンスは難しいとか。たった今使いの方がいらっしゃいました」
なるほど、とキャロラインは思った。ダンス教師を狙って階段から突き落とし、入れ替わったというわけだ。ずいぶん計画的だ。
兄も同じことを考えたのか、ああとため息に似た声を出す。
「計画的だったわけだ。トムキンス、新しいダンス教師を早速慎重に選んでくれ」
「かしこまりました。それから小さなお嬢さんが伯爵さまはまだかとおっしゃっておりますが」
「そうだ、わすれていた」
兄が思い出したように言った。
「お客さま?」
「ああ」
兄が頷く。
どんな客なのか訊こうとする前にリディアがはっと声を上げる。
「マリーゴールド! あたしも忘れていたわ。エドガー、もう彼女に会ったの?」
「おや、君の知り合い? まだ会っていないよ。トムキンスが取り次ぎに来たとたん、君の悲鳴が聞こえたんだ」
「よかった! 会う前で良かったわ。エドガー、彼女は妖精なの。面倒なことになりそうだから、あたしも一緒に話を聞くわ。それから、あなたは彼女が持ってきたものを何であろうと受け取っちゃだめよ」
彼女の言葉にエドガーは怪訝そうな顔で頷くとソファーに腰を下ろした。
そして執事に向かっていった。
「お嬢さんをここへ呼んでくれ」
「妖精……」
キャロラインは妖精の客ってなんだろうと半信半疑ながらも別のソファーに腰を下ろした。
「あれかしら?」
「午前中に話したあれよね?」
ミスティアとクリスティナは思い当たる節があるようだ。
いったい何が思い当たるのか聞きたかったが、我慢して小さなお嬢さんが来るのを待つことにしたのだった。
事の次第を聞き出したエドガーが言った。
「はい、プリンスの犬、と私に言いました」
レイヴンが頷く。
それを聞いたエドガーはリディアの前を往復する。
話を聞くとプリンスの犬と言ってダンスの先生がレイヴンに刃物を持って襲い掛かってきたようだ。
「一体どういうことなのよ」
現場にいたリディアはそこが疑問なようだ。
「たぶんプリンスに敵対する連中だろう。レイヴンがプリンスの元にいたことを知っていて、英国に来たのも奴の差し金だと思っている」
「でしょうね……」
キャロラインは頷いた。プリンスの犬と言って襲い掛かってくるのなら敵対しているものだろう。
「ならあなたもプリンスと敵対していることをわかってもらったら?」
「甘いわよ。リディア。そんな時間ないわ」
話も通じないだろう。
そう吐き捨てる。
「キャロラインの言うとおりだ。突然襲い掛かってくるような奴に説明する機会が?まあプリンスに野放しにされているぐらいだから、たいした連中じゃないんだろう」
兄はそういうが別の懸念がレイヴンにはあるようだ。
「でもエドガーさま、私のことを知っているのならエドガーさまのことも知っているのではないでしょうか?」
その言葉に彼は立ち止った。
「そうだな。用心しておこう。キャロラインも用心しておくように。プリンスの元にいたことを知っているかもしれない。出かけるときにはクロウをつけるように」
「分かったわ。お兄さまも少しできるからって油断しないようにね?」
キャロラインは兄に念を押す。彼は少しスリルを楽しもうとするから心配だ。
「分かったよ」
エドガーはキャロラインの言葉に頷いた。
「それじゃあクロウ。よろしくね」
キャロラインはクロウにほほ笑んだ。
「承知しました」
クロウはキャロラインに頷いた。
しばらく用心しなければと考えていると
「怪我をしたの? レイヴン」
とのリディアの声ではっとした。
見ると手に包帯を巻いていた。
「珍しいわ……」
思わず呟いてしまう。
普段のレイヴンなら一人なら怪我をすることはないからだ。
「あの、ごめんなさい。私がのしかかったりしたせいね」
「のしかかった? それはまた……。明日からは僕が練習相手をしようかな」
「あ、あなたじゃ気が散って練習相手にならないわよ」
想像してしまったのかリディアが焦った声を出す。
「意識してくれてるってこと?」
「は……? そんなわけないでしょ! あなたのそういう下心が嫌なの!」
「けどね、レイヴンにだって下心ぐらいあると思うよ。なあ?」
「お兄さま、そんなこと聞かれてもレイヴンは困ると思うわ」
思わず兄を諫める。
しかしレイヴンは生真面目に「たぶん」と答える。
「真面目に答えなくていいのに……」
ぼやくが兄はそれを無視して「で、どんな気分だった?」と訊いた。
「あーっ! もう何訊いているのよ。やめてちょうだい!」
赤くなってリディアが抗議をする。
それを見てエドガーはくすくすと笑い、レイヴンは無表情だ。
「リディアが恥ずかしがるからあとでこっそり教えてくれ」
「はい」
「はいじゃないでしょ!」
リディアの突っ込みにキャロラインもおかしくなってくすくす笑ってしまう。おかげで自分たちをつけ狙う人がいるかもしれないという憂鬱な憶測を考えないですんだ。
笑っていると執事がやってきた。
「旦那さま、本物のダンス教師は出かけ際に玄関前の階段から突き落とされて足をくじいたそうで、当分ダンスは難しいとか。たった今使いの方がいらっしゃいました」
なるほど、とキャロラインは思った。ダンス教師を狙って階段から突き落とし、入れ替わったというわけだ。ずいぶん計画的だ。
兄も同じことを考えたのか、ああとため息に似た声を出す。
「計画的だったわけだ。トムキンス、新しいダンス教師を早速慎重に選んでくれ」
「かしこまりました。それから小さなお嬢さんが伯爵さまはまだかとおっしゃっておりますが」
「そうだ、わすれていた」
兄が思い出したように言った。
「お客さま?」
「ああ」
兄が頷く。
どんな客なのか訊こうとする前にリディアがはっと声を上げる。
「マリーゴールド! あたしも忘れていたわ。エドガー、もう彼女に会ったの?」
「おや、君の知り合い? まだ会っていないよ。トムキンスが取り次ぎに来たとたん、君の悲鳴が聞こえたんだ」
「よかった! 会う前で良かったわ。エドガー、彼女は妖精なの。面倒なことになりそうだから、あたしも一緒に話を聞くわ。それから、あなたは彼女が持ってきたものを何であろうと受け取っちゃだめよ」
彼女の言葉にエドガーは怪訝そうな顔で頷くとソファーに腰を下ろした。
そして執事に向かっていった。
「お嬢さんをここへ呼んでくれ」
「妖精……」
キャロラインは妖精の客ってなんだろうと半信半疑ながらも別のソファーに腰を下ろした。
「あれかしら?」
「午前中に話したあれよね?」
ミスティアとクリスティナは思い当たる節があるようだ。
いったい何が思い当たるのか聞きたかったが、我慢して小さなお嬢さんが来るのを待つことにしたのだった。