エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 プロポーズはお手やわらかに
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2.舞踏会の準備
キャロラインはここしばらく忙しくしていた。
兄が舞踏会を開こうとしているからだ。
「料理はこんな感じね。そして招待客がまた増えている。これはどうなっているの?」
「エドガーさまが先程、トムキンスさんのところに向かったかと……」
「なら大丈夫ね」
クロウの言葉に安心する。
「飾り付けはこんな感じにするのね。うん、大丈夫そう」
キャロラインは満足げに頷く。
「キャロラインさま、どんな感じのドレスが良いかとエドガーさまが」
「う~ん……。瞳の色と合わせた方が良い気がするわ。明日、仕立て屋がくるからその時に伝えるってお兄さまに伝えて」
キャロラインの言葉にシエルが頷く。
「さて。お兄さまはどこにいるの?」
「リディアさんの部屋かと……」
「また口説いているのかしら。あれはもう治らないわね」
クロウの言葉に少し呆れながらキャロラインはリディアの仕事部屋に向かった。
すると彼女の部屋の前にミスティアとクリスティナがいるのに気づいた。
「何をしているの?」
「エドガーとリディアが話し込んでいるからちょっと声をかけづらくてね」
「まあ、面白いから聞いているだけなのにね、ティア」
「ティナだってきいているくせに」
どっちもどっちだが、こっそり人の話を聞いていると弱みとか握れることを知っているキャロラインはよくやるので何も言えなかった。
「なるほど……。で、どんな話をしているの?」
「ほら」
二人はスペースを開けてくれる。
キャロラインがそこに立つと話し声が聞こえてきた。
「あなたにもお月さまの呪文がきけばいいのに」
「お月さまの呪文?」
「そうよ、しつこい妖精を追い払う呪文」
「リディアさん、それが昔、青騎士伯爵が使ったという魔法の呪文ですか?」
「ええ。妖精の求婚を断るには『満ち欠けを繰り返す、あの月を贈ってくださるなら』と言えばいいの。絶対に無理だから妖精たちは仕方なく立ち去るのよ」
「なるほど、妖精は約束には忠実だと言いますからね。我らが伯爵もそれで囚われの身から解放されたわけですか」
トムキンスの感慨深げな声が聞こえる。
「囚われの伯爵って?」
ミスティアにキャロラインは聞いた。
「昔妖精女王に求婚された青騎士伯爵の話でしょう? うっかり林檎の木の下で眠ってしまって女王さまの元に連れていかれてしまったという……」
ミスティアが教えてくれる。
「なるほどそんなのがあるのね……」
感心していると扉の向こうではリディアが妖精に求婚されて撃退したという話や故郷では男性に隙になってもらえなかった話などをしている。
「リディアって本当に男性に好きなってもらえなかったのかしら……」
キャロラインはそこを不思議に思う。素直だしなかなか美人だと思うからだ。
「妖精が友達って感じだからねえ……。ああいう子はふとした瞬間に向こう側に行ってしまうのよね……」
クリスティナはどこか心配そうだ。
「そうよね……。心配よね」
二人が心配している横をレイヴンが通り過ぎた。その際に少し気になるのかこちらをちらりと見て。
レイヴンが中に入ってすぐ扉が開いた。
「キャロライン、ミスティア姉上、クリスティナ姉上。盗み聞きはよくないよ」
ちょっと呆れたエドガーが出てきた。
「……入るタイミングを失っただけよ……」
ちょっと誤魔化して三人は中に入った。
「ごらん。綺麗だろう?」
そう言って見せてきたのは淡い色彩で描かれた妖精画だった。
「まあ、きれい」
「若手の画家なんだけどね。気に入ったんだ」
「女の人なの?」
「あのね、画家じゃなくて絵を。この妖精女王が君に見えるからどうしても手元に置いておきたくなった」
そう言ってエドガーはリディアに熱い視線を向ける。
そんなことだと思ったとキャロラインは納得する。
キャロラインもリディアを思い浮かべたからだ。
「どこもあたしに似てないわよ」
ただリディアの方はそうは思わなかったらしい。
「似てるよ。かわいらしくて神秘的で。この閉じた目を開いたら、君と同じ金緑だと思ったんだ。うるわしきティタニア、僕にとって君のイメージそのものだ」
リディアはエドガーの口説き文句に困ったようにレイヴン、クロウ、シエル、キャロライン、ミスティア、クリスティナの順で見ていった。
レイヴン、クロウ、シエルは気を利かせることを選んだようだし、ミスティアとクリスティナは面白いから放っておくことにしたようだ。キャロラインはいつものことと止めないことにした。
「そうだ、君をモデルに妖精画を描いてもらおうか。この屋敷にふさわしいじゃないか」
今度がリディアをモデルに絵を描いてもらうことを思いついたらしい。
「楽な姿勢で座っていればいいだけだよ。いい考えだ。絵の中の君ならキスしても怒らないだろう?」
そう言って絵にキスをしようとする
「やめて!」
「はあ……」
リディアの悲鳴とキャロラインのため息が重なった。
ちょっと度が過ぎているように見えるのは気のせいだろうか。
兄のやりすぎな行動にため息をついている間にリディアがエドガーにおもちゃじゃないとはっきり言っていた。
「じゃあとりあえずダンスに専念してもらおう。今日の午後だよね?」
「ええ、そうよ。誰とリディアがするの? 先生は助手を連れてきていないんでしょう? クロウでもいいけど……」
彼ならキャロラインが命じればダンスの相手役をするだろう。
「いやレイヴンとだ。レイヴン、相手役を務めるように」
「えっ。彼と練習するの?」
リディアは本気で戸惑っているみたいだ。
「急だったから先生は助手を連れてこられないそうだ。だからレイヴン、足を踏まれたくらいで怒らないようにね」
「はい」
レイヴンが頷く。
キャロラインは思わずリディアを哀れみの目で見てしまった。
レイヴンと練習なんて彼女にとって戸惑いだらけだろう。
「ねえリディア、人間相手の場合はしつこい男を追い払うより、あきらめた方が幸せだってそのうちわかるよ」
兄の口説き文句にリディアがため息をつくのが目に入った。
(確かに今日はしつこいものね……)
キャロラインもため息をつきたい気分だった。
キャロラインはここしばらく忙しくしていた。
兄が舞踏会を開こうとしているからだ。
「料理はこんな感じね。そして招待客がまた増えている。これはどうなっているの?」
「エドガーさまが先程、トムキンスさんのところに向かったかと……」
「なら大丈夫ね」
クロウの言葉に安心する。
「飾り付けはこんな感じにするのね。うん、大丈夫そう」
キャロラインは満足げに頷く。
「キャロラインさま、どんな感じのドレスが良いかとエドガーさまが」
「う~ん……。瞳の色と合わせた方が良い気がするわ。明日、仕立て屋がくるからその時に伝えるってお兄さまに伝えて」
キャロラインの言葉にシエルが頷く。
「さて。お兄さまはどこにいるの?」
「リディアさんの部屋かと……」
「また口説いているのかしら。あれはもう治らないわね」
クロウの言葉に少し呆れながらキャロラインはリディアの仕事部屋に向かった。
すると彼女の部屋の前にミスティアとクリスティナがいるのに気づいた。
「何をしているの?」
「エドガーとリディアが話し込んでいるからちょっと声をかけづらくてね」
「まあ、面白いから聞いているだけなのにね、ティア」
「ティナだってきいているくせに」
どっちもどっちだが、こっそり人の話を聞いていると弱みとか握れることを知っているキャロラインはよくやるので何も言えなかった。
「なるほど……。で、どんな話をしているの?」
「ほら」
二人はスペースを開けてくれる。
キャロラインがそこに立つと話し声が聞こえてきた。
「あなたにもお月さまの呪文がきけばいいのに」
「お月さまの呪文?」
「そうよ、しつこい妖精を追い払う呪文」
「リディアさん、それが昔、青騎士伯爵が使ったという魔法の呪文ですか?」
「ええ。妖精の求婚を断るには『満ち欠けを繰り返す、あの月を贈ってくださるなら』と言えばいいの。絶対に無理だから妖精たちは仕方なく立ち去るのよ」
「なるほど、妖精は約束には忠実だと言いますからね。我らが伯爵もそれで囚われの身から解放されたわけですか」
トムキンスの感慨深げな声が聞こえる。
「囚われの伯爵って?」
ミスティアにキャロラインは聞いた。
「昔妖精女王に求婚された青騎士伯爵の話でしょう? うっかり林檎の木の下で眠ってしまって女王さまの元に連れていかれてしまったという……」
ミスティアが教えてくれる。
「なるほどそんなのがあるのね……」
感心していると扉の向こうではリディアが妖精に求婚されて撃退したという話や故郷では男性に隙になってもらえなかった話などをしている。
「リディアって本当に男性に好きなってもらえなかったのかしら……」
キャロラインはそこを不思議に思う。素直だしなかなか美人だと思うからだ。
「妖精が友達って感じだからねえ……。ああいう子はふとした瞬間に向こう側に行ってしまうのよね……」
クリスティナはどこか心配そうだ。
「そうよね……。心配よね」
二人が心配している横をレイヴンが通り過ぎた。その際に少し気になるのかこちらをちらりと見て。
レイヴンが中に入ってすぐ扉が開いた。
「キャロライン、ミスティア姉上、クリスティナ姉上。盗み聞きはよくないよ」
ちょっと呆れたエドガーが出てきた。
「……入るタイミングを失っただけよ……」
ちょっと誤魔化して三人は中に入った。
「ごらん。綺麗だろう?」
そう言って見せてきたのは淡い色彩で描かれた妖精画だった。
「まあ、きれい」
「若手の画家なんだけどね。気に入ったんだ」
「女の人なの?」
「あのね、画家じゃなくて絵を。この妖精女王が君に見えるからどうしても手元に置いておきたくなった」
そう言ってエドガーはリディアに熱い視線を向ける。
そんなことだと思ったとキャロラインは納得する。
キャロラインもリディアを思い浮かべたからだ。
「どこもあたしに似てないわよ」
ただリディアの方はそうは思わなかったらしい。
「似てるよ。かわいらしくて神秘的で。この閉じた目を開いたら、君と同じ金緑だと思ったんだ。うるわしきティタニア、僕にとって君のイメージそのものだ」
リディアはエドガーの口説き文句に困ったようにレイヴン、クロウ、シエル、キャロライン、ミスティア、クリスティナの順で見ていった。
レイヴン、クロウ、シエルは気を利かせることを選んだようだし、ミスティアとクリスティナは面白いから放っておくことにしたようだ。キャロラインはいつものことと止めないことにした。
「そうだ、君をモデルに妖精画を描いてもらおうか。この屋敷にふさわしいじゃないか」
今度がリディアをモデルに絵を描いてもらうことを思いついたらしい。
「楽な姿勢で座っていればいいだけだよ。いい考えだ。絵の中の君ならキスしても怒らないだろう?」
そう言って絵にキスをしようとする
「やめて!」
「はあ……」
リディアの悲鳴とキャロラインのため息が重なった。
ちょっと度が過ぎているように見えるのは気のせいだろうか。
兄のやりすぎな行動にため息をついている間にリディアがエドガーにおもちゃじゃないとはっきり言っていた。
「じゃあとりあえずダンスに専念してもらおう。今日の午後だよね?」
「ええ、そうよ。誰とリディアがするの? 先生は助手を連れてきていないんでしょう? クロウでもいいけど……」
彼ならキャロラインが命じればダンスの相手役をするだろう。
「いやレイヴンとだ。レイヴン、相手役を務めるように」
「えっ。彼と練習するの?」
リディアは本気で戸惑っているみたいだ。
「急だったから先生は助手を連れてこられないそうだ。だからレイヴン、足を踏まれたくらいで怒らないようにね」
「はい」
レイヴンが頷く。
キャロラインは思わずリディアを哀れみの目で見てしまった。
レイヴンと練習なんて彼女にとって戸惑いだらけだろう。
「ねえリディア、人間相手の場合はしつこい男を追い払うより、あきらめた方が幸せだってそのうちわかるよ」
兄の口説き文句にリディアがため息をつくのが目に入った。
(確かに今日はしつこいものね……)
キャロラインもため息をつきたい気分だった。