エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 プロポーズはお手やわらかに
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「ふう……」
キャロラインは人に気づかれないようにため息をついた。今日はいつも以上に声をかけてくる人が多かったような気がするし、視線の主が気になって神経に気を使っていたのだ。
「お疲れ様。キャロライン」
そんな彼女にミスティアが声をかける。
「ミスティアお姉さま。いえ、大丈夫ですわ」
キャロラインは笑顔で答える。
「貴族との話に疲れたってわけでも無さそうね? 視線の主?」
「ミスティアお姉さま、気づいていたんですの?」
キャロラインは驚いた。まさか気づくとは。気づかない貴族が多かったのに。
「ええ、ティナも気づいたわよね?」
「そうね。害は無さそうだけど……。なんだかあなたを懐かしそうな目で見ていた気がしたわ」
クリスティナがそう言って視線の主を目だけで示す。
「………!」
キャロラインは息をのみそうになった。
昔懇意にしていた画家の息子、彼がそこにいた。
「知り合い?」
こっそりとミスティアが訊く。
「ええ。昔シルヴァンフォードで……」
キャロラインは頷いた。
「行ってみましょう? ちょうどエドガーもいるみたいだし」
クリスティナが提案する。
「女の人を口説いているみたいね」
「お兄さまったら……」
ミスティアの言う通り女の人を口説いているみたいだった。
キャロラインは呆れた。
「あの女の人と見ると口説く癖はどうにかならないのかしら……」
「そんなことを言って……。なんだかんだってもエドガーのことを大切に思っているのよね……」
ミスティアが笑顔で言った。
「幸せになってほしいんでしょう?」
クリスティナの言葉は図星だった。
「私はただお兄さまに変な女と結婚してほしくないだけ。外見とか表面的なことじゃなくて、過去とか心の傷とか何もかも知ったうえで理解してくれる人と一緒になってほしいの」
そう言いつつも無理だろうなと心のどこかでは理解していた。
それほど兄の傷は深いし、性格もよくないとわかっていた。
「なるほど……。じゃあリディアなら?」
「え?」
キャロラインはクリスティナの言葉に驚いた。
そんなこと考えたことなかったからだ。
「考えたことなかったって顔ね?」
「うん……」
ミスティアの言葉に頷く。
確かにリディアは兄の敵に対して容赦しないところも残酷さも知っている。それでも一緒にいようとしてくれるお人よしだ。
(確かに条件には会う……。だけどお兄さまはどう思っているのだろう? まだ本気じゃない気がする……)
キャロラインはそう思った。
だけど兄がリディアに本気になったら自分はどうするのだろうとぼんやりと思った。
「少しは考えておくのもいいのかもしれないわね。じゃあ絵を見にいきましょうか?」
「うん、そうする」
ミスティアの言葉に頷いて絵を見にいった。
「きれいな絵ね……」
そこに書いてあるのはプリムローズの花影で転寝する妖精だった。
まるで妖精女王ティタニアのようだった。
今回見た中で一番気に入った。
「こちら先程、アシェンバート伯爵も気に入ってたんですよ」
画商が声をかける。
「お兄さまが?」
兄が気に入るとは……。まあそんな気がしていた。絵の妖精女王が誰かさんを思い出させるからだ。
「絵の作者はどなた?」
画商はその質問に兄より少し年上の青年を紹介する。
彼は昔、兄が画家になるように勧めていた少年だった。
その驚きを外に出さないように努力する。
「気に入りましたかな?」
「ええ、気に行ったわ。とても、知り合いに似ていて……」
そう呟く。
「お姉さま方もそう思わない?」
「そうね、とても素敵だわ」
「きれいで本物みたいねぇ」
二人はそう言って笑いあう。
「キャロラインも来ていたのね」
そこにロバートの妹のエミリーが声をかける。
「エミリー。あなたも来ていたのね?」
「ええ。いろいろな絵を楽しむのも貴族としては当然ですもの。それよりお兄さまにあった?」
「先程会ったわ。もう一度お話ししたいとは思うのだけれども……」
「よかった。あそこにいるから話してみない?」
そんな話をしながら妖精画家の前から離れる。
キャロラインをじっと見ていることも気づかずに。
キャロラインは人に気づかれないようにため息をついた。今日はいつも以上に声をかけてくる人が多かったような気がするし、視線の主が気になって神経に気を使っていたのだ。
「お疲れ様。キャロライン」
そんな彼女にミスティアが声をかける。
「ミスティアお姉さま。いえ、大丈夫ですわ」
キャロラインは笑顔で答える。
「貴族との話に疲れたってわけでも無さそうね? 視線の主?」
「ミスティアお姉さま、気づいていたんですの?」
キャロラインは驚いた。まさか気づくとは。気づかない貴族が多かったのに。
「ええ、ティナも気づいたわよね?」
「そうね。害は無さそうだけど……。なんだかあなたを懐かしそうな目で見ていた気がしたわ」
クリスティナがそう言って視線の主を目だけで示す。
「………!」
キャロラインは息をのみそうになった。
昔懇意にしていた画家の息子、彼がそこにいた。
「知り合い?」
こっそりとミスティアが訊く。
「ええ。昔シルヴァンフォードで……」
キャロラインは頷いた。
「行ってみましょう? ちょうどエドガーもいるみたいだし」
クリスティナが提案する。
「女の人を口説いているみたいね」
「お兄さまったら……」
ミスティアの言う通り女の人を口説いているみたいだった。
キャロラインは呆れた。
「あの女の人と見ると口説く癖はどうにかならないのかしら……」
「そんなことを言って……。なんだかんだってもエドガーのことを大切に思っているのよね……」
ミスティアが笑顔で言った。
「幸せになってほしいんでしょう?」
クリスティナの言葉は図星だった。
「私はただお兄さまに変な女と結婚してほしくないだけ。外見とか表面的なことじゃなくて、過去とか心の傷とか何もかも知ったうえで理解してくれる人と一緒になってほしいの」
そう言いつつも無理だろうなと心のどこかでは理解していた。
それほど兄の傷は深いし、性格もよくないとわかっていた。
「なるほど……。じゃあリディアなら?」
「え?」
キャロラインはクリスティナの言葉に驚いた。
そんなこと考えたことなかったからだ。
「考えたことなかったって顔ね?」
「うん……」
ミスティアの言葉に頷く。
確かにリディアは兄の敵に対して容赦しないところも残酷さも知っている。それでも一緒にいようとしてくれるお人よしだ。
(確かに条件には会う……。だけどお兄さまはどう思っているのだろう? まだ本気じゃない気がする……)
キャロラインはそう思った。
だけど兄がリディアに本気になったら自分はどうするのだろうとぼんやりと思った。
「少しは考えておくのもいいのかもしれないわね。じゃあ絵を見にいきましょうか?」
「うん、そうする」
ミスティアの言葉に頷いて絵を見にいった。
「きれいな絵ね……」
そこに書いてあるのはプリムローズの花影で転寝する妖精だった。
まるで妖精女王ティタニアのようだった。
今回見た中で一番気に入った。
「こちら先程、アシェンバート伯爵も気に入ってたんですよ」
画商が声をかける。
「お兄さまが?」
兄が気に入るとは……。まあそんな気がしていた。絵の妖精女王が誰かさんを思い出させるからだ。
「絵の作者はどなた?」
画商はその質問に兄より少し年上の青年を紹介する。
彼は昔、兄が画家になるように勧めていた少年だった。
その驚きを外に出さないように努力する。
「気に入りましたかな?」
「ええ、気に行ったわ。とても、知り合いに似ていて……」
そう呟く。
「お姉さま方もそう思わない?」
「そうね、とても素敵だわ」
「きれいで本物みたいねぇ」
二人はそう言って笑いあう。
「キャロラインも来ていたのね」
そこにロバートの妹のエミリーが声をかける。
「エミリー。あなたも来ていたのね?」
「ええ。いろいろな絵を楽しむのも貴族としては当然ですもの。それよりお兄さまにあった?」
「先程会ったわ。もう一度お話ししたいとは思うのだけれども……」
「よかった。あそこにいるから話してみない?」
そんな話をしながら妖精画家の前から離れる。
キャロラインをじっと見ていることも気づかずに。