エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 目覚めへの始まり
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「はあ~」
ため息をついてキャロラインはベッドに倒れこんだ。
「なんで私にこんな力……」
自分の両手を見つめるとそこには傷はない。でも多くの命を奪った血にまみれた手だということをキャロラインはよく知っていた。
「キャロライン?」
ミスティアとクリスティナが顔を覗かせる。
「……!」
キャロラインは驚いた。侍女のマーガレットや護衛のシエルがキャロラインに知らせる間もなくここに現れたからだ。マーガレットとシエルは優秀でキャロラインに客人がきたらすぐさま知らせてくれる。キャロラインは彼女たちの報告を聞いてから客人に会うのだ。
(シエルやマーガレットが見逃した……。いえ、あの子たちがそんなことするわけがない。まさか……)
二人に気付かれずにミスティアたちはここに来たとでもいうのか。
「驚いた? あなたの侍女たちには気づかれずにここに来たの。特殊な力でね」
「突然訪問したことは無礼だと思うし、謝るわ。でもあなたも私たちに聞きたいことがあるんじゃない?」
「…………」
クリスティナの問いにキャロラインは黙り込んだ。たしかに聞きたいことはある。だがいきなり訊いて失礼ではないのかと思うと悩んでしまう。
「思ったことを全部口に出していいわ。そのつもりでここに来たんだし」
ミスティアの言葉に嘘はなさそうだった。
キャロラインは過去の経験から相手の話が嘘かどうか少しは分かるのだ。
「あなたたちは青騎士伯爵の正統な血筋なのでしょう? 青騎士伯爵の称号がどうしていらないの?」
正直言って彼女たちが現れたとき、称号を返せと言われるんじゃないかとキャロラインは覚悟していた。だが彼女たちはいらないという。それが信じられなかった。
「なるほど……。それが聞きたいのね? ──キャロラインは私たちの苗字を知っているでしょう?」
「シェーンブルンとサンスーシー……」
シェーンブルンは公爵でサンスーシーは侯爵だ。どちらも青騎士伯爵と同じくらいかそれ以上に古い家柄だ。
「でもそれが……」
そこでキャロラインははっとした。女性は結婚すると夫の家のものとなるからだ。
「そう。ミスティアはシェーンブルン家のもの。私はサンスーシー家のものでアシェンバート家のものじゃもうないから……」
「でもそれだけで称号をいらないというふうには見えない」
彼女たちは欲しいものは自分たちで取る。そんなタイプに見えたのだ。
「私たちがアシェンバート家のものではもうないというのが一つ。もう一つはあなたたちがメロウに認められたから」
「メロウ……?」
クリスティナの言葉に首をかしげる。
「そう、メロウ。メロウにあって青騎士伯爵の剣に星を刻んでもらったでしょう?」
「でもあれは……」
青騎士伯爵が持っているという星ではなく、兄の舌に奴隷の証として刻まれたものを対価にしたものだ。
「元が何であれ、メロウに認められた。本物か偽物かは関係ない。それで十分。それに……“アロー”も宿っているみたいだし……」
「アロー……?」
ミスティアの言葉にキャロラインは首をかしげた。
「ううん、何でもない。そのうち分かるだろうから……」
ミスティアは言葉を濁した。
ため息をついてキャロラインはベッドに倒れこんだ。
「なんで私にこんな力……」
自分の両手を見つめるとそこには傷はない。でも多くの命を奪った血にまみれた手だということをキャロラインはよく知っていた。
「キャロライン?」
ミスティアとクリスティナが顔を覗かせる。
「……!」
キャロラインは驚いた。侍女のマーガレットや護衛のシエルがキャロラインに知らせる間もなくここに現れたからだ。マーガレットとシエルは優秀でキャロラインに客人がきたらすぐさま知らせてくれる。キャロラインは彼女たちの報告を聞いてから客人に会うのだ。
(シエルやマーガレットが見逃した……。いえ、あの子たちがそんなことするわけがない。まさか……)
二人に気付かれずにミスティアたちはここに来たとでもいうのか。
「驚いた? あなたの侍女たちには気づかれずにここに来たの。特殊な力でね」
「突然訪問したことは無礼だと思うし、謝るわ。でもあなたも私たちに聞きたいことがあるんじゃない?」
「…………」
クリスティナの問いにキャロラインは黙り込んだ。たしかに聞きたいことはある。だがいきなり訊いて失礼ではないのかと思うと悩んでしまう。
「思ったことを全部口に出していいわ。そのつもりでここに来たんだし」
ミスティアの言葉に嘘はなさそうだった。
キャロラインは過去の経験から相手の話が嘘かどうか少しは分かるのだ。
「あなたたちは青騎士伯爵の正統な血筋なのでしょう? 青騎士伯爵の称号がどうしていらないの?」
正直言って彼女たちが現れたとき、称号を返せと言われるんじゃないかとキャロラインは覚悟していた。だが彼女たちはいらないという。それが信じられなかった。
「なるほど……。それが聞きたいのね? ──キャロラインは私たちの苗字を知っているでしょう?」
「シェーンブルンとサンスーシー……」
シェーンブルンは公爵でサンスーシーは侯爵だ。どちらも青騎士伯爵と同じくらいかそれ以上に古い家柄だ。
「でもそれが……」
そこでキャロラインははっとした。女性は結婚すると夫の家のものとなるからだ。
「そう。ミスティアはシェーンブルン家のもの。私はサンスーシー家のものでアシェンバート家のものじゃもうないから……」
「でもそれだけで称号をいらないというふうには見えない」
彼女たちは欲しいものは自分たちで取る。そんなタイプに見えたのだ。
「私たちがアシェンバート家のものではもうないというのが一つ。もう一つはあなたたちがメロウに認められたから」
「メロウ……?」
クリスティナの言葉に首をかしげる。
「そう、メロウ。メロウにあって青騎士伯爵の剣に星を刻んでもらったでしょう?」
「でもあれは……」
青騎士伯爵が持っているという星ではなく、兄の舌に奴隷の証として刻まれたものを対価にしたものだ。
「元が何であれ、メロウに認められた。本物か偽物かは関係ない。それで十分。それに……“アロー”も宿っているみたいだし……」
「アロー……?」
ミスティアの言葉にキャロラインは首をかしげた。
「ううん、何でもない。そのうち分かるだろうから……」
ミスティアは言葉を濁した。