2.出会い

キャロラインは窓の外に見えた女性たちが気になってあれから眠れなくなってしまった。
(なんで彼女たちがメイフェアにいるんだろう？)
兄とリディアがフォグマンに飲み込まれて絶望した時に現れて信じよと励ましてくれた女性たち。
女性たちの言う通りリディアと兄は無事にフォグマンの中から戻ってくることができた。
去り際、彼女たちはまた会えると言っていた。
その言葉通り彼女たちは姿を現した。
(会ってみたいな……)
キャロラインはそう思った。
「キャロライン？どうしたんだい？」
考え込んでいる様子の妹が気になったのかエドガーが訊いた。
「なんでもないわ」
女性たちのことは兄には話していない。
キャロラインはごまかした。
「そうかい？気が向いたら僕に話してごらんよ」
兄はそういうと立ち上がった。
「どこか行くの？」
「ちょっと歌姫の所にね」
「また女の所？飽きないわねえ」
キャロラインはそう言って巷で有名な歌姫に会いに行こうとする兄を呆れた目で見たのだった。
兄の女を口説く癖はもう治りそうにないと思いながら。


朝食が終わってからもキャロラインは女性たちのことを考えていた。
(このままこうしてても仕方ないわ。外に出かけよう……)
キャロラインはそう思うと侍女のマーガレットを呼んだ。
瞳と同色のドレスに着替えて髪を整えてもらった。
「さあ、行くわよ」
キャロラインはマーガレットとクロウとシエルを連れて外へ出かけたのだった。