エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 甘い罠に気を付けて
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「ごめんね、リディア。いやなものを見せてしまった」
エドガーがリディアに謝って手を差し伸べる。それを拒絶し自分で立ち上がった。
「あの人を、箱詰めにするの?」
「きみは、知らなくていい。共犯者じゃないんだから」
「そうね。そこまでは知らなくていいわ」
リディアは寂しげに眉をひそめた。
「エドガー、何のためにあたしを、フェアリードクターとして雇ったの?伯爵としての、新しいあなたを手助けするためじゃなかったの?」
「……そういう話はあとにしよう。そろそろここから出ないと、こいつの手下たちが戻ってくるかもしれないからね」
「何言っているの?だったら早く、ドーリスとロザリーを捜して助け出さなきゃ。二人ともこの船に運ばれているんでしょ?」
「助ける義理はないと思う」
「ど、どうしてっ?」
リディアは戸惑っているようだった。
「そんな時間はないし、どうせこの船は出航できない。中を調べられることになるよ」
「そんなの長い間閉じこめられるということはないと思うわ」
「でもっ、あたしたちは二人が監禁されているのを知ってるのよ、知ってて見捨てるなんて……」
そこでリディアは何かに気付いたようだった。
「恨んでるの?ロザリーとドーリスは、“妖精の卵”をあなたから奪って、なのに助けてくれなかったから?」
「よく覚えてないな」
困惑気味にエドガーはリディアを見た。
「八年前に、あの河べりの倉庫に監禁されていた男の子と女の子をみたって、ロザリーが話したの。あれはあなたたちのことなんでしょ?グレアム卿があなたをプリンスに引き渡すために監禁してた倉庫へ、ロザリーたちが入り込んだのね?」
リディアは随分知っているらしい。キャロラインはそう思った。
「だとしても、べつに恨むほどのことでもないよ。リディア、彼女たちにとって、薄汚い少年を見捨てるのなんて当然のことだ。自分に関係ないばかりか、かかわって得することなんかないとわかっているからね。悪いけど僕も、彼女たちが叔父の餌食にされたことは知ったことじゃ……」
エドガーが最後まで言う前にリディアは平手を喰らわせた。キャロラインはびっくりした。
まさかビンタするなんて!
「あなたってホントに悪党ね!ロザリーの気持ちにつけこんで、甘い言葉で釣って利用して、もういらないから見捨てるっていうの?……やっぱり恨んでるんじゃないの。本当はあのとき、助けてほしかったんじゃないの!関係なくても、関わって損するだけでも、助けてくれる人がいれば、あなたたちは救われたのに」
「リディア……」
キャロラインが止める間もなく彼女はまくしたてた。
「だから、あたしは助けるわよ!ロザリーとドーリスを、あなたの代わりに助けるわ!得にならなくったって、助けたいと思う気持ちは誰だって持ってるはずだもの。あたしを助けようとしてくれたあなたは、損得だけだったの?そうじゃないと思ったし、そうしんじたいから、あたしは二人を捜すわ!」
言い放った勢いのままリディアはエドガーに背を向けた。
「ニコ、行くわよ!」
ニコはめんどくさそうにリディアについていったのだった。
「レイヴン、意味が分かったか?」
呆然としていたエドガーが訊いた。
「理由はよく分かりませんが、エドガーさまのために出て行かれたような気がします」
「……僕もそんな気がする」
「そうね。でも、リディアは変わった子よね」
「そうだね」
エドガーは頷いた。
「エドガーさま」
エドガーが黙って部屋を出て行こうとしたのをレイヴンが呼びとめる。
「リディアを一人にしておけない。グレアムの仲間がまだひそんでいるかもしれないし」
「彼はどうしましょうか」
「放っておけ」
「そうね。放っておきましょう」
復讐より大事なことがある。それをリディアが教えてくれた気がする。
エドガーがリディアに謝って手を差し伸べる。それを拒絶し自分で立ち上がった。
「あの人を、箱詰めにするの?」
「きみは、知らなくていい。共犯者じゃないんだから」
「そうね。そこまでは知らなくていいわ」
リディアは寂しげに眉をひそめた。
「エドガー、何のためにあたしを、フェアリードクターとして雇ったの?伯爵としての、新しいあなたを手助けするためじゃなかったの?」
「……そういう話はあとにしよう。そろそろここから出ないと、こいつの手下たちが戻ってくるかもしれないからね」
「何言っているの?だったら早く、ドーリスとロザリーを捜して助け出さなきゃ。二人ともこの船に運ばれているんでしょ?」
「助ける義理はないと思う」
「ど、どうしてっ?」
リディアは戸惑っているようだった。
「そんな時間はないし、どうせこの船は出航できない。中を調べられることになるよ」
「そんなの長い間閉じこめられるということはないと思うわ」
「でもっ、あたしたちは二人が監禁されているのを知ってるのよ、知ってて見捨てるなんて……」
そこでリディアは何かに気付いたようだった。
「恨んでるの?ロザリーとドーリスは、“妖精の卵”をあなたから奪って、なのに助けてくれなかったから?」
「よく覚えてないな」
困惑気味にエドガーはリディアを見た。
「八年前に、あの河べりの倉庫に監禁されていた男の子と女の子をみたって、ロザリーが話したの。あれはあなたたちのことなんでしょ?グレアム卿があなたをプリンスに引き渡すために監禁してた倉庫へ、ロザリーたちが入り込んだのね?」
リディアは随分知っているらしい。キャロラインはそう思った。
「だとしても、べつに恨むほどのことでもないよ。リディア、彼女たちにとって、薄汚い少年を見捨てるのなんて当然のことだ。自分に関係ないばかりか、かかわって得することなんかないとわかっているからね。悪いけど僕も、彼女たちが叔父の餌食にされたことは知ったことじゃ……」
エドガーが最後まで言う前にリディアは平手を喰らわせた。キャロラインはびっくりした。
まさかビンタするなんて!
「あなたってホントに悪党ね!ロザリーの気持ちにつけこんで、甘い言葉で釣って利用して、もういらないから見捨てるっていうの?……やっぱり恨んでるんじゃないの。本当はあのとき、助けてほしかったんじゃないの!関係なくても、関わって損するだけでも、助けてくれる人がいれば、あなたたちは救われたのに」
「リディア……」
キャロラインが止める間もなく彼女はまくしたてた。
「だから、あたしは助けるわよ!ロザリーとドーリスを、あなたの代わりに助けるわ!得にならなくったって、助けたいと思う気持ちは誰だって持ってるはずだもの。あたしを助けようとしてくれたあなたは、損得だけだったの?そうじゃないと思ったし、そうしんじたいから、あたしは二人を捜すわ!」
言い放った勢いのままリディアはエドガーに背を向けた。
「ニコ、行くわよ!」
ニコはめんどくさそうにリディアについていったのだった。
「レイヴン、意味が分かったか?」
呆然としていたエドガーが訊いた。
「理由はよく分かりませんが、エドガーさまのために出て行かれたような気がします」
「……僕もそんな気がする」
「そうね。でも、リディアは変わった子よね」
「そうだね」
エドガーは頷いた。
「エドガーさま」
エドガーが黙って部屋を出て行こうとしたのをレイヴンが呼びとめる。
「リディアを一人にしておけない。グレアムの仲間がまだひそんでいるかもしれないし」
「彼はどうしましょうか」
「放っておけ」
「そうね。放っておきましょう」
復讐より大事なことがある。それをリディアが教えてくれた気がする。