エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 甘い罠に気を付けて
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6.無慈悲な復讐
先へ進むと兄とグレアムの話し声が聞こえた。
ピストルをグレアムがエドガーに向けている。
ピンチだと思ってレイヴンに合図した。レイヴンがグレアムに襲いかかった。
キャロラインもその隙に部屋に滑り込んだ。
リディアを見ると身体に戻ったようだった。
「もとに戻ったのね……。よかった……」
キャロラインはほっとした。
しかし兄はリディアが抱きついているのがニコなのが不満らしい。
「あのさ、こういう場合は僕に抱きついてくれるものじゃないのか?」
「だって、あなたに抱きつくなんてあぶなすぎるもの」
リディアはよく分かっていると思った。
「……でも、助けてくれたことは感謝してるわ。ありがと……」
「少し顔が赤いね。気分は悪くない?」
「だ、大丈夫よ」
どうやら照れているらしい。
「おい、こんなことをしてただですむと思ってるのか?」
グレアムが強がった声を出す。
「レイヴン、船の外は?」
「はしごを外しておきました。逃げた船乗りが仲間を呼ぶとしても時間がかかるでしょう。船内の者は、あらかた河に放りこみました」
「奴ら上がってくるのに時間がかかるでしょう」
クロウが言った。
「そう……」
キャロラインはそう呟いた。
レイヴンが紙をエドガーに渡す。それは契約書だということに気が付いた。
「契約はなかったことに。ということでグレアム卿、落ち着いて話ができそうだ」
「話?何の話をするっていうんだ」
「あなたの隠し財産について」
グレアムは動揺した顔をした。
「グレアム卿、あなたは盗品や違法に売買された品々を運搬する際、いくらか抜き取って自分のものにしていた。それを親しい貴婦人宅の地下に隠していましたね」
「彼女には、希少なワインの貯蔵に向いているとか言って、自由に地下倉庫を使わせてもらっていたらしいですわね」
「……そんなもの、知らない」
グレアムはしらばっくれた。
「べつにかまいませんよ。その貴婦人にも借金がありましてね、自宅を売らなければならなくなったので僕が買いました。地下にあった安っぽいワインはあなたのものだというので、別の場所に保管してありますが、あの家はもう、なかにあるものも含めて、何もかも僕の物です。地下室の棚でふさいだ部屋、貴婦人も知らないうちにつくられた隠し部屋にあるあれが誰のものだろうと、僕がいただいたそれだけです」
貴婦人が困っていることはご婦人方の話題によくのぼった。それをキャロラインは兄に伝え、兄はそれを調べて買い取った。それだけのことだ。
「あなたの散在癖や、ウォルポール家の財産に安易に手を出したりしたのは、いざとなれば隠し財産があるとタカをくくっていたからなのでしょう?だがいざとなれば、貴婦人宅は売られていた。こういう恋人は、飽きたからと言って無下にしないのが肝心ですね。出なければあなたに相談する前に家を売ってしまうことはなかったかもしれませんよ」
「本当に。女性は気をつけて扱うことですね」
「とはいえあなたは、地下室に隠したものにはまだ誰も気付いていないはずだと、侵入を試みた。他人の手が入った地下室は、隠し部屋があるはずの壁が塗り込められていた。掘り出すのは容易ではないとあせっていたところ、ドーリス嬢に男爵家の財産の使い込みを知られた。……とまあそういうところですか」
「なにが、目当てだ」
グレアムはただならぬものを感じたらしい。
「「あなたの身の破滅」」
声をそろえて言った。
「殺すつもりか……?」
「僕が手を下す必要もないでしょう」
ステッキの先をグレアムの胸元に押し付ける。
「厳重に封印された南アフリカのダイヤモンド、横流しを防ぐために刻印を施された金塊、あれはプリンスが扱っている荷ですよ。ご存知でしょう?あの男は、自分がだまされたり裏切られたりするのは我慢ならない。あなたが荷を抜き取っていたと知ったら、ただではすまないでしょうね」
「ま、まさか、プリンスを知っているのか?いや、ま、待ってくれ、それだけはやめてくれ、……伯爵、何でもする、全財産持って行ってもかまわないから」
「僕たちはあなたの破滅を望んでいると言ったんですよ。あなたを箱詰めにして、刻印付きの金塊の一つとともにプリンスの元に届けるってのはどうです?僕たちからの贈り物だと気付いたときの、奴の顔が目に浮かぶようだ。きっとあなたに、僕たちへの憤りまでぶつけるでしょうね」
「あ、あんたたちは、何者だ?」
「ご存じのはず」
「……うそだ。伯爵と伯爵令嬢なんてうそだろう……!」
「おや、それなら僕の名前を、思い出してもらえますか?ねえグレアム卿、八年前にお会いした時は、死にかけた浮浪児みたいだと、僕たちを見て笑ったんでしたよね。僕は、あなたの顔を覚えてやろうと思ったのですが、目がかすんでよく見えなかった」
「すごく屈辱的でしたわ。だから復讐してやるって思いましたの」
グレアムが瞳を見開く。足が震えている。
「そんな、まさか、あの……」
「プリンスは自分のものを、手荒に扱われるのも許せない。あなたもそれは学んだようで、リディアは丁重に扱ってくれたようですね。僕たちのときははなはだしい荷物扱いで、プリンスを怒らせたあなたはずいぶんな目にあったと聞いていますよ」
急に叫び声を上げながらグレアムがエドガーに掴み掛ろうとした。
が、ひざ蹴りをいれ、ステッキでエドガーはなぐりつけた。キャロラインも蹴りを何度も入れてやった。
抵抗したグレアムはやがてレイヴンによって気絶させられた。
いい気味だと思った。
キャロラインはかなりすっきりした。
先へ進むと兄とグレアムの話し声が聞こえた。
ピストルをグレアムがエドガーに向けている。
ピンチだと思ってレイヴンに合図した。レイヴンがグレアムに襲いかかった。
キャロラインもその隙に部屋に滑り込んだ。
リディアを見ると身体に戻ったようだった。
「もとに戻ったのね……。よかった……」
キャロラインはほっとした。
しかし兄はリディアが抱きついているのがニコなのが不満らしい。
「あのさ、こういう場合は僕に抱きついてくれるものじゃないのか?」
「だって、あなたに抱きつくなんてあぶなすぎるもの」
リディアはよく分かっていると思った。
「……でも、助けてくれたことは感謝してるわ。ありがと……」
「少し顔が赤いね。気分は悪くない?」
「だ、大丈夫よ」
どうやら照れているらしい。
「おい、こんなことをしてただですむと思ってるのか?」
グレアムが強がった声を出す。
「レイヴン、船の外は?」
「はしごを外しておきました。逃げた船乗りが仲間を呼ぶとしても時間がかかるでしょう。船内の者は、あらかた河に放りこみました」
「奴ら上がってくるのに時間がかかるでしょう」
クロウが言った。
「そう……」
キャロラインはそう呟いた。
レイヴンが紙をエドガーに渡す。それは契約書だということに気が付いた。
「契約はなかったことに。ということでグレアム卿、落ち着いて話ができそうだ」
「話?何の話をするっていうんだ」
「あなたの隠し財産について」
グレアムは動揺した顔をした。
「グレアム卿、あなたは盗品や違法に売買された品々を運搬する際、いくらか抜き取って自分のものにしていた。それを親しい貴婦人宅の地下に隠していましたね」
「彼女には、希少なワインの貯蔵に向いているとか言って、自由に地下倉庫を使わせてもらっていたらしいですわね」
「……そんなもの、知らない」
グレアムはしらばっくれた。
「べつにかまいませんよ。その貴婦人にも借金がありましてね、自宅を売らなければならなくなったので僕が買いました。地下にあった安っぽいワインはあなたのものだというので、別の場所に保管してありますが、あの家はもう、なかにあるものも含めて、何もかも僕の物です。地下室の棚でふさいだ部屋、貴婦人も知らないうちにつくられた隠し部屋にあるあれが誰のものだろうと、僕がいただいたそれだけです」
貴婦人が困っていることはご婦人方の話題によくのぼった。それをキャロラインは兄に伝え、兄はそれを調べて買い取った。それだけのことだ。
「あなたの散在癖や、ウォルポール家の財産に安易に手を出したりしたのは、いざとなれば隠し財産があるとタカをくくっていたからなのでしょう?だがいざとなれば、貴婦人宅は売られていた。こういう恋人は、飽きたからと言って無下にしないのが肝心ですね。出なければあなたに相談する前に家を売ってしまうことはなかったかもしれませんよ」
「本当に。女性は気をつけて扱うことですね」
「とはいえあなたは、地下室に隠したものにはまだ誰も気付いていないはずだと、侵入を試みた。他人の手が入った地下室は、隠し部屋があるはずの壁が塗り込められていた。掘り出すのは容易ではないとあせっていたところ、ドーリス嬢に男爵家の財産の使い込みを知られた。……とまあそういうところですか」
「なにが、目当てだ」
グレアムはただならぬものを感じたらしい。
「「あなたの身の破滅」」
声をそろえて言った。
「殺すつもりか……?」
「僕が手を下す必要もないでしょう」
ステッキの先をグレアムの胸元に押し付ける。
「厳重に封印された南アフリカのダイヤモンド、横流しを防ぐために刻印を施された金塊、あれはプリンスが扱っている荷ですよ。ご存知でしょう?あの男は、自分がだまされたり裏切られたりするのは我慢ならない。あなたが荷を抜き取っていたと知ったら、ただではすまないでしょうね」
「ま、まさか、プリンスを知っているのか?いや、ま、待ってくれ、それだけはやめてくれ、……伯爵、何でもする、全財産持って行ってもかまわないから」
「僕たちはあなたの破滅を望んでいると言ったんですよ。あなたを箱詰めにして、刻印付きの金塊の一つとともにプリンスの元に届けるってのはどうです?僕たちからの贈り物だと気付いたときの、奴の顔が目に浮かぶようだ。きっとあなたに、僕たちへの憤りまでぶつけるでしょうね」
「あ、あんたたちは、何者だ?」
「ご存じのはず」
「……うそだ。伯爵と伯爵令嬢なんてうそだろう……!」
「おや、それなら僕の名前を、思い出してもらえますか?ねえグレアム卿、八年前にお会いした時は、死にかけた浮浪児みたいだと、僕たちを見て笑ったんでしたよね。僕は、あなたの顔を覚えてやろうと思ったのですが、目がかすんでよく見えなかった」
「すごく屈辱的でしたわ。だから復讐してやるって思いましたの」
グレアムが瞳を見開く。足が震えている。
「そんな、まさか、あの……」
「プリンスは自分のものを、手荒に扱われるのも許せない。あなたもそれは学んだようで、リディアは丁重に扱ってくれたようですね。僕たちのときははなはだしい荷物扱いで、プリンスを怒らせたあなたはずいぶんな目にあったと聞いていますよ」
急に叫び声を上げながらグレアムがエドガーに掴み掛ろうとした。
が、ひざ蹴りをいれ、ステッキでエドガーはなぐりつけた。キャロラインも蹴りを何度も入れてやった。
抵抗したグレアムはやがてレイヴンによって気絶させられた。
いい気味だと思った。
キャロラインはかなりすっきりした。