エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 甘い罠に気を付けて
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ジェニーの元で楽しいひと時を過ごしたキャロラインは伯爵邸に戻った。
そこでリディアがいなくなったことを知った。
カールトンがやってきてここにいないかどうか訊いたからだ。
忘れ物を届けに行くと言って出かけて行ったらしい。
「すみません、伯爵、レディ・キャロライン、もしかしたらまた用ができて、こちらにいるのではないかと思ったもので」
カールトンはリディアがいないことを確認すると、すぐ出て行こうとした。
「カールトンさん、どうか気を落ち着けて下さい。これから僕も、心当たりを訪ねてみますから」
引き止めながらエドガーが言った。そして外套と帽子を執事に用意させた。
忘れ物とはロザリーが持っていた“妖精の卵”だろう。
それはかつてキャロラインの家にあったものだった。兄がいつも持っていた。しかしそれはいつの間にかなくなった。
何時だったのか忘れていたがロザリーと会ったことで思い出した。ということは彼女の周辺にプリンスにキャロラインたちを売った人物がいるということだ。
「あの、リディアはまた、危険なことに首を突っ込んでいるんでしょうか」
カールトンが訊いた。
「大丈夫ですよ。思うに、ちょっとわがままな知人に引き止められているのではないかと」
何気ない口調でエドガーが言った。
「伯爵、リディアはあなたを信用しています。フェアリードクターは、時には危険な仕事ですが、伯爵家のために働くことを選んだ娘を、守ってやってくれますか」
そういうカールトンはエドガーとキャロラインがどういう種類の人間か感づいているのだ。しかし娘が信用するなら何も言うまいとしているのだろう。
よく似たお人よしの父娘だと思う。
「もちろんです。お嬢さんは僕の恩人なのですから、何があっても守りますよ」
「ええ。必ず守りますから」
エドガーとキャロラインは言った。
その言葉に納得したのかカールトンは去って行った。
そのあと兄は難しい顔をした。リディアをおとりにしたことを後悔しているのかもしれない。
「ふうん、少しくらいは、あんたにも咎める良心があるのかね」
「ニコ」
キャロラインはニコを見た。
「ニコ、どこへ行くんだ?」
エドガーが訊いた。ニコと会話できるのを不思議に思っていないようだ。
「リディアを捜すんだよ。あんたになんかまかせておけるかよ」
そう言うとニコは姿を消した。
「エドガーさま、キャロラインさま、たった今情報屋のひとりから報せが届きました」
レイヴンがステッキを差し出しながら言った。
「悪い報せか?」
「まあ、何なの?」
「このタイミングで言えばそうです」
「……リディアを公園で狙った男は、グレアムが雇っていたんだな?」
「はい。“犬使い(ドックテイマー)”と呼ばれていたあの男は、しばしばグレアムが利用していたそうです」
レイヴンが言った。
「グレアムはほかにも、アシェンバート伯爵家のフェアリードクターを狙うようにと下町のごろつきに声をかけていました」
「以前にも、霊媒師や予知夢を見る少女などをさらう手伝いをした男が、今回は断ったと話していたようです」
クロウとシエルも言った。
「ということは、グレアムは間違いなく、プリンスの手先だ」
「これで確定したわね」
怪しいと睨んでいた男がプリンスの手先だというのが確定した。
「で、それは?」
エドガーがレイヴンに訊いた。へこんだ缶詰を手にしている。中になんか力があるものが入っているのがわかる。
「フェアリードクターに届けてくれと、うるさく言うので」
「誰が?」
「これがです」
中に入っているものはなぜフェアリードクターの力を必要としているのだろうか。でも悪いものではなさそうだ。
「ところでレイヴン、こうなったら計画を変更しなきゃならないな」
「……はい。自宅に戻ったなら心配はないと思っていたので意外でした。リディアさんも公園でのこと以来、ひとりででかけることはひかえていたようですし」
「女性のことは、わかったつもりになってはいけないということを忘れていたよ」
「らしくありませんね」
レイヴンが言った。
「とっととロザリーから居場所を聞き出すことね。この馬鹿兄」
「一緒に行かないのかい?」
「なんで私がお兄さまのしでかしたことを一緒になって片づけなければいけないの? それに妹ってだけでいろいろうるさく聞かれたりしてうんざり! それにほかにやることあるの。だから一人で行って」
「分かったよ。リディアは連れ戻すから」
「その言葉信じているわ。それでは気をつけてね」
キャロラインの言葉に頷くとエドガーは屋敷を出て行ったのだった。
そこでリディアがいなくなったことを知った。
カールトンがやってきてここにいないかどうか訊いたからだ。
忘れ物を届けに行くと言って出かけて行ったらしい。
「すみません、伯爵、レディ・キャロライン、もしかしたらまた用ができて、こちらにいるのではないかと思ったもので」
カールトンはリディアがいないことを確認すると、すぐ出て行こうとした。
「カールトンさん、どうか気を落ち着けて下さい。これから僕も、心当たりを訪ねてみますから」
引き止めながらエドガーが言った。そして外套と帽子を執事に用意させた。
忘れ物とはロザリーが持っていた“妖精の卵”だろう。
それはかつてキャロラインの家にあったものだった。兄がいつも持っていた。しかしそれはいつの間にかなくなった。
何時だったのか忘れていたがロザリーと会ったことで思い出した。ということは彼女の周辺にプリンスにキャロラインたちを売った人物がいるということだ。
「あの、リディアはまた、危険なことに首を突っ込んでいるんでしょうか」
カールトンが訊いた。
「大丈夫ですよ。思うに、ちょっとわがままな知人に引き止められているのではないかと」
何気ない口調でエドガーが言った。
「伯爵、リディアはあなたを信用しています。フェアリードクターは、時には危険な仕事ですが、伯爵家のために働くことを選んだ娘を、守ってやってくれますか」
そういうカールトンはエドガーとキャロラインがどういう種類の人間か感づいているのだ。しかし娘が信用するなら何も言うまいとしているのだろう。
よく似たお人よしの父娘だと思う。
「もちろんです。お嬢さんは僕の恩人なのですから、何があっても守りますよ」
「ええ。必ず守りますから」
エドガーとキャロラインは言った。
その言葉に納得したのかカールトンは去って行った。
そのあと兄は難しい顔をした。リディアをおとりにしたことを後悔しているのかもしれない。
「ふうん、少しくらいは、あんたにも咎める良心があるのかね」
「ニコ」
キャロラインはニコを見た。
「ニコ、どこへ行くんだ?」
エドガーが訊いた。ニコと会話できるのを不思議に思っていないようだ。
「リディアを捜すんだよ。あんたになんかまかせておけるかよ」
そう言うとニコは姿を消した。
「エドガーさま、キャロラインさま、たった今情報屋のひとりから報せが届きました」
レイヴンがステッキを差し出しながら言った。
「悪い報せか?」
「まあ、何なの?」
「このタイミングで言えばそうです」
「……リディアを公園で狙った男は、グレアムが雇っていたんだな?」
「はい。“犬使い(ドックテイマー)”と呼ばれていたあの男は、しばしばグレアムが利用していたそうです」
レイヴンが言った。
「グレアムはほかにも、アシェンバート伯爵家のフェアリードクターを狙うようにと下町のごろつきに声をかけていました」
「以前にも、霊媒師や予知夢を見る少女などをさらう手伝いをした男が、今回は断ったと話していたようです」
クロウとシエルも言った。
「ということは、グレアムは間違いなく、プリンスの手先だ」
「これで確定したわね」
怪しいと睨んでいた男がプリンスの手先だというのが確定した。
「で、それは?」
エドガーがレイヴンに訊いた。へこんだ缶詰を手にしている。中になんか力があるものが入っているのがわかる。
「フェアリードクターに届けてくれと、うるさく言うので」
「誰が?」
「これがです」
中に入っているものはなぜフェアリードクターの力を必要としているのだろうか。でも悪いものではなさそうだ。
「ところでレイヴン、こうなったら計画を変更しなきゃならないな」
「……はい。自宅に戻ったなら心配はないと思っていたので意外でした。リディアさんも公園でのこと以来、ひとりででかけることはひかえていたようですし」
「女性のことは、わかったつもりになってはいけないということを忘れていたよ」
「らしくありませんね」
レイヴンが言った。
「とっととロザリーから居場所を聞き出すことね。この馬鹿兄」
「一緒に行かないのかい?」
「なんで私がお兄さまのしでかしたことを一緒になって片づけなければいけないの? それに妹ってだけでいろいろうるさく聞かれたりしてうんざり! それにほかにやることあるの。だから一人で行って」
「分かったよ。リディアは連れ戻すから」
「その言葉信じているわ。それでは気をつけてね」
キャロラインの言葉に頷くとエドガーは屋敷を出て行ったのだった。