エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 甘い罠に気を付けて
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やがて兄が帰ってきた。
キャロラインはそれを聞いて兄の自室に向かった。
自室に行くと兄がレイヴンから報告を受けていた。
どうやら兄はリディアを一人で返すことでグレアムが行動を起こすと思ったらしい。
「あの、エドガーさま、このままリディアさんをおとりにしてよろしいんですか?」
レイヴンが言った。
「おまえが不安を感じるなら考えるが?」
「いいえ、そうではありません」
どうやらレイヴンはリディアをおとりにする無神経なやり方はどうかと聞いているらしい。レイヴンが自分たち以外に興味を示すなんて珍しい。と思った。でもいい傾向だ。
「プリンスの手駒が誰か、確認するためだ。密輸に船を使い、ときには注文どおり盗品を都合したり、人身販売にも手を出している人物が、このロンドンにいるはずなんだ」
その人物こそキャロラインとエドガーをプリンスに売り払った人物。だいたいの目星はついている。だがプリンスの息のかかったものかそうでないかはまだ判断がついていない。もしプリンスの息のかかったものだったら徹底的に復讐してやる。キャロラインはそう思った。
「例の人物は、リディアさんをターゲットにするでしょうか。先日の、公園でのことは、偶然の変質者とも判断がつきませんし」
「そうですよ。それにリディアさんに興味を持つかどうかさえまだわからないのに」
レイヴンとクロウが言った。
「するはずだよ、特殊な能力のある人間に、プリンスが高い金を払うことを知っている。それにキャロラインが連れてこられたのは特殊な能力があったからだしね。プリンスのところにいた異能力者のひとりが、僕と同じ船に乗せられてきたことはわかっているし、ここ数年のロンドンでも、霊能力者が何人か消えている。奴がプリンスの手下なら、リディアがフェアリードクターだと知った以上目をつけるはずだ。きっとまた動く」
「そうね。プリンスのご機嫌をとっておきたいだろうし」
キャロラインは頷いた。
「もう少しだ。みんなの仇を討ってやれる」
「これでみんなが報われる……」
エドガーとキャロラインの声に力がこもる。
「エドガーさま、キャロラインさま、復讐は、姉や仲間たちのためですか。もしもそうなら、誰もそんなことは望んでいないのではないかと思います」
「そうですよ。ただ幸せに暮らしてくれれば満足だと思います」
「復讐なんか誰も望んでいません」
レイヴン、クロウ、シエルの言葉にキャロラインはそうかもしれないと思った。でもみんな自分たちを信じていたのに死んでしまった。そんな彼らに何かしてやりたいと思うのは当然ではないか。
「レイヴン、シエル、クロウ、結局、おまえたちだけになってしまったな」
エドガーが呟く。
「僕の逃亡を助けてくれた誰も、ここまで連れてきてやれなかった。自由にしてやると約束したのに……」
「お兄さま……」
キャロラインにはその気持ちがわかった。今ここに仲間がいてくれたら……。そう思った。
「申し訳ありません」
「なぜ謝る?」
兄の言う通りレイヴンが謝ることなど何もない。
「……誰も、後悔していないと思います。今のあなた方を見れば、心から喜んでいると思います。でも、……うまく言えません」
「じゅうぶんだよ、レイヴン」
エドガーはそう言うと立ち上がってレイヴンの肩を叩いたのだった。
レイヴン、クロウ、シエル。彼らがエドガーとキャロラインがここにいる理由だった。
キャロラインはそれを聞いて兄の自室に向かった。
自室に行くと兄がレイヴンから報告を受けていた。
どうやら兄はリディアを一人で返すことでグレアムが行動を起こすと思ったらしい。
「あの、エドガーさま、このままリディアさんをおとりにしてよろしいんですか?」
レイヴンが言った。
「おまえが不安を感じるなら考えるが?」
「いいえ、そうではありません」
どうやらレイヴンはリディアをおとりにする無神経なやり方はどうかと聞いているらしい。レイヴンが自分たち以外に興味を示すなんて珍しい。と思った。でもいい傾向だ。
「プリンスの手駒が誰か、確認するためだ。密輸に船を使い、ときには注文どおり盗品を都合したり、人身販売にも手を出している人物が、このロンドンにいるはずなんだ」
その人物こそキャロラインとエドガーをプリンスに売り払った人物。だいたいの目星はついている。だがプリンスの息のかかったものかそうでないかはまだ判断がついていない。もしプリンスの息のかかったものだったら徹底的に復讐してやる。キャロラインはそう思った。
「例の人物は、リディアさんをターゲットにするでしょうか。先日の、公園でのことは、偶然の変質者とも判断がつきませんし」
「そうですよ。それにリディアさんに興味を持つかどうかさえまだわからないのに」
レイヴンとクロウが言った。
「するはずだよ、特殊な能力のある人間に、プリンスが高い金を払うことを知っている。それにキャロラインが連れてこられたのは特殊な能力があったからだしね。プリンスのところにいた異能力者のひとりが、僕と同じ船に乗せられてきたことはわかっているし、ここ数年のロンドンでも、霊能力者が何人か消えている。奴がプリンスの手下なら、リディアがフェアリードクターだと知った以上目をつけるはずだ。きっとまた動く」
「そうね。プリンスのご機嫌をとっておきたいだろうし」
キャロラインは頷いた。
「もう少しだ。みんなの仇を討ってやれる」
「これでみんなが報われる……」
エドガーとキャロラインの声に力がこもる。
「エドガーさま、キャロラインさま、復讐は、姉や仲間たちのためですか。もしもそうなら、誰もそんなことは望んでいないのではないかと思います」
「そうですよ。ただ幸せに暮らしてくれれば満足だと思います」
「復讐なんか誰も望んでいません」
レイヴン、クロウ、シエルの言葉にキャロラインはそうかもしれないと思った。でもみんな自分たちを信じていたのに死んでしまった。そんな彼らに何かしてやりたいと思うのは当然ではないか。
「レイヴン、シエル、クロウ、結局、おまえたちだけになってしまったな」
エドガーが呟く。
「僕の逃亡を助けてくれた誰も、ここまで連れてきてやれなかった。自由にしてやると約束したのに……」
「お兄さま……」
キャロラインにはその気持ちがわかった。今ここに仲間がいてくれたら……。そう思った。
「申し訳ありません」
「なぜ謝る?」
兄の言う通りレイヴンが謝ることなど何もない。
「……誰も、後悔していないと思います。今のあなた方を見れば、心から喜んでいると思います。でも、……うまく言えません」
「じゅうぶんだよ、レイヴン」
エドガーはそう言うと立ち上がってレイヴンの肩を叩いたのだった。
レイヴン、クロウ、シエル。彼らがエドガーとキャロラインがここにいる理由だった。