エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 甘い罠に気を付けて
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「ねえ、リディアはどうして僕に微笑んでくれないんだろうね?」
「急に何よ」
リディアが用意をしに行っている間馬車に乗りながらエドガーが言った。
「だって花をやっても微笑んでくれない。あの男には微笑んだのにさ」
「それは心が籠ってないからよ。それに女の子は好きな人からもらった花の方がどうでもいい人からもらった花よりうれしいものよ」
「そういうものなのかな……」
「そういうものよ。ね、クロウ、シエル、マーガレット」
「キャロラインさまの言う通りですね」
ふわふわした薄茶色の髪の侍女はそう言ってにっこりと笑った。
「よく、分かりませんがそうなのだと思います」
「キャロラインさまがいうならそうなのだと思います」
黒髪を一つにまとめた女従者と黒髪の従者はキャロラインが言うならと頷いた。
「ふうん。そうなんだ」
エドガーはそう言って何か考え込んだ。
キャロラインはろくなことを考えていないと思って放っておいた。
やがて準備を終えたリディアがやって来た。
キャロラインは兄がリディアと会話しているのをぼんやりと外を眺めながら聞いていた。
が、リディアの一言で現実にかえった。
「だったらあなたも、あたしをあざむこうなんてやめたら?知ってるのよ、ドーリス嬢がいなくなった日、あなたが彼女を馬車に乗せたってこと」
「ふうん、誰がそんなことを?」
しかしエドガーは動じなかった。
「あの日あなたは、港へ行ったわ。ドックランドの倉庫街に馬車を止めて、何をしてたの?それから、メイドとはぐれていたドーリス嬢をバザー会場の近くで馬車に乗せて、でも彼女はそれきり姿を消した。どう考えてもあなたが一番あやしいじゃない」
「きみは千里眼なのか?」
「すごいわね」
キャロラインは感心した。
「港に住んでいた小妖精を、あなた、馬車の屋根に乗せたまま帰ってきたのよ。見たこともない高級住宅街に連れてこられて、途方に暮れてた妖精がお屋敷をうろついてたから話を聞いたの」
「いくら口の堅い召使いをそろえても、きみと結婚したら浮気もできやしないのか」
「浮気性とは結婚なんてしません」
「結婚しても浮気するつもりなの……」
キャロラインは呆れた。
くすりと笑い声が聞こえた。
レイヴンだった。
「レイヴン、今笑ったね」
「とんでもない」
レイヴンでも笑えると知ってキャロラインはほっとした。
感情を見せることができるのだ。
「リディア、たしかにドーリス嬢を馬車には乗せたけど、屋敷の前まで送っただけだよ。彼女に会ったのは本当に偶然だし、いなくなったと聞いて驚いたんだ。彼女をおろしたところを妖精は見てなかったのかい?」
「ええ、残念ながら。しばらく居眠りしていたそうよ」
「……役に立たない妖精だ。とにかく、これはうそじゃない。信じてくれ」
兄の言っていることは本当だ。たしかその日、グレアム卿のことを調べにそこに行ったはずだ。
「じゃあどうして、人助けなんてする気になったの?」
「さすがに気になるじゃないか。屋敷の前でおろしたのに、そこから彼女が消えたんだとしたら……。たしかに僕が疑われても不思議はない。だからこそ、真実を確かめなきゃと思ったんだよ」
「ほかに、あたしに隠していることはない?」
「ないよ」
「またあたしをだましてない」
「そんなわけないだろう?」
嘘ばっかり。キャロラインはそれを聞きながらそう思ったのだった。
「急に何よ」
リディアが用意をしに行っている間馬車に乗りながらエドガーが言った。
「だって花をやっても微笑んでくれない。あの男には微笑んだのにさ」
「それは心が籠ってないからよ。それに女の子は好きな人からもらった花の方がどうでもいい人からもらった花よりうれしいものよ」
「そういうものなのかな……」
「そういうものよ。ね、クロウ、シエル、マーガレット」
「キャロラインさまの言う通りですね」
ふわふわした薄茶色の髪の侍女はそう言ってにっこりと笑った。
「よく、分かりませんがそうなのだと思います」
「キャロラインさまがいうならそうなのだと思います」
黒髪を一つにまとめた女従者と黒髪の従者はキャロラインが言うならと頷いた。
「ふうん。そうなんだ」
エドガーはそう言って何か考え込んだ。
キャロラインはろくなことを考えていないと思って放っておいた。
やがて準備を終えたリディアがやって来た。
キャロラインは兄がリディアと会話しているのをぼんやりと外を眺めながら聞いていた。
が、リディアの一言で現実にかえった。
「だったらあなたも、あたしをあざむこうなんてやめたら?知ってるのよ、ドーリス嬢がいなくなった日、あなたが彼女を馬車に乗せたってこと」
「ふうん、誰がそんなことを?」
しかしエドガーは動じなかった。
「あの日あなたは、港へ行ったわ。ドックランドの倉庫街に馬車を止めて、何をしてたの?それから、メイドとはぐれていたドーリス嬢をバザー会場の近くで馬車に乗せて、でも彼女はそれきり姿を消した。どう考えてもあなたが一番あやしいじゃない」
「きみは千里眼なのか?」
「すごいわね」
キャロラインは感心した。
「港に住んでいた小妖精を、あなた、馬車の屋根に乗せたまま帰ってきたのよ。見たこともない高級住宅街に連れてこられて、途方に暮れてた妖精がお屋敷をうろついてたから話を聞いたの」
「いくら口の堅い召使いをそろえても、きみと結婚したら浮気もできやしないのか」
「浮気性とは結婚なんてしません」
「結婚しても浮気するつもりなの……」
キャロラインは呆れた。
くすりと笑い声が聞こえた。
レイヴンだった。
「レイヴン、今笑ったね」
「とんでもない」
レイヴンでも笑えると知ってキャロラインはほっとした。
感情を見せることができるのだ。
「リディア、たしかにドーリス嬢を馬車には乗せたけど、屋敷の前まで送っただけだよ。彼女に会ったのは本当に偶然だし、いなくなったと聞いて驚いたんだ。彼女をおろしたところを妖精は見てなかったのかい?」
「ええ、残念ながら。しばらく居眠りしていたそうよ」
「……役に立たない妖精だ。とにかく、これはうそじゃない。信じてくれ」
兄の言っていることは本当だ。たしかその日、グレアム卿のことを調べにそこに行ったはずだ。
「じゃあどうして、人助けなんてする気になったの?」
「さすがに気になるじゃないか。屋敷の前でおろしたのに、そこから彼女が消えたんだとしたら……。たしかに僕が疑われても不思議はない。だからこそ、真実を確かめなきゃと思ったんだよ」
「ほかに、あたしに隠していることはない?」
「ないよ」
「またあたしをだましてない」
「そんなわけないだろう?」
嘘ばっかり。キャロラインはそれを聞きながらそう思ったのだった。