エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 あいつは優雅な大悪党
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道はそう長くなかった。少し行くと岩場にぽっかり口を開けた暗い空洞を横切る吊り橋があり、それを渡りきれば、岩壁に取り付けられたドアがあった。
ドアにリディアが近づこうとするとエドガーが止めた。
「バンシーの次はもうメロウだね。なら慎重に行動して方がいい」
「慎重にって?」
「宝剣に近づいた者はみんな死んでいるんだろう?ここは何か仕掛けがありそうだ。ほら、歯車の一部が見える」
橋を造っているロープが繋がる岩陰に、たしかに仕掛けめいたものがある。
エドガーはコートの内ポケットから銀の薄い板状の鍵を取り出した。
「それは?」
リディアが訊いた。
「このドアを開く魔法の鍵」
そのとき酒蔵の方から、急に騒がしい足音が聞こえてきた。ランプの明かりがうごめく人影を大きく映しだすと、それはやがてこちらを照らす。
「ジョン、待て!これ以上好きにはさせないぞ!」
「いいかげん、きみの顔を見るのは飽きてきたよ、ハスクリー君」
「きみには飽きたわ。っていうかしつこい」
エドガーとキャロラインはうんざりしたように言った。
「おい、つかまえろ」
ハスクリーはエドガーたちの態度に警戒しながら弟たちに指図する。
慎重に近づいてこようとする彼らを後目に、エドガーはドアに歩み寄った。
そのとき、どこからともなくうなるような音が聞こえてきた。ゴッサムたちも立ち止まる。岩の空洞を振動させながら、嵐のような音がこちらに近づいてくる。
「……何だ……?」
ひるんだ男たちのつぶやきが悲鳴にかわる。突風が吹き付けたからだ。
「メロウだわ、メロウの魔力よ……」
リディアが呟く。
ぼんやりしていると落ちそうだ。
「リディア、キャロライン、レイヴン、クロウ、シエル、こっちへ来るんだ。ドアにつかまってろ」
風に逆らいながらエドガーが5人を引き寄せる。そして素早く、銀板をドアの隙間に差し込んだ。
唐突に風が止んだ。
キャロラインはドアの中に入り込む。兄を見るとリディアをドアの中に引きずり込もうとしていた。それと同時に歯車が動き始め、吊り橋が真ん中で切れた。ハスクリーたちはあわてて向こうに飛び移る。
「きゃあっ!」
リディアが悲鳴をあげる。戻りきれずにドアの方に飛ぼうとした男がリディアの足首をつかんだからだ。
リディアの腰に腕をまわし、落ちるのを防いだエドガーは、這い上がろうとしている男の腕を踏みつけた。
「触るんじゃないよ、下衆野郎」
あっと言う間に蹴り落とす。
キャロラインはよくやったと兄のことを褒め称えた。
かろうじて男は垂れ下がった吊り橋のロープにつかまった。
「おい、教授がどうなってもいいのか!」
向こう側でハスクリーが叫ぶ。
「父さま!」
リディアが叫ぶ。カールトン教授をハスクリーが前方に引きずり出したからだ。
「お嬢さん、宝石を取って来るんだ。でないとこいつを、ここから突き落とすからな」
煩い男だ。キャロラインはそう思った。
「待って」
リディアがあわてて後を追ってくる。
「父さまを助けて、約束したでしょう?」
「宝石を渡したとしても、あいつが父上を無事帰すとは思えないな。きみのことも、犯罪の証人だ。まとめて殺されるよ」
「でも、このままじゃ……」
「まだ宝剣は手に入っていない」
エドガーはそう言って前方を注視する。
キャロラインもそうする。宝剣がもうすぐ手に入るのだ。わくわくする気持ちを抑えて深呼吸する。
ドアにリディアが近づこうとするとエドガーが止めた。
「バンシーの次はもうメロウだね。なら慎重に行動して方がいい」
「慎重にって?」
「宝剣に近づいた者はみんな死んでいるんだろう?ここは何か仕掛けがありそうだ。ほら、歯車の一部が見える」
橋を造っているロープが繋がる岩陰に、たしかに仕掛けめいたものがある。
エドガーはコートの内ポケットから銀の薄い板状の鍵を取り出した。
「それは?」
リディアが訊いた。
「このドアを開く魔法の鍵」
そのとき酒蔵の方から、急に騒がしい足音が聞こえてきた。ランプの明かりがうごめく人影を大きく映しだすと、それはやがてこちらを照らす。
「ジョン、待て!これ以上好きにはさせないぞ!」
「いいかげん、きみの顔を見るのは飽きてきたよ、ハスクリー君」
「きみには飽きたわ。っていうかしつこい」
エドガーとキャロラインはうんざりしたように言った。
「おい、つかまえろ」
ハスクリーはエドガーたちの態度に警戒しながら弟たちに指図する。
慎重に近づいてこようとする彼らを後目に、エドガーはドアに歩み寄った。
そのとき、どこからともなくうなるような音が聞こえてきた。ゴッサムたちも立ち止まる。岩の空洞を振動させながら、嵐のような音がこちらに近づいてくる。
「……何だ……?」
ひるんだ男たちのつぶやきが悲鳴にかわる。突風が吹き付けたからだ。
「メロウだわ、メロウの魔力よ……」
リディアが呟く。
ぼんやりしていると落ちそうだ。
「リディア、キャロライン、レイヴン、クロウ、シエル、こっちへ来るんだ。ドアにつかまってろ」
風に逆らいながらエドガーが5人を引き寄せる。そして素早く、銀板をドアの隙間に差し込んだ。
唐突に風が止んだ。
キャロラインはドアの中に入り込む。兄を見るとリディアをドアの中に引きずり込もうとしていた。それと同時に歯車が動き始め、吊り橋が真ん中で切れた。ハスクリーたちはあわてて向こうに飛び移る。
「きゃあっ!」
リディアが悲鳴をあげる。戻りきれずにドアの方に飛ぼうとした男がリディアの足首をつかんだからだ。
リディアの腰に腕をまわし、落ちるのを防いだエドガーは、這い上がろうとしている男の腕を踏みつけた。
「触るんじゃないよ、下衆野郎」
あっと言う間に蹴り落とす。
キャロラインはよくやったと兄のことを褒め称えた。
かろうじて男は垂れ下がった吊り橋のロープにつかまった。
「おい、教授がどうなってもいいのか!」
向こう側でハスクリーが叫ぶ。
「父さま!」
リディアが叫ぶ。カールトン教授をハスクリーが前方に引きずり出したからだ。
「お嬢さん、宝石を取って来るんだ。でないとこいつを、ここから突き落とすからな」
煩い男だ。キャロラインはそう思った。
「待って」
リディアがあわてて後を追ってくる。
「父さまを助けて、約束したでしょう?」
「宝石を渡したとしても、あいつが父上を無事帰すとは思えないな。きみのことも、犯罪の証人だ。まとめて殺されるよ」
「でも、このままじゃ……」
「まだ宝剣は手に入っていない」
エドガーはそう言って前方を注視する。
キャロラインもそうする。宝剣がもうすぐ手に入るのだ。わくわくする気持ちを抑えて深呼吸する。