エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 あいつは優雅な大悪党
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首のない奇妙な絵があった。リディアは身を屈めてその下の壁を調べている。
「この絵がデュラハンか?」
「そうよ、首なしの妖精なの。足元ってことは、あ、ほら、壁がはずれるわ」
開いたそこには下へと続く階段があった。それを下りきると、急に外の風景が目の前に広がった。
断崖に張り出した、テラスのような場所だった。
「道は行き止まりのようだけど?」
「次は“レプラホーン”の宝物ね」
キャロラインは詩の言葉を思い出しながら言った。
「ヘプラホーンは靴を縫う妖精。地下に宝物を隠しているというわ」
「地下か。まさかここからとび降りろってわけじゃないだろうね」
「そんなわけないでしょ。青騎士伯爵家の後継者を死なせるわけないじゃない。」
「冗談だよ」
「時と場合を選びなさいよ。この馬鹿兄」
キャロラインは不謹慎なことをいう兄を詰った。
「ちょと待って、少し考えさせて」
「ここで敵に追いつめられたら、逃げ場がありません」
アーミンが不安気に背後を見やった。
「少しだけ待とう」
そのままみんな、黙り込んだ。
しばらくして、アーミンが再び口を開いた。
「エドガーさま、宝剣を得るのは、やはりわたしたちには無理なんです。……わたしは、一生プリンスの目に怯え逃げ続けるとしてもかまいません。こうすることがわたしやレイヴン、シエルやクロウのためなら、もう、やめましょう」
「アーミン、馬鹿なことを言うな。おまえがいちばん、プリンスの恐ろしさを知っている。奴の呪縛を、必ず僕が断ち切ってやると約束しただろう。」
「お兄さまは約束を守るわ」
目を伏せたアーミンは、じっと考え込んでいたが、やがて顔をあげた。
「エドガーさま、キャロラインさま、それもきっと不可能です」
そしてリディアの方を見た。
「プリンスは、わたしの望みも弱みも知っています。わたしが、エドガーさまと逃亡を続けることに幸せを感じていると……。同じ目的を持ち、支え合いながら、他の誰も寄せつけずかかわらない、閉鎖的な仲間意識。その輪の中だけでわたしが、エドガーさまを独占できる幸せにひたっていられるのだと知っています。もしもプリンスから自由になれるとしたら、あなたとわたしの関係も、ありふれた主従になってしまう。それをわたしが恐れていると、見抜かれているのです」
「アーミン、何を」
「もうしわけありません、エドガーさま、キャロラインさま。あなた方を見張り続けることができるなら、当分手出しはしないでやると言われておりました」
「まさか……、プリンスにか?」
「プリンスの奴……!」
エドガーとキャロラインは憤りを声に滲ませた。
猛烈に怒りがわいてくる。胸がざわざわして力が発動しかけているのがわかる。
あいつにしてやられたのだ。悔しい気持ちでいっぱいだった。
「この絵がデュラハンか?」
「そうよ、首なしの妖精なの。足元ってことは、あ、ほら、壁がはずれるわ」
開いたそこには下へと続く階段があった。それを下りきると、急に外の風景が目の前に広がった。
断崖に張り出した、テラスのような場所だった。
「道は行き止まりのようだけど?」
「次は“レプラホーン”の宝物ね」
キャロラインは詩の言葉を思い出しながら言った。
「ヘプラホーンは靴を縫う妖精。地下に宝物を隠しているというわ」
「地下か。まさかここからとび降りろってわけじゃないだろうね」
「そんなわけないでしょ。青騎士伯爵家の後継者を死なせるわけないじゃない。」
「冗談だよ」
「時と場合を選びなさいよ。この馬鹿兄」
キャロラインは不謹慎なことをいう兄を詰った。
「ちょと待って、少し考えさせて」
「ここで敵に追いつめられたら、逃げ場がありません」
アーミンが不安気に背後を見やった。
「少しだけ待とう」
そのままみんな、黙り込んだ。
しばらくして、アーミンが再び口を開いた。
「エドガーさま、宝剣を得るのは、やはりわたしたちには無理なんです。……わたしは、一生プリンスの目に怯え逃げ続けるとしてもかまいません。こうすることがわたしやレイヴン、シエルやクロウのためなら、もう、やめましょう」
「アーミン、馬鹿なことを言うな。おまえがいちばん、プリンスの恐ろしさを知っている。奴の呪縛を、必ず僕が断ち切ってやると約束しただろう。」
「お兄さまは約束を守るわ」
目を伏せたアーミンは、じっと考え込んでいたが、やがて顔をあげた。
「エドガーさま、キャロラインさま、それもきっと不可能です」
そしてリディアの方を見た。
「プリンスは、わたしの望みも弱みも知っています。わたしが、エドガーさまと逃亡を続けることに幸せを感じていると……。同じ目的を持ち、支え合いながら、他の誰も寄せつけずかかわらない、閉鎖的な仲間意識。その輪の中だけでわたしが、エドガーさまを独占できる幸せにひたっていられるのだと知っています。もしもプリンスから自由になれるとしたら、あなたとわたしの関係も、ありふれた主従になってしまう。それをわたしが恐れていると、見抜かれているのです」
「アーミン、何を」
「もうしわけありません、エドガーさま、キャロラインさま。あなた方を見張り続けることができるなら、当分手出しはしないでやると言われておりました」
「まさか……、プリンスにか?」
「プリンスの奴……!」
エドガーとキャロラインは憤りを声に滲ませた。
猛烈に怒りがわいてくる。胸がざわざわして力が発動しかけているのがわかる。
あいつにしてやられたのだ。悔しい気持ちでいっぱいだった。