エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 恋人は幽霊
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身ぎれいにしてサロンに向かうと兄がちょうど入っていくのが見えた。
その後ろから入っていく。
「子爵! よかった。あなたは無事だったんだ。ああテリーサ君も。レディたちも」
偽伯爵は抱き着かんばかりにエドガーに駆け寄った。
「無事だった、とは?」
「お願いだ、私を助けてくれ!」
「落ち着いて話を聞かせてくれないと」
「今度はクラーク卿がやられた。この間と同じ、部屋はめちゃくちゃで本人は姿が見あたらない」
動揺している様子は演技には見えないと思った。
「またあなたが発見者?」
「それは部屋が近くて、物音が……」
「部屋が近い?」
キャロラインは首を傾げた。
彼はスタンレー卿の隣の部屋ではなかったのか。
「部屋はスタンレー卿の隣では?」
エドガーも同じことを思ったのか訊いた。
「気味が悪いから変えてもらったんだ」
「するとなぜかあなたの隣ばかりが狙われるわけだ」
「そ、そんなこと言われても私にだって分からない。でも次は私か、あなたかもしれないんだ。一緒にいてくれ。あなたにはほら、腕の立つ召使いがいるわけだし」
エドガーは男に付きまとわれたくないという顔をした。
また自分の身を守るためにエドガーやキャロラインを利用しようとする偽伯爵にクロウとシエルが嫌な顔をするが目で押しとどめる。
(それにしても……。偽伯爵の隣ばかりが狙われる……。ユリシスが近くにいるとなると、お兄さまは最後なような気がする……)
考え込んでいる間に兄は偽伯爵がユリシスかそうでないか確認していた。
そして自分が犯人だと思わないのか、と聞いた。
偽伯爵はそのことを夢にも思わなかったらしい。そして頼まれてきたのだといった。
「頼まれて?」
「誰に頼まれたの?」
思わず顔が険しくなる。
「そうなんだ。霊媒師のセラフィータに頼まれて、コリンズ夫人の心の病をいやすためだと、娘の幽霊と婚約する役目だった。いくら金持ちの娘でも、求婚者が集まるとは思っていなかったんだろ。娘の幽霊はどうせ一週間しかこの世にとどまっていられないから、口説いて婚約して、夫人を安心させれば、報酬をくれる」
そこで偽伯爵はしまったという顔をした。
リディアをテリーサだと思っており、まずいことを言ったと思ったのだ。
「それで? そんな仕事を引き受けた君の本当の名前は?」
「パーマー。その、ちょっと金に困っていたんだ。世話になっていた貴婦人が外国へ行っちまって」
「つまり君のご職業はヒモか」
身もふたもない言い方をエドガーはした。
「いちおう顔に自信はあるし、女の扱いも心得ているし、楽な仕事だと」
「ヒモを偽伯爵に仕立てようなんて、なかなか神経を逆なでしてくれる」
兄は憤慨するが、キャロラインは笑いをこらえるのに必死だった。
ミスティアとクリスティナも肩を震わせているので笑うのを我慢しているのだろう。
「そうだ、霊媒師だ。あの女が幽霊を使ってこんなことをやっているんだ! なあ、子爵。みんなであの女を捕まえて、問い詰めよう」
思い付きでパーマーが声を上げた。
「セラフィータなら、姿を消しましたよ」
オスカーがサロンの戸口に立っていた。
「こっちも彼女を訪ねたいと思っているんですが、昨日から姿が見えないんです」
昨日はレイヴンが霊媒師のアーミンに怪我を負わせた時だった。そこから姿が見えないというわけだ。
逃げ出したのではないか、いや高波で通れないといった会話をしている。
しかもそばにいた老婆もいないという。
「アーミンは逃げ出したと思う?」
ミスティアとクリスティナにだけ聞こえるように訊いた。
「分からない。セルキーなら逃げだせるけど、毛皮を盗られているのなら姿を消したのもユリシスの命令ということになるわ」
「でしょうね……。それにしてもあのオスカーっていう人、冷静に見えない?」
「確かに……」
彼がユリシスなのだろうか。
それにしては聞いていたより若い気がする。
(お兄さま……?)
ふとキャロラインはエドガーが飾り棚をわざと落としたのを見た。
きっとユリシスかどうか確認するためだと思って黙って様子を見守った。
エドガーが動かないので、オスカーが拾う。
キャロラインはエドガーが耳の後ろを確認し、こちらにリディアのもとに行くのを見た。
その際にキャロラインに気をつけろと目線で警告してきた。
キャロラインは頷くとミスティアとクリスティナの手をそれぞれ二回叩き、警告した。
彼女たちも頷く。
「とにかく僕らはどこの誰だかわからない犯人から逃げ隠れできない状況だ。オスカー君、僕は正直、誰も信用できないんだが」
兄がそういうのを聞きながら目線でクロウとシエルに合図する。
彼らがそっと警戒するのを横目で見た。
「もう個々人で身を守るしかないですかね」
「そうしよう。テリーサは僕が預かる」
「それは困りますね」
オスカーはそう言って、扉の前に立ちはだかった。
「僕は彼女の婚約者だ。コリンズ夫人も認めている」
「いくら婚約していても結婚前から預けるわけにはいきませんよ」
確かに正論だが、こいつはユリシスなのだ。リディアの預けるわけにはいかない。
「じゃあ私なら? 身内になるわけだし、同性同士なら安心できるでしょう?」
「それも駄目ですね。あなたが彼と結託して二人きりにしないという保証もない」
オスカーははねつけた。
「でもあたし、彼らしか信用できないわ」
リディアは焦っている。
プリンスの手先だと気づいたのだ。
「わがままを言わないで、リディア」
オスカーはにやりと笑った。
もう正体を悟られたと判断し、隠す必要もないのだろう。
エドガーがリディアを庇おうとしたが、それより早くピストルをオスカーいやユリシスがリディアの後頭部に突きつける。
「クロウ、シエル」
名前を呼ぶとクロウとシエルが戦闘態勢になる。
「武器を捨ててもらおうか。それとそこの従者たちも下げてもらおう」
服の中にあるピストルをとろうとしていたエドガーとキャロラインはわずかな間逡巡した。
「嫌だと言ったら?」
「この女を殺す」
「やってみれば。次の瞬間君も死ぬよ」
「それより早くクロウとシエルがお前を切り裂く」
キャロラインは挑発する。
ユリシスより早いとキャロラインは信頼していた。
しばらく緊張状態が続いた。
誰も身動きしない。
「なかなかお利口だね。テッド、リリィ」
キャロラインはわずかに顔をしかめた。
リリィとはプリンスのもとにいた時の愛称だ。わざとらしく呼ぶさまはプリンスを思い出させてイライラしてくる。
「目当ては僕だろう。まわりくどいことをやめろ」
「その次は私でしょう? 周りを巻き込むことをやめなさい」
思わず口調がきつくなってしまう。
「いいなあ。その感じ。あなたたちが嫌がるほど、俺はわくわくしますよ。最終章はこれからです。せいぜい悪あがきしていただくためにも彼女は預かっておきます」
そう言ってリディアの腕を引く。
「いや……、触らないで。この人殺し!」
リディアがパニックになる。
人殺しだと分かっている人物に連れ去られようとしているのだ。パニックになってもおかしくはない。
「リディア、落ち着いて。暴れたらそいつ、何をするかわからないわよ」
落ち着かせようとするも失敗した。
「エドガー! あなたもよ! あたしのことも本当はどうでもいいんじゃない! 殺せばいいってどういうことよ!」
「そうじゃない、リディア。必ず助けるから無茶をしないでくれ」
エドガーがなだめるも罵倒しようとしたリディアは口をふさがれる。
「安易な約束はしない方がいいですよ。まあね、あなたが彼女を気に入っているのなら、せめて一緒に殺してあげましょう。助けに来てみればいかがです?」
そう言ってユリシスはリディアを連れて部屋を出て行った。
その後ろから入っていく。
「子爵! よかった。あなたは無事だったんだ。ああテリーサ君も。レディたちも」
偽伯爵は抱き着かんばかりにエドガーに駆け寄った。
「無事だった、とは?」
「お願いだ、私を助けてくれ!」
「落ち着いて話を聞かせてくれないと」
「今度はクラーク卿がやられた。この間と同じ、部屋はめちゃくちゃで本人は姿が見あたらない」
動揺している様子は演技には見えないと思った。
「またあなたが発見者?」
「それは部屋が近くて、物音が……」
「部屋が近い?」
キャロラインは首を傾げた。
彼はスタンレー卿の隣の部屋ではなかったのか。
「部屋はスタンレー卿の隣では?」
エドガーも同じことを思ったのか訊いた。
「気味が悪いから変えてもらったんだ」
「するとなぜかあなたの隣ばかりが狙われるわけだ」
「そ、そんなこと言われても私にだって分からない。でも次は私か、あなたかもしれないんだ。一緒にいてくれ。あなたにはほら、腕の立つ召使いがいるわけだし」
エドガーは男に付きまとわれたくないという顔をした。
また自分の身を守るためにエドガーやキャロラインを利用しようとする偽伯爵にクロウとシエルが嫌な顔をするが目で押しとどめる。
(それにしても……。偽伯爵の隣ばかりが狙われる……。ユリシスが近くにいるとなると、お兄さまは最後なような気がする……)
考え込んでいる間に兄は偽伯爵がユリシスかそうでないか確認していた。
そして自分が犯人だと思わないのか、と聞いた。
偽伯爵はそのことを夢にも思わなかったらしい。そして頼まれてきたのだといった。
「頼まれて?」
「誰に頼まれたの?」
思わず顔が険しくなる。
「そうなんだ。霊媒師のセラフィータに頼まれて、コリンズ夫人の心の病をいやすためだと、娘の幽霊と婚約する役目だった。いくら金持ちの娘でも、求婚者が集まるとは思っていなかったんだろ。娘の幽霊はどうせ一週間しかこの世にとどまっていられないから、口説いて婚約して、夫人を安心させれば、報酬をくれる」
そこで偽伯爵はしまったという顔をした。
リディアをテリーサだと思っており、まずいことを言ったと思ったのだ。
「それで? そんな仕事を引き受けた君の本当の名前は?」
「パーマー。その、ちょっと金に困っていたんだ。世話になっていた貴婦人が外国へ行っちまって」
「つまり君のご職業はヒモか」
身もふたもない言い方をエドガーはした。
「いちおう顔に自信はあるし、女の扱いも心得ているし、楽な仕事だと」
「ヒモを偽伯爵に仕立てようなんて、なかなか神経を逆なでしてくれる」
兄は憤慨するが、キャロラインは笑いをこらえるのに必死だった。
ミスティアとクリスティナも肩を震わせているので笑うのを我慢しているのだろう。
「そうだ、霊媒師だ。あの女が幽霊を使ってこんなことをやっているんだ! なあ、子爵。みんなであの女を捕まえて、問い詰めよう」
思い付きでパーマーが声を上げた。
「セラフィータなら、姿を消しましたよ」
オスカーがサロンの戸口に立っていた。
「こっちも彼女を訪ねたいと思っているんですが、昨日から姿が見えないんです」
昨日はレイヴンが霊媒師のアーミンに怪我を負わせた時だった。そこから姿が見えないというわけだ。
逃げ出したのではないか、いや高波で通れないといった会話をしている。
しかもそばにいた老婆もいないという。
「アーミンは逃げ出したと思う?」
ミスティアとクリスティナにだけ聞こえるように訊いた。
「分からない。セルキーなら逃げだせるけど、毛皮を盗られているのなら姿を消したのもユリシスの命令ということになるわ」
「でしょうね……。それにしてもあのオスカーっていう人、冷静に見えない?」
「確かに……」
彼がユリシスなのだろうか。
それにしては聞いていたより若い気がする。
(お兄さま……?)
ふとキャロラインはエドガーが飾り棚をわざと落としたのを見た。
きっとユリシスかどうか確認するためだと思って黙って様子を見守った。
エドガーが動かないので、オスカーが拾う。
キャロラインはエドガーが耳の後ろを確認し、こちらにリディアのもとに行くのを見た。
その際にキャロラインに気をつけろと目線で警告してきた。
キャロラインは頷くとミスティアとクリスティナの手をそれぞれ二回叩き、警告した。
彼女たちも頷く。
「とにかく僕らはどこの誰だかわからない犯人から逃げ隠れできない状況だ。オスカー君、僕は正直、誰も信用できないんだが」
兄がそういうのを聞きながら目線でクロウとシエルに合図する。
彼らがそっと警戒するのを横目で見た。
「もう個々人で身を守るしかないですかね」
「そうしよう。テリーサは僕が預かる」
「それは困りますね」
オスカーはそう言って、扉の前に立ちはだかった。
「僕は彼女の婚約者だ。コリンズ夫人も認めている」
「いくら婚約していても結婚前から預けるわけにはいきませんよ」
確かに正論だが、こいつはユリシスなのだ。リディアの預けるわけにはいかない。
「じゃあ私なら? 身内になるわけだし、同性同士なら安心できるでしょう?」
「それも駄目ですね。あなたが彼と結託して二人きりにしないという保証もない」
オスカーははねつけた。
「でもあたし、彼らしか信用できないわ」
リディアは焦っている。
プリンスの手先だと気づいたのだ。
「わがままを言わないで、リディア」
オスカーはにやりと笑った。
もう正体を悟られたと判断し、隠す必要もないのだろう。
エドガーがリディアを庇おうとしたが、それより早くピストルをオスカーいやユリシスがリディアの後頭部に突きつける。
「クロウ、シエル」
名前を呼ぶとクロウとシエルが戦闘態勢になる。
「武器を捨ててもらおうか。それとそこの従者たちも下げてもらおう」
服の中にあるピストルをとろうとしていたエドガーとキャロラインはわずかな間逡巡した。
「嫌だと言ったら?」
「この女を殺す」
「やってみれば。次の瞬間君も死ぬよ」
「それより早くクロウとシエルがお前を切り裂く」
キャロラインは挑発する。
ユリシスより早いとキャロラインは信頼していた。
しばらく緊張状態が続いた。
誰も身動きしない。
「なかなかお利口だね。テッド、リリィ」
キャロラインはわずかに顔をしかめた。
リリィとはプリンスのもとにいた時の愛称だ。わざとらしく呼ぶさまはプリンスを思い出させてイライラしてくる。
「目当ては僕だろう。まわりくどいことをやめろ」
「その次は私でしょう? 周りを巻き込むことをやめなさい」
思わず口調がきつくなってしまう。
「いいなあ。その感じ。あなたたちが嫌がるほど、俺はわくわくしますよ。最終章はこれからです。せいぜい悪あがきしていただくためにも彼女は預かっておきます」
そう言ってリディアの腕を引く。
「いや……、触らないで。この人殺し!」
リディアがパニックになる。
人殺しだと分かっている人物に連れ去られようとしているのだ。パニックになってもおかしくはない。
「リディア、落ち着いて。暴れたらそいつ、何をするかわからないわよ」
落ち着かせようとするも失敗した。
「エドガー! あなたもよ! あたしのことも本当はどうでもいいんじゃない! 殺せばいいってどういうことよ!」
「そうじゃない、リディア。必ず助けるから無茶をしないでくれ」
エドガーがなだめるも罵倒しようとしたリディアは口をふさがれる。
「安易な約束はしない方がいいですよ。まあね、あなたが彼女を気に入っているのなら、せめて一緒に殺してあげましょう。助けに来てみればいかがです?」
そう言ってユリシスはリディアを連れて部屋を出て行った。
