エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 恋人は幽霊
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5.アザラシ妖精とアーミン
朝一番、兄に声をかけられた。
「キャロライン、これをみてくれ」
エドガーがキャロラインにハンカチを見せた。
シルク製で四つ葉のクローバーとテントウムシのワンポイントが刺してある。
「どうしたの? これ」
「昨日、もらったんだ。それで気になることがあってね。キャロラインは刺繍ができただろう?」
「人並みにね……。家庭教師に教わったのとここに来てから習い始めたのとね」
刺繍は上流階級の女性のたしなみの一つだ。それでキャロラインに訊いたのだろう。
「ここをみてくれ」
「これは……。イニシャル? M?」
キャロラインの目には「M」の文字が見えた。
「やっぱりキャロラインの目にもMに見えるんだね……。普通さ、刺繍にするイニシャルって自分の名前じゃないかい?」
「相手にあげる場合は相手の頭文字を刺すわよ? でも自分の持ち物だったら自分の頭文字よね……」
「やっぱりそうだよね。テリーサがくれたんだけど、突発的にあげたという感じがしてね……。普通は頭文字のTだよね……」
エドガーはしばらく考え込んでいるようだった。
「なるほど……、お兄さまはリディアの中にいるのがテリーサではないと考えているのね?」
「ああ。5歳で亡くなった子が刺繍をやるかと思ってね」
「……ミスティアお姉さまやクリスティナお姉さまも同じことを言っていたわ」
「姉上たちが?」
エドガーは驚いた顔をした。
「ええ。テリーサの霊を呼び出すより、あらかじめ用意していた霊魂を乗り移らせたほうが楽だって……」
「組織のやりそうなことだな……。調べてみよう」
エドガーも同じ考えのようだ。
「それともう一つ報告がある」
「報告?」
ハンカチのことだけではなかったのか。
「ユリシスらしき人物は一か月前に到着したヴィーナス号に乗船していた。そして同じ船の乗客にはオスカー・コリンズの名前があった。偶然で済ませていいものかな?」
「……オスカーにユリシスが接触している可能性があるってことね」
「ああ。コリンズ家を巻き込むこともプリンスの計画だろう」
「そうね……」
キャロラインとエドガーは黙り込んだ。
「二人ともここにいたのね」
ミスティアが現れた。後ろにはクリスティナもいる。
「二人ともちょうどよかった」
エドガーはオスカーとユリシスが船の中で接触している可能性について話した。
「なるほど。確かにエドガーの考え通り、接触している可能性は高いわ。だけどもう一つの可能性があると思っている」
「もう一つの可能性? それって何。ミスティアお姉さま」
「オスカーにユリシスが成り代わっている可能性」
「……でも他人に成り代わるのって容易じゃないわ。オスカーのことをよく知らない方は騙せても知っている人は騙せないはずよ」
「キャロラインの言う通りよ。そこのところどう考えているの? ミスティア」
クリスティナが訊いた。
「オスカーは今回はコリンズ夫人と初対面なわけでしょう? つまりオスカーのことをよく知らない。ほかのコリンズ家にしても同様。オスカーだと言えば信じちゃうんじゃないかしら……」
「確かに可能性はある。警戒しておくに越したことはないね」
エドガーは頷いた。
「何か特徴みたいなものをユリシスが持っていたら成り代わっていることが分かるかもしれない」
「……僕に考えがある」
クリスティナの言葉にエドガーは何か考えがあるようだった。
朝一番、兄に声をかけられた。
「キャロライン、これをみてくれ」
エドガーがキャロラインにハンカチを見せた。
シルク製で四つ葉のクローバーとテントウムシのワンポイントが刺してある。
「どうしたの? これ」
「昨日、もらったんだ。それで気になることがあってね。キャロラインは刺繍ができただろう?」
「人並みにね……。家庭教師に教わったのとここに来てから習い始めたのとね」
刺繍は上流階級の女性のたしなみの一つだ。それでキャロラインに訊いたのだろう。
「ここをみてくれ」
「これは……。イニシャル? M?」
キャロラインの目には「M」の文字が見えた。
「やっぱりキャロラインの目にもMに見えるんだね……。普通さ、刺繍にするイニシャルって自分の名前じゃないかい?」
「相手にあげる場合は相手の頭文字を刺すわよ? でも自分の持ち物だったら自分の頭文字よね……」
「やっぱりそうだよね。テリーサがくれたんだけど、突発的にあげたという感じがしてね……。普通は頭文字のTだよね……」
エドガーはしばらく考え込んでいるようだった。
「なるほど……、お兄さまはリディアの中にいるのがテリーサではないと考えているのね?」
「ああ。5歳で亡くなった子が刺繍をやるかと思ってね」
「……ミスティアお姉さまやクリスティナお姉さまも同じことを言っていたわ」
「姉上たちが?」
エドガーは驚いた顔をした。
「ええ。テリーサの霊を呼び出すより、あらかじめ用意していた霊魂を乗り移らせたほうが楽だって……」
「組織のやりそうなことだな……。調べてみよう」
エドガーも同じ考えのようだ。
「それともう一つ報告がある」
「報告?」
ハンカチのことだけではなかったのか。
「ユリシスらしき人物は一か月前に到着したヴィーナス号に乗船していた。そして同じ船の乗客にはオスカー・コリンズの名前があった。偶然で済ませていいものかな?」
「……オスカーにユリシスが接触している可能性があるってことね」
「ああ。コリンズ家を巻き込むこともプリンスの計画だろう」
「そうね……」
キャロラインとエドガーは黙り込んだ。
「二人ともここにいたのね」
ミスティアが現れた。後ろにはクリスティナもいる。
「二人ともちょうどよかった」
エドガーはオスカーとユリシスが船の中で接触している可能性について話した。
「なるほど。確かにエドガーの考え通り、接触している可能性は高いわ。だけどもう一つの可能性があると思っている」
「もう一つの可能性? それって何。ミスティアお姉さま」
「オスカーにユリシスが成り代わっている可能性」
「……でも他人に成り代わるのって容易じゃないわ。オスカーのことをよく知らない方は騙せても知っている人は騙せないはずよ」
「キャロラインの言う通りよ。そこのところどう考えているの? ミスティア」
クリスティナが訊いた。
「オスカーは今回はコリンズ夫人と初対面なわけでしょう? つまりオスカーのことをよく知らない。ほかのコリンズ家にしても同様。オスカーだと言えば信じちゃうんじゃないかしら……」
「確かに可能性はある。警戒しておくに越したことはないね」
エドガーは頷いた。
「何か特徴みたいなものをユリシスが持っていたら成り代わっていることが分かるかもしれない」
「……僕に考えがある」
クリスティナの言葉にエドガーは何か考えがあるようだった。
