エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 恋人は幽霊
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夕食の席でコリンズ夫人は先日の降霊会で選ばれた四人がそろうのでテリーサ嬢を皆に紹介すると伝えた。
キャロラインは部屋に戻るとすぐさま兄の部屋に向かった。
レイヴンの報告を聞く必要があったからだ。
「今のところ、この別荘にいるのはコリンズ夫人とその甥、テリーサ嬢だというリディアさん、偽伯爵、霊媒師とその助手だという老婆です。夫人付きの若いメイドだけはマンチェスターから連れてきた親しい人物ですが、ほかの使用人たちは夫人がここに滞在するためだけに雇われているそうで誰の息がかかっているかはわかりません」
キャロラインはなるほど、と呟いた。
プリンスの息がかかってもおかしくはないということだ。
「明日到着するのはスタンレー卿とクラーク卿、どちらも爵位は準男爵 です」
「黒幕のユリシスがここにいるとすると、男のはずだ。アシェンバート伯爵を名乗るあいつも怪しいが、明日来るという二人のうちか、使用人に紛れ込んでいる可能性もあるな」
「ええ、そうね。向こうはこちらを巣穴に誘い込んだと思っているはず。罠と知って飛び込んできた私たちを警戒していても策を練っているのは間違いないと思う」
キャロラインの意見にエドガーも同意見だとばかりに頷いた。
「ユリシスはどう動くつもりなのでしょうか」
「決められた通りに動くのか計画を修正するかですね」
クロウがレイヴンの意見に付け加えた。
「…プリンスはオーケストラの指揮のように組織を動かすからね。完成されたフィナーレに向かって、すべての楽器すべての音が狂いもなく組み立てられなければならないんだ。だからユリシスも決められた通り動くだろう」
「ああ、そうだったわね」
キャロラインは過去を思い出しながら言った。
プリンスは計画が狂うのを嫌う人間だったと。
「完璧主義者なのね……」
「ああ。問題はその完璧な楽譜に僕のパートがどう決められているかだ。それに君たちのパートもね」
「……私たちがこうしてここにいるのもプリンスにとっては想定内というわけね……。レイヴンやクロウやシエルはどう思う?」
「私には想像ができません」
「私にもです」
「私には今のところ何とも言えませんね」
それぞれ否定の言葉が返ってくる。
「おそらくね、僕が思いつく限りの行動パターンに対する対処法があるよ。キャロラインだけを連れていくパターン、おいていくパターンなど様々な想定がされていたはずだ」
「……それでは降霊会へ乗り込んでいったことも向こうの想定範囲だったと」
レイヴンが訊いた。
「あの時僕は先に動いて揺さぶりをかけるつもりだったけれど、そんな効果はまるでなかったと今は思う」
「お兄さまの行動は向こうの手のひらだったというわけね……」
何でもかんでも手の内で腹立たしい思いでいっぱいだ。
いつになったらプリンスの呪縛から逃れられるのだろうか。
ぎゅっと手を握りしめるキャロラインを落ち着かせるようにミスティアとクリスティナが手をそっと握りしめてきた。
「リディアさんをテリーサ嬢に仕立てたのも、やつらの予定通りなのですか」
「だがレイヴン。リディアさんがコリンズ夫人に出会ったのは偶然なはずだ。把握している限りでもなかったはずだし……。計画していたらよっぽど組織が上手ということになる」
クロウが問題を指摘する。
「それなんだ。それだけは偶然とすると……」
「突発的な出来事というわけよね。まだ手のひらじゃないといえるんじゃない?」
「……そうね……」
それだけが組織の予定にない出来事だとしたら、まだ希望はある。
組織は計画に変更を強いられているからだ。
「リディアだ。彼女だけは敵の想定外なんだ。だから僕は、彼女の力で青騎士伯爵の宝剣を手に入れることができた。伯爵の地位を得た」
「いつだって予定にないことをして、計画を修正することになる。そのくせお人好しだものね」
キャロラインは微笑んだ。
「僕の、幸運の妖精だ。彼女を取り戻せば、何もかもうまくいく気がしないか? よし、まずはそれだけを考えよう」
「少なくとも敵が想定しそうにない作戦ですね」
「ええ、予定外かと」
「レイヴン、クロウ。それは嫌味?」
「申し訳ありません、どの辺が嫌味に聞こえましたでしょうか?」
「申し訳ございません、嫌味のつもりはなかったのですが」
本気で済まなさそうな二人にキャロラインはおかしくなった。
今回は降霊術という人知を超えた術が絡んでいる。
妖精に通じているリディアが必要になることもあるかもしれないと思った。
「そういえばニコは? 窓を開けておいてくれ、とか言っていたけど、この雨じゃそういうわけにもね」
「もういいよ。いつまでも待たされちゃずぶぬれになるっての」
キャロラインが声の方に振り向くとクッションを引き詰めたソファの上に灰色の猫がいた。
「ニコ!」
思わず声を上げる。
「入ってこられたのか」
「どこの屋敷にも猫好きの召使くらいいるさ。かわいく鳴いてすり寄ってみりゃ、中へ入れてくれる。皿に入れたミルクはこっそり捨てておいたがな」
そう言って彼はウイスキーをグラスに注ぐ。
(どこから調達してきたのかしら?)
不思議に思った。
「リディアの様子、見てきたけどさ。おれには当分近づけねえ。追い回して撫でまわそうとしやがった。おれみたいな紳士を猫扱いしないでほしいってのに」
しかしどこからどう見ても猫なのだから仕方ないではないかと思う。口に出すような真似はしなかったが。
「彼女のことは僕に任せてくれ」
エドガーは請け負う。
「どうするんだ?」
「とりあえず、今からご機嫌うかがいに」
「ほどほどにね」
キャロラインは兄にくぎを刺した。
キャロラインは部屋に戻るとすぐさま兄の部屋に向かった。
レイヴンの報告を聞く必要があったからだ。
「今のところ、この別荘にいるのはコリンズ夫人とその甥、テリーサ嬢だというリディアさん、偽伯爵、霊媒師とその助手だという老婆です。夫人付きの若いメイドだけはマンチェスターから連れてきた親しい人物ですが、ほかの使用人たちは夫人がここに滞在するためだけに雇われているそうで誰の息がかかっているかはわかりません」
キャロラインはなるほど、と呟いた。
プリンスの息がかかってもおかしくはないということだ。
「明日到着するのはスタンレー卿とクラーク卿、どちらも爵位は
「黒幕のユリシスがここにいるとすると、男のはずだ。アシェンバート伯爵を名乗るあいつも怪しいが、明日来るという二人のうちか、使用人に紛れ込んでいる可能性もあるな」
「ええ、そうね。向こうはこちらを巣穴に誘い込んだと思っているはず。罠と知って飛び込んできた私たちを警戒していても策を練っているのは間違いないと思う」
キャロラインの意見にエドガーも同意見だとばかりに頷いた。
「ユリシスはどう動くつもりなのでしょうか」
「決められた通りに動くのか計画を修正するかですね」
クロウがレイヴンの意見に付け加えた。
「…プリンスはオーケストラの指揮のように組織を動かすからね。完成されたフィナーレに向かって、すべての楽器すべての音が狂いもなく組み立てられなければならないんだ。だからユリシスも決められた通り動くだろう」
「ああ、そうだったわね」
キャロラインは過去を思い出しながら言った。
プリンスは計画が狂うのを嫌う人間だったと。
「完璧主義者なのね……」
「ああ。問題はその完璧な楽譜に僕のパートがどう決められているかだ。それに君たちのパートもね」
「……私たちがこうしてここにいるのもプリンスにとっては想定内というわけね……。レイヴンやクロウやシエルはどう思う?」
「私には想像ができません」
「私にもです」
「私には今のところ何とも言えませんね」
それぞれ否定の言葉が返ってくる。
「おそらくね、僕が思いつく限りの行動パターンに対する対処法があるよ。キャロラインだけを連れていくパターン、おいていくパターンなど様々な想定がされていたはずだ」
「……それでは降霊会へ乗り込んでいったことも向こうの想定範囲だったと」
レイヴンが訊いた。
「あの時僕は先に動いて揺さぶりをかけるつもりだったけれど、そんな効果はまるでなかったと今は思う」
「お兄さまの行動は向こうの手のひらだったというわけね……」
何でもかんでも手の内で腹立たしい思いでいっぱいだ。
いつになったらプリンスの呪縛から逃れられるのだろうか。
ぎゅっと手を握りしめるキャロラインを落ち着かせるようにミスティアとクリスティナが手をそっと握りしめてきた。
「リディアさんをテリーサ嬢に仕立てたのも、やつらの予定通りなのですか」
「だがレイヴン。リディアさんがコリンズ夫人に出会ったのは偶然なはずだ。把握している限りでもなかったはずだし……。計画していたらよっぽど組織が上手ということになる」
クロウが問題を指摘する。
「それなんだ。それだけは偶然とすると……」
「突発的な出来事というわけよね。まだ手のひらじゃないといえるんじゃない?」
「……そうね……」
それだけが組織の予定にない出来事だとしたら、まだ希望はある。
組織は計画に変更を強いられているからだ。
「リディアだ。彼女だけは敵の想定外なんだ。だから僕は、彼女の力で青騎士伯爵の宝剣を手に入れることができた。伯爵の地位を得た」
「いつだって予定にないことをして、計画を修正することになる。そのくせお人好しだものね」
キャロラインは微笑んだ。
「僕の、幸運の妖精だ。彼女を取り戻せば、何もかもうまくいく気がしないか? よし、まずはそれだけを考えよう」
「少なくとも敵が想定しそうにない作戦ですね」
「ええ、予定外かと」
「レイヴン、クロウ。それは嫌味?」
「申し訳ありません、どの辺が嫌味に聞こえましたでしょうか?」
「申し訳ございません、嫌味のつもりはなかったのですが」
本気で済まなさそうな二人にキャロラインはおかしくなった。
今回は降霊術という人知を超えた術が絡んでいる。
妖精に通じているリディアが必要になることもあるかもしれないと思った。
「そういえばニコは? 窓を開けておいてくれ、とか言っていたけど、この雨じゃそういうわけにもね」
「もういいよ。いつまでも待たされちゃずぶぬれになるっての」
キャロラインが声の方に振り向くとクッションを引き詰めたソファの上に灰色の猫がいた。
「ニコ!」
思わず声を上げる。
「入ってこられたのか」
「どこの屋敷にも猫好きの召使くらいいるさ。かわいく鳴いてすり寄ってみりゃ、中へ入れてくれる。皿に入れたミルクはこっそり捨てておいたがな」
そう言って彼はウイスキーをグラスに注ぐ。
(どこから調達してきたのかしら?)
不思議に思った。
「リディアの様子、見てきたけどさ。おれには当分近づけねえ。追い回して撫でまわそうとしやがった。おれみたいな紳士を猫扱いしないでほしいってのに」
しかしどこからどう見ても猫なのだから仕方ないではないかと思う。口に出すような真似はしなかったが。
「彼女のことは僕に任せてくれ」
エドガーは請け負う。
「どうするんだ?」
「とりあえず、今からご機嫌うかがいに」
「ほどほどにね」
キャロラインは兄にくぎを刺した。
