エドガーの妹です。たった一人の家族のことをとても大事に思ってます。
もう一つの物語 プロポーズはお手やわらかに
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3.舞踏会当日
舞踏会当日までは忙しくてキャロラインはバタバタとしていた。
当日になると用意していたドレスに着替えて髪をアップにする。
「お似合いですわ。お嬢さま。あなたもそう思わない?」
マーガレットが褒めてくれ、シエルにも感想を訊いた。
キャロラインは瞳より少し明るい紫のドレスを身にまとっていた。ドレスのすそのフリルが令嬢らしく彼女を見せていた。
「ええ。お似合いです。キャロラインさま」
「そう。ありがとう」
シエルの表情は変わらないが心の底からそう思っているとわかるため、キャロラインは満足げに笑った。
表情が変わらなくてもわかる。それくらいの付き合いはあるつもりだ。
「さてお姉さま方はどうしているかしら?」
キャロラインは部屋を出てミスティアたちの部屋に向かおうとした。
すると子供部屋の方からミスティアの声が聞こえた。
「お母さま、おはなしして」
「いいわよ。青騎士伯爵の白い月についてお話ししましょうか」
そっと中をのぞくとワインレッドのドレスに着替えたミスティアが娘のアスティアにお話を聞かせるところだった。
「白い月はね、青騎士伯爵のお妃さまを示しているの。彼女は指に白いムーンストーンをはめて、青騎士伯爵の守護妖精として活躍した弓が得意な方だったともいわれているわ」
「その白い月はどうなったの?」
「今はどこにあるのかわからないわ。でも白いムーンストーンを指にはめた人がお妃さまっていうのは妖精たちの間では有名よね」
「へえ……!」
アスティアの緑の瞳が輝くのがわかる。
「もっと話を聞きたい。朱い月の話も聞きたい!」
「朱い月のフランドレンの話ね? 青騎士伯爵の子ともいわれているけど……。朱いムーンストーンの話はまた今度」
「え~!」
アスティアがごねる。
「いい子にしてたらまたしてあげるから。それにそろそろ寝る時間でしょ?」
「むう……。ぜったいよ!」
「ええ、絶対」
「やくそくだからね、お母さま」
「分かっているわ。明日にでも」
「わかったわ。じゃあいい子にしてる」
そう言って毛布をかぶるのが見える。
「それじゃあ頼むわね」
乳母がお辞儀をするのが見えた。
ミスティアがこちらに向かうのが見えたのでキャロラインは慌てて知らぬふりをした。
「盗み聞きは良くないわよ。まあ、途中から気づいたけど」
「……ごめんなさい」
「いいわよ」
謝るキャロラインにミスティアはあっさりと笑って許す。
「それより白い月と朱い月って……」
「ああ、青騎士伯爵の守護妖精の話は聞いたことは?」
「少しは……」
エリザベス朝に書かれた青騎士伯爵の話は有名だ。大半は実在の人物をモデルにした御伽噺と思っている。
ただ最近では全くのウソとは言い切れないかもと思うのが大半だ。妖精とか百年も眠っていたミスティアとクリスティナなど不思議に触れているからだ。
「白い月のグウェンドレン、朱い月のフランドレン。青騎士伯爵の守護妖精として有名よね。どちらもゲール語で白い弓、朱い弓を示しているの。グウェンドレンはさっき話した通り、妃だし、フランドレンは青騎士伯爵の子供だと言われているわ」
「朱い月、白い月……。ムーンストーン?」
「そう。どちらも青騎士伯爵家に伝わるムーンストーン。特に朱いムーンストーンは当主に代々伝わっているともいわれているけど、ね……」
「行方が分からない?」
「え? ええ、そうね……」
ミスティアが頷く。
ちょっと動揺しているみたいだが、どうしたのだろうか。
キャロラインは不思議に思った。
「さあ、行きましょう。クリスティナがあそこにいるわ。ちょっと声をかけるといいかも」
「分かったわ。クリスティナお姉さま!」
キャロラインが声をかけるとクリスティナが手を振り返す。
そんな中ミスティアは手をぎゅっと握り締めて呟く。
「お姉さまを誑かしたあのフランス人、朱いムーンストーンをエドガーたちに託すまで変なことしてごらんなさい。今度こそぼこぼこにしてやるんだから……!」
舞踏会当日までは忙しくてキャロラインはバタバタとしていた。
当日になると用意していたドレスに着替えて髪をアップにする。
「お似合いですわ。お嬢さま。あなたもそう思わない?」
マーガレットが褒めてくれ、シエルにも感想を訊いた。
キャロラインは瞳より少し明るい紫のドレスを身にまとっていた。ドレスのすそのフリルが令嬢らしく彼女を見せていた。
「ええ。お似合いです。キャロラインさま」
「そう。ありがとう」
シエルの表情は変わらないが心の底からそう思っているとわかるため、キャロラインは満足げに笑った。
表情が変わらなくてもわかる。それくらいの付き合いはあるつもりだ。
「さてお姉さま方はどうしているかしら?」
キャロラインは部屋を出てミスティアたちの部屋に向かおうとした。
すると子供部屋の方からミスティアの声が聞こえた。
「お母さま、おはなしして」
「いいわよ。青騎士伯爵の白い月についてお話ししましょうか」
そっと中をのぞくとワインレッドのドレスに着替えたミスティアが娘のアスティアにお話を聞かせるところだった。
「白い月はね、青騎士伯爵のお妃さまを示しているの。彼女は指に白いムーンストーンをはめて、青騎士伯爵の守護妖精として活躍した弓が得意な方だったともいわれているわ」
「その白い月はどうなったの?」
「今はどこにあるのかわからないわ。でも白いムーンストーンを指にはめた人がお妃さまっていうのは妖精たちの間では有名よね」
「へえ……!」
アスティアの緑の瞳が輝くのがわかる。
「もっと話を聞きたい。朱い月の話も聞きたい!」
「朱い月のフランドレンの話ね? 青騎士伯爵の子ともいわれているけど……。朱いムーンストーンの話はまた今度」
「え~!」
アスティアがごねる。
「いい子にしてたらまたしてあげるから。それにそろそろ寝る時間でしょ?」
「むう……。ぜったいよ!」
「ええ、絶対」
「やくそくだからね、お母さま」
「分かっているわ。明日にでも」
「わかったわ。じゃあいい子にしてる」
そう言って毛布をかぶるのが見える。
「それじゃあ頼むわね」
乳母がお辞儀をするのが見えた。
ミスティアがこちらに向かうのが見えたのでキャロラインは慌てて知らぬふりをした。
「盗み聞きは良くないわよ。まあ、途中から気づいたけど」
「……ごめんなさい」
「いいわよ」
謝るキャロラインにミスティアはあっさりと笑って許す。
「それより白い月と朱い月って……」
「ああ、青騎士伯爵の守護妖精の話は聞いたことは?」
「少しは……」
エリザベス朝に書かれた青騎士伯爵の話は有名だ。大半は実在の人物をモデルにした御伽噺と思っている。
ただ最近では全くのウソとは言い切れないかもと思うのが大半だ。妖精とか百年も眠っていたミスティアとクリスティナなど不思議に触れているからだ。
「白い月のグウェンドレン、朱い月のフランドレン。青騎士伯爵の守護妖精として有名よね。どちらもゲール語で白い弓、朱い弓を示しているの。グウェンドレンはさっき話した通り、妃だし、フランドレンは青騎士伯爵の子供だと言われているわ」
「朱い月、白い月……。ムーンストーン?」
「そう。どちらも青騎士伯爵家に伝わるムーンストーン。特に朱いムーンストーンは当主に代々伝わっているともいわれているけど、ね……」
「行方が分からない?」
「え? ええ、そうね……」
ミスティアが頷く。
ちょっと動揺しているみたいだが、どうしたのだろうか。
キャロラインは不思議に思った。
「さあ、行きましょう。クリスティナがあそこにいるわ。ちょっと声をかけるといいかも」
「分かったわ。クリスティナお姉さま!」
キャロラインが声をかけるとクリスティナが手を振り返す。
そんな中ミスティアは手をぎゅっと握り締めて呟く。
「お姉さまを誑かしたあのフランス人、朱いムーンストーンをエドガーたちに託すまで変なことしてごらんなさい。今度こそぼこぼこにしてやるんだから……!」