朝ご飯を食べ終わるとすみれはさっそく学校に向かった。
「今日はクラブが早く終わるね！」
さくらがにこやかに声をかけてくる。
「う、うん……」
朝の夢がちらついてまともにさくらの顔が見れない。
「どうしたの？　すみれ」
「大丈夫だよ。ちょっと夢見が悪かっただけ……」
それは本当のことだった。
「え、大丈夫なの？」
「うん。すぐに平気になるから……」
すみれは笑った。誰が見ても無理して笑っていると思う顔だった。
「でも……」
さくらは同じく心配していたあやめと顔を見合わせる。
「本当に大丈夫。それより早く学校に行きましょう」
すみれは二人をせかして学校へと向かった。


「おはよう」
教室について挨拶をする。
「おはようございます」
「おはよう、すみれ」
「おはよう」
智世、美空、小龍が挨拶を返す。
「すみれ、大丈夫？　顔色が良くないわよ」
美空に顔色のことを指摘される。
「大丈夫。ちょっと夢見が良くなかっただけ」
すみれは心配しないように言った。
「夢？　どんな夢？　予知夢の可能性があるから」
小龍が身を乗り出す。
「さくらがどこかの雑木林の崖から落ちる夢……」
ぽつりと呟く。
「兄弟姉妹が危険な目に合う夢か……。それは嫌だね……。特に三つ子なんて特別だから……。僕の弟たちが危険な目にあったら嫌だな……」
小龍が共感を示す。
「弟？　貴方弟がいるの？」
話を聞いていた美空が割り込んでくる。
「あれ、言っていなかったっけ？」
「言ってたよ。三つ子の弟の小狼君と小琳君がいるんだっけ？」
「ああ。それと姉が四人いる」
すみれが確認すると小龍は頷いた。
「うん？　言ってたっけ？」
美空は首を横にかしげる。
「どうだったっけ。向川さんに言った記憶はないかも……」
自信なさげに小龍は言った。
「なるほど。すみれには言ったのね」
二人は付き合っているので家族構成も話したのだろうと美空は察した。
「と、とにかく。木之本さくらさんに何も起こらないように気をつければいいだけだっていいたいの」
「そう、だね。ありがとう、小龍」
彼の言葉に少し元気づけられたすみれだった。