智世と知世が車から降りてくる。
しかも大量の女の人を引き連れて。
すみれと美空と小龍は慣れているから普通に頭を下げたが、慣れていないさくらは慌てて頭を下げた。
「さくらちゃん、ご紹介しますわ。うちのボディーガードさんたちです」
知世の言葉通り彼女たちはボディーガードだった。
挨拶を終えた後、一台の白い荷物を載せた車を残してボディーガードたちは去っていった。
「すごいすごい！　ボディーガードがいる小学生なんてめったにいないよ！」
さくらが称賛する。
「あら、魔法が使える小学生はさらに貴重ですわ」
「そ、そうかも……」
知世の言葉はさくらになるほどと思わせた。
「それでは」
知世はそう言ってワゴンを開けた。
「うわあ～！」
そこにはたくさんの洋服が並んでいた。すべて知世と智世の手作りだ。
「さあ、すみれちゃん」
「ええ、またなのね……」
「もちろん！　手作りのお洋服を着たすみれちゃんをとるのが私の生きがいですから！」
智世の瞳が輝く。
「髪型は私が決めてあげるね」
「おねがい、美空。ここで待ってて。小龍」
「ああ」
慣れた感じですみれたちは車に乗り込む。
「ふえ？　すみれ？」
さくらはすみれたちをきょとんとした顔で見つめる。
「ここのコスチュームに着替えるの」
「えええ！？」
すみれの説明にさくらが驚く。
「あら。さくらちゃんはこれからクロウカードを捕まえるのですわよね」
「うん……」
「特別なことをするときには特別な服を着なければ！」
「その通りや！」
ボディーガードから隠れていたケルベロスがバッグから飛び出す。
「カードキャプターにふさわしい恰好でいかんとカードに気合負けしてまうで！」
「分かっていただけて嬉しいですわ」
知世はケルベロスと握手する。
「さあ着替えやさくら」
「お帽子もありますの」
知世はにっこり微笑んで言った。
「さあさあ中へ」
「え、あの……」
車の中に智世、すみれ、美空、戸惑っているさくら、知世の順で乗り込む。
最後にドアを知世が閉めるのを小龍はみた。
「はあ……」
あたりには一人残された小龍のため息が残される。