さくらの三つ子の姉です。髪の色以外は撫子さんに生き写しです。
第八十六話 男女逆転シンデレラと桃矢
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星篠高校の体育館はそれなりに人がいた。
裏方では生徒たちがばたばたと動き回っていた。
その体育館の周りから緑の霧状のものが立ち上がった。
その事にすみれもさくらも小龍も小狼も気づいていなかった。
ピアノの発表をすみれたちは一番前の席で聴いていた。
席順としては前に小狼、さくら、知世、すみれ、智世の順で座り、すみれの後ろに美空、あやめ、実世がいた。
終わると同時に拍手をする。
『次は2年D組によるシンデレラです』
そうアナウンスが流れる。
「え?」
さくらは思わず紙をみた。
「D組ってさくらちゃんのお兄さまとお姉さまのクラスですわよね」
「シンデレラになんで鯖の缶詰が出てくるんだ?」
小狼は不思議そうだ。
「鯖の缶詰の出番なさそうに思えるよね」
小龍はそう指摘をした。
「見ていればわかると思うよ?」
美空はすみれの後ろの席でわくわくしていた。
やがてブザーが鳴り響き、幕が上がった。
「しくしくしくしく……」
泣き声のセリフが始まった。
『昔、あるところにシンデレラというそれはけなげで美しい少女がいました』
ナレーションが聞こえる。
「あ、このナレーション聖奈さんだ……」
すみれはナレーションに聞き覚えがあった。
「そうだね。月ヶ崎さんだね」
小龍が頷く。
「役じゃないけど重要な役割ってこういう事だったのね……」
美空は雪兎の言っていたことを思い出して納得した。
『シンデレラは毎日継母や義姉たちにいじめられていましたが、それでも一生懸命働く良い子でした』
ナレーションは続く。
「しかしシンデレラの声に聞き覚えが……」
誰だろうと思った瞬間だった。シンデレラ役が振り向いた。
「「「お、お兄ちゃん……」」」
すみれたちは思わずずり落ちた。
シンデレラ役はなんと兄の桃矢だったのだ。
桃矢が姿を現した瞬間、あたりに歓声が響き渡った。
「お兄さま、人気がおありなんですね」
「そ、そうみたい……」
すみれがそう言うしかなかった。
劇は続く。
兄が継母や義姉にいじめられているときに非難の声が飛んだりしたが、すみれはそれどころではなかった。
兄が舞台に出ていると言う事で恥ずかしかったのだ。
舞台では継母と義姉が舞踏会に行ってしまったところだった。
「しくしくしく。私も舞踏会に行きたいなー」
すごく棒読みだった。
「全然行く気なさそうだぞ」
小狼が突っ込みを入れる。
その突っ込みにすみれは思わず俯いたのだった。
「こんにちは!」
そこへ雪兎がやってきた。正確には彼の演じる役だが。
また歓声が上がる。
「雪兎さんだね」
「頭に鯖缶だね」
「缶詰ってこれのこと?」
すみれ、小龍、あやめは役の方が気になっていた。
「困っているみたいですね、シンデレラ。はい」
「これは舞踏会の招待状。どうしてあなたが……」
シンデレラが訊いた。
「僕が魔法使いだからです」
そう言って頭の缶詰を出す。
「あなたのそれは何ですか?」
シンデレラが訊く。
「鯖の缶詰です。捨てられた鯖缶が長い年月を経て魔法の力を持ったのです」
それを聞いてすみれ、さくら、あやめ、小狼、小龍は椅子からずり落ちた。
「なんで鯖缶なんだ……!」
「全くだ。しかも捨てられた鯖缶なんて」
小龍が小狼に同意する。
「ぶりの缶詰でもいいよね」
「あやめ、そこじゃない」
ちょっとずれたあやめにすみれはつっこんだ。
「なんか面白い設定……!」
美空はくすくす笑っていた。
「社会風刺が入っているのでは?ものを大切にとか」
知世が言った。
「そうですわね。捨てる人多いですしね」
智世が同意する。
シンデレラを見ていた彼らは気づかなかった。
体育館の周りを緑の霧が包み込もうとしていたうえに中に侵入していたことを。
霧に触れたところが腐食していったのだった。
裏方では生徒たちがばたばたと動き回っていた。
その体育館の周りから緑の霧状のものが立ち上がった。
その事にすみれもさくらも小龍も小狼も気づいていなかった。
ピアノの発表をすみれたちは一番前の席で聴いていた。
席順としては前に小狼、さくら、知世、すみれ、智世の順で座り、すみれの後ろに美空、あやめ、実世がいた。
終わると同時に拍手をする。
『次は2年D組によるシンデレラです』
そうアナウンスが流れる。
「え?」
さくらは思わず紙をみた。
「D組ってさくらちゃんのお兄さまとお姉さまのクラスですわよね」
「シンデレラになんで鯖の缶詰が出てくるんだ?」
小狼は不思議そうだ。
「鯖の缶詰の出番なさそうに思えるよね」
小龍はそう指摘をした。
「見ていればわかると思うよ?」
美空はすみれの後ろの席でわくわくしていた。
やがてブザーが鳴り響き、幕が上がった。
「しくしくしくしく……」
泣き声のセリフが始まった。
『昔、あるところにシンデレラというそれはけなげで美しい少女がいました』
ナレーションが聞こえる。
「あ、このナレーション聖奈さんだ……」
すみれはナレーションに聞き覚えがあった。
「そうだね。月ヶ崎さんだね」
小龍が頷く。
「役じゃないけど重要な役割ってこういう事だったのね……」
美空は雪兎の言っていたことを思い出して納得した。
『シンデレラは毎日継母や義姉たちにいじめられていましたが、それでも一生懸命働く良い子でした』
ナレーションは続く。
「しかしシンデレラの声に聞き覚えが……」
誰だろうと思った瞬間だった。シンデレラ役が振り向いた。
「「「お、お兄ちゃん……」」」
すみれたちは思わずずり落ちた。
シンデレラ役はなんと兄の桃矢だったのだ。
桃矢が姿を現した瞬間、あたりに歓声が響き渡った。
「お兄さま、人気がおありなんですね」
「そ、そうみたい……」
すみれがそう言うしかなかった。
劇は続く。
兄が継母や義姉にいじめられているときに非難の声が飛んだりしたが、すみれはそれどころではなかった。
兄が舞台に出ていると言う事で恥ずかしかったのだ。
舞台では継母と義姉が舞踏会に行ってしまったところだった。
「しくしくしく。私も舞踏会に行きたいなー」
すごく棒読みだった。
「全然行く気なさそうだぞ」
小狼が突っ込みを入れる。
その突っ込みにすみれは思わず俯いたのだった。
「こんにちは!」
そこへ雪兎がやってきた。正確には彼の演じる役だが。
また歓声が上がる。
「雪兎さんだね」
「頭に鯖缶だね」
「缶詰ってこれのこと?」
すみれ、小龍、あやめは役の方が気になっていた。
「困っているみたいですね、シンデレラ。はい」
「これは舞踏会の招待状。どうしてあなたが……」
シンデレラが訊いた。
「僕が魔法使いだからです」
そう言って頭の缶詰を出す。
「あなたのそれは何ですか?」
シンデレラが訊く。
「鯖の缶詰です。捨てられた鯖缶が長い年月を経て魔法の力を持ったのです」
それを聞いてすみれ、さくら、あやめ、小狼、小龍は椅子からずり落ちた。
「なんで鯖缶なんだ……!」
「全くだ。しかも捨てられた鯖缶なんて」
小龍が小狼に同意する。
「ぶりの缶詰でもいいよね」
「あやめ、そこじゃない」
ちょっとずれたあやめにすみれはつっこんだ。
「なんか面白い設定……!」
美空はくすくす笑っていた。
「社会風刺が入っているのでは?ものを大切にとか」
知世が言った。
「そうですわね。捨てる人多いですしね」
智世が同意する。
シンデレラを見ていた彼らは気づかなかった。
体育館の周りを緑の霧が包み込もうとしていたうえに中に侵入していたことを。
霧に触れたところが腐食していったのだった。
