「今日もテストだ！　やらなきゃ」
すみれはばたばたとリコーダーを準備し始めた。
「あれ？　昨日、リコーダーのテストは終わったって言ってなかった？　なんで？」
アップルティーアが不思議そうに突っ込む。
「あれ？　なんで？」
すみれははたと不思議そうに自分のランドセルを見た。
「昨日、テスト終わったよね……？　でも持って行かなくちゃいけない気がするの……」
「何かこの町にあったわね……。学校行ってみてからわかるんじゃない？」
「うん……」
不安な気持ちを抱えながらすみれは登校する。
「今日のテスト頑張りましょうね！」
「すみれなら大丈夫」
智世と美空が笑顔で話しかけてくる。
「テスト……」
すみれは変な顔をした。
「すみれ？」
「すみれちゃん？」
智世と美空がこちらをうかがってくる。
「ううん。大丈夫。今日も頑張ろうね」
すみれは無理にほほ笑んだ。


違和感は学校についてから大きくなった。
昨日と同じ時間割だったのだ。
リコーダーのテストが再びあった。
（昨日でテスト終わりよね？　なんで？）
まるで狐に化かされたようだ。
「すみれちゃん、頑張って下さいね」
「うん……」
すみれは昨日と同じく完璧に演奏で来た。
（昨日と同じ時間割……。時間がまき戻っている？　そんなことができるのは……）
すみれははっとしてスカートのポケットにある一枚のカードを触った。
（やっぱりクロウカード……！）
時を巻き戻せるカードには心当たりがある。
膨大な魔力を消費するカード、『時(タイム)』。
（もしこのカードがクロウカードにあるとしたら……）
時を止めることができるカードなんてあのクロウ・リードが創っていないわけがない。
次にすみれはさくらをみた。彼女はぼうっとしていた。
この状況に違和感があるようだ。
（カードの仕業だとしたらいったいどこから……）
ふと気配を探るとおかしな挙動を一昨日していた時計塔と言う事が分かった。
（時計塔……。はやく気づいてもらわなきゃでもどうすれば……）
あまり口出しできないすみれは悩んだのだった。