「五人のテスト終了にカンパーイ！」
「「「「「乾杯！」」」」」
藤隆の声と共に木之本家の面々は乾杯しあう。
「おいしい！」
飲み物を飲むとさくらが笑顔になる。
「さくらさん、頑張ったからね。すみれさんもあやめさんももちろん頑張っていましたよね」
藤隆は笑顔だ。
それはちょっと冷や汗をかきながらさくらは苦笑した。
「ねえ、お兄ちゃんとお姉ちゃんのテストはうまくいったの？」
話題をそらすために兄と姉に話題をふる。
「まあまあ」
「普通よ」
「悔しい！　私一か所間違えちゃった！」
さくらは悔しそうだ。
「一か所だけうまくいったの間違いじゃないか？」
「違うもん！」
桃矢に反論する。
「すみれはうまくいったの？」
「まあね、うまくいったと思う。間違えなかったもん」
「へえ？　明日は雨かね？　いつもは一か所間違える癖に」
「お姉ちゃん！」
すみれは梅香を睨んだ。
兄弟姉妹の言い合いを藤隆は笑顔で見ていると言った。
「間違うのは恥ずかしいことじゃないよ。でもテストが終わっても出来なかったところはちゃんと復習しようね」
「はあい……」
「わかったよ。お父さん」
教師をやっている父の言葉は身に染みた。


「よし！　こんな感じかな……」
すみれはリコーダーの笛を吹いていた。
「ちゃんとできたんでしょ？　なんでやるの？」
「復習が大事ってお父さんが言うから……。できてもおごらないようにしたいなって」
「さすが、お父さん。良いこと言うわね」
アップルティーアは感心した。
「さてそろそろ寝ようか……」
「うん。明日も早いんでしょ？　寝ましょう。電気消すわね～」
「はあい！」
すみれは頷くとベッドに入った。
アップルティーアも机の引き出しの自分の寝床に戻った。
すぐに眠ってしまった二人は知らない。
12時になると時計塔の針がぐるぐると逆向きに回り始めた。
そしてそれと共に『時(タイム)』のカードが光り始めたことを。