さくらの三つ子の姉です。髪の色以外は撫子さんに生き写しです。
第八十三話 智世の家へようこそ!
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ケーキをおいしそうに食べるさくらとすみれ
そんな二人を園美はうっとりと見つめていた。
「本当に撫子によく似ているわね~」
「そ、そうですか?」
ちょっと照れるさくら。
「よ、よく言われます……」
幼いころからよく言われる言葉だが実感はないすみれは知っている人から言われて同じく照れた。
「ええ。本当にかわいかったわ。撫子……」
思い出すのは自分の名前を呼ぶ撫子の姿。
『園美ちゃん』
『園美ちゃん昨日ね』
『園美ちゃん、ほら見て』
『園美ちゃん、私、結婚するの。……木之本先生と』
結婚の報告をする撫子は笑顔だが、園美は嫌なことを思い出したと思った。
「どうなさいましたの?」
不思議そうな顔で見てくる知世と智世。
「ちょっとやな場面まで思い出しちゃったわ」
そう言って紅茶を飲んだ。
「ねえ、さくらちゃんとすみれちゃんって呼んでいい?」
「はい」
「もちろんです」
頷く二人。
「貴方のことは美空ちゃんでいいかしら?」
「いいですよ。母の友達にやっと会えたから……」
「香恋ったら私のことなかなか紹介しなかったのね……。近くにいてさくらちゃんとすみれちゃんに先に会っていたのに私には秘密にしていたのよ……」
園美はちょっと膨れていた。
「まあ母には母の事情がありますから……」
美空は目をそらした。修羅場を回避したかったのだろうと思う。
高校時代のことを思えば大変なことになると思っていたのだろう。
「そう言うところ水臭いんだから、香恋ったら……」
園美はぶつぶつと呟くと気を取り直した。
「それでさくらちゃんとすみれちゃんはチアリーディング部のなのよね?」
「はい」
「はい、そうです」
二人は頷いた。
「さくらちゃんとすみれちゃんは運動神経すっごく良いんですってね」
「そんなことないです」
「私なんてまだまだです……」
二人は首を横に振った。
「そこは撫子とは違うのね。あの子は運動神経どころか素早さとか機敏さとか無縁だったから……」
思い出すのは撫子との日々。
『それでどうしたの?』
道を歩きながら撫子と園美の二人で道を歩く。
やがて撫子がばったりと倒れる。
『それでおじいさまったら今度の誕生日に……』
にこにこ話している最中に撫子がいないことに気づく。
『撫子!』
慌てて駆け寄る。
『転んじゃったみたい』
そう言ってニコニコ笑っていた。
スキーに行けば雪だるま状態になり、体育をすれば跳び箱を壊す。そんな人間だった。
『貴女ったら素早さとは無縁なのね……』
そう言って撫子を自分と共にフォローしていたのは美空の母、香恋だった。
やがてあの日のことを園美は回想する。
『危ないわ! 撫子──! 駄目よ──!』
『撫子! 無茶よ! 降りてらっしゃい──!』
園美と香恋が木の下から呼びかける
撫子は落ちたひなを届けようと樹の上にいたのだ。
『平気。もうちょっとだから』
『あたしが行くわ! 降りてらっしゃい!』
『園美に任せた方が良いって! 落ちたらどうするの!?』
二人は心配そうに声をかけるが、無視してひなを巣に戻す。
元に戻った様子をみてほほ笑む撫子だったが、木から落ちてしまう。
『『撫子!!』』
悲鳴を上げる二人。
しかし撫子が大怪我をすることはなかった。誰かが彼女のクッションになったからだ。
『大丈夫ですか?』
声をかけてくるのは新任教師だった。
『はい……。あ、ごめんなさい』
自分が上に乗っていることに気づいて慌てて降りて新任教師の木之本藤隆に手を貸す。
『天使が空から降りてきたと思いましたよ』
立ち上がった藤隆はそう言った。
その言葉に瞳を揺らす撫子。恋に落ちた瞬間だった。
「だあああ! あれが出会いだったのよ! 何が天使よ。あ~! 歯が浮く! そりゃ撫子は天使みたいに可愛かったけど!」
二人の出会いを回想した園美は声を上げる。
「ごほん! 失礼」
醜態を見せたと咳払いをして誤魔化す。
「面白い人だな……」
にこにこする美空。
「あ、あの。お父さんとお知り合いなんですよね?」
「そうよ」
「あの…あの…。お父さんってどんな人でしたか?」
(え、そこ聞いちゃうの?)
ぎょっとするすみれ。
いろいろあった人に父のことを訊いちゃうのかと思った。
「え!?」
戸惑う園美
「お父さん、お母さんの話は良くしてくれるんですけど、自分のことはあんまりしてくれないんです。お父さんの親戚はほとんどいないっていうし、お母さんの親戚は全然知らないし……。だから……。だから……」
そこでちょっと困った顔をするさくら。
それを聞いて園美はお茶を飲んで自分を落ち着かせる。
「貴方のお父さんはね、ヤな人よ」
「え!?」
「え……」
いきなり出た言葉がそれで戸惑うさくらとすみれ
「かっこよくて、やさしくて、料理ができて何でも上手で……」
褒め言葉になっているのでは?と美空は思ったが、話を黙って聞いていた。
「撫子のこと好きだった人から見ればすっごくすっごくヤな人。欠点といえば欠点がないことくらいかな」
そう言ってウインクをする。
「私が言っていたって内緒ね」
「「はい!」」
二人は笑顔で頷いた。
父の話を聞けて満足だった。
木之本家では藤隆がくしゃみをしていた。
「父さん?」
「父さん、どうしたの?」
「風邪ですか?」
心配そうに三人は藤隆を見た。
「いや、誰かが噂しているのかな」
そう言って笑ったのだった。
そんな二人を園美はうっとりと見つめていた。
「本当に撫子によく似ているわね~」
「そ、そうですか?」
ちょっと照れるさくら。
「よ、よく言われます……」
幼いころからよく言われる言葉だが実感はないすみれは知っている人から言われて同じく照れた。
「ええ。本当にかわいかったわ。撫子……」
思い出すのは自分の名前を呼ぶ撫子の姿。
『園美ちゃん』
『園美ちゃん昨日ね』
『園美ちゃん、ほら見て』
『園美ちゃん、私、結婚するの。……木之本先生と』
結婚の報告をする撫子は笑顔だが、園美は嫌なことを思い出したと思った。
「どうなさいましたの?」
不思議そうな顔で見てくる知世と智世。
「ちょっとやな場面まで思い出しちゃったわ」
そう言って紅茶を飲んだ。
「ねえ、さくらちゃんとすみれちゃんって呼んでいい?」
「はい」
「もちろんです」
頷く二人。
「貴方のことは美空ちゃんでいいかしら?」
「いいですよ。母の友達にやっと会えたから……」
「香恋ったら私のことなかなか紹介しなかったのね……。近くにいてさくらちゃんとすみれちゃんに先に会っていたのに私には秘密にしていたのよ……」
園美はちょっと膨れていた。
「まあ母には母の事情がありますから……」
美空は目をそらした。修羅場を回避したかったのだろうと思う。
高校時代のことを思えば大変なことになると思っていたのだろう。
「そう言うところ水臭いんだから、香恋ったら……」
園美はぶつぶつと呟くと気を取り直した。
「それでさくらちゃんとすみれちゃんはチアリーディング部のなのよね?」
「はい」
「はい、そうです」
二人は頷いた。
「さくらちゃんとすみれちゃんは運動神経すっごく良いんですってね」
「そんなことないです」
「私なんてまだまだです……」
二人は首を横に振った。
「そこは撫子とは違うのね。あの子は運動神経どころか素早さとか機敏さとか無縁だったから……」
思い出すのは撫子との日々。
『それでどうしたの?』
道を歩きながら撫子と園美の二人で道を歩く。
やがて撫子がばったりと倒れる。
『それでおじいさまったら今度の誕生日に……』
にこにこ話している最中に撫子がいないことに気づく。
『撫子!』
慌てて駆け寄る。
『転んじゃったみたい』
そう言ってニコニコ笑っていた。
スキーに行けば雪だるま状態になり、体育をすれば跳び箱を壊す。そんな人間だった。
『貴女ったら素早さとは無縁なのね……』
そう言って撫子を自分と共にフォローしていたのは美空の母、香恋だった。
やがてあの日のことを園美は回想する。
『危ないわ! 撫子──! 駄目よ──!』
『撫子! 無茶よ! 降りてらっしゃい──!』
園美と香恋が木の下から呼びかける
撫子は落ちたひなを届けようと樹の上にいたのだ。
『平気。もうちょっとだから』
『あたしが行くわ! 降りてらっしゃい!』
『園美に任せた方が良いって! 落ちたらどうするの!?』
二人は心配そうに声をかけるが、無視してひなを巣に戻す。
元に戻った様子をみてほほ笑む撫子だったが、木から落ちてしまう。
『『撫子!!』』
悲鳴を上げる二人。
しかし撫子が大怪我をすることはなかった。誰かが彼女のクッションになったからだ。
『大丈夫ですか?』
声をかけてくるのは新任教師だった。
『はい……。あ、ごめんなさい』
自分が上に乗っていることに気づいて慌てて降りて新任教師の木之本藤隆に手を貸す。
『天使が空から降りてきたと思いましたよ』
立ち上がった藤隆はそう言った。
その言葉に瞳を揺らす撫子。恋に落ちた瞬間だった。
「だあああ! あれが出会いだったのよ! 何が天使よ。あ~! 歯が浮く! そりゃ撫子は天使みたいに可愛かったけど!」
二人の出会いを回想した園美は声を上げる。
「ごほん! 失礼」
醜態を見せたと咳払いをして誤魔化す。
「面白い人だな……」
にこにこする美空。
「あ、あの。お父さんとお知り合いなんですよね?」
「そうよ」
「あの…あの…。お父さんってどんな人でしたか?」
(え、そこ聞いちゃうの?)
ぎょっとするすみれ。
いろいろあった人に父のことを訊いちゃうのかと思った。
「え!?」
戸惑う園美
「お父さん、お母さんの話は良くしてくれるんですけど、自分のことはあんまりしてくれないんです。お父さんの親戚はほとんどいないっていうし、お母さんの親戚は全然知らないし……。だから……。だから……」
そこでちょっと困った顔をするさくら。
それを聞いて園美はお茶を飲んで自分を落ち着かせる。
「貴方のお父さんはね、ヤな人よ」
「え!?」
「え……」
いきなり出た言葉がそれで戸惑うさくらとすみれ
「かっこよくて、やさしくて、料理ができて何でも上手で……」
褒め言葉になっているのでは?と美空は思ったが、話を黙って聞いていた。
「撫子のこと好きだった人から見ればすっごくすっごくヤな人。欠点といえば欠点がないことくらいかな」
そう言ってウインクをする。
「私が言っていたって内緒ね」
「「はい!」」
二人は笑顔で頷いた。
父の話を聞けて満足だった。
木之本家では藤隆がくしゃみをしていた。
「父さん?」
「父さん、どうしたの?」
「風邪ですか?」
心配そうに三人は藤隆を見た。
「いや、誰かが噂しているのかな」
そう言って笑ったのだった。