「ハンカチとティッシュ……。あとはカードたちを入れて……。準備OK！　アップルはここに入っていて！」
すみれはバッグの持ち物を確認し終わるとアップルティーアを呼んだ。
「はいはい。今日は智世の家に行くんだっけ？」
「うん、そう。智世ちゃんのお家に行くの初めてだよ……」
そう。今日は智世と知世に呼ばれて彼女たちの家に行くのだ。
特に智世は一年生からずっと同じクラスだが、今までカードの事件で集まるのは美空の家ばかりで智世の家に集まることはなかったのだ。
だから少し緊張している。
「ずっと一緒のクラスなのに？」
「うん。都合が合わなかったんだって……」
「そう言うものなのかね。おいしいもの出ると良いな～」
「アップルはそればっかり」
急においしいものの話をし始めたアップルティーアにすみれは呆れた。
「すみれ、準備できた？」
そこへさくらがやってきた。
彼女はピンクのワンピースを着ていた。すみれは水色のワンピースなので色違いだ。
そう、今回はさくらも呼ばれているのだ。
「うん。できたよ。行こうか」
妹に声をかけるとすみれは部屋を出た。
「二人とも良いな～。私も用がなかったら行ったのに……」
そこへあやめが声をかけてくる。
「あやめはまた今度ね……」
今回はあやめは実世や千鶴たちと一緒に出掛けるとのことで智世たちの家には来れなかったのだ。
「残念だね……」
さくらは残念そうだ。
「うん。どうだったか聞かせてね……」
あやめは少しほほ笑むとまた部屋に戻った。
「あやめが来れないのとても残念だね」
「そうだね……」
すみれはさくらに頷いた。急なことだったし、予定があるなら仕方がない。
（しかし困ったことって何だろう……？）
知世と智世はそう言って誘ってきたのだ。もやもやした気持ちをすみれは抱えながら家を出た。