さくらの三つ子の姉です。髪の色以外は撫子さんに生き写しです。
第八十二話 花の運動会と思い出
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『花(フラワー)』の騒動が落ち着くと運動会を途中で中止して、たまった花の掃除にみんな駆り出された。
「これだけあったらいっぱいジャムが作れそうだね」
雪兎は嬉しそうだ。
「土も入っているから掃除すれば何とか行けると思うわ。一緒に作りましょうよ!」
「いいね!」
聖奈と雪兎が笑いあう。
「なんで運動会に来てまで掃除しなきゃならないんだ」
桃矢が文句を言う
「口を動かさないで、手を動かしてよ、桃矢」
すかさず梅香が注意する。
「はいはい」
桃矢は双子の妹に頷きながら手をまた動かし始めた。
一方、すみれたちはこっそりと藤隆と園美の後をつけていた。
二人が何を話すのか気になったのだ。
「悔しい悔しい悔しい。高校の時からずっとこうなんだから!」
園美が藤隆に言った。彼女は悔しさを隠していなかった。
「先生に撫子を渡したくなかったから何度も何度も勝負をして、でもいつも負けるのよ」
「わざと負けたりしたら君に失礼だから……」
話を聞いていた藤隆はゆっくりと言った。
その言葉に園美は瞳を揺らした。
「君が撫子さんをどんなに大事に想っているか知ってたから……だから僕も一生懸命頑張ったんだ」
「今でも思い出すわ。あなたと撫子の新居。ちっちゃいアパートに二人暮らし。新米教師のくせに一緒に登校しちゃって。毎日撫子にお弁当作ってあげていたでしょ!夫婦そろって同じお弁当箱。しかも手つないで帰ったりして~~‼」
思い出すだけでいらいらするのか園美は歯ぎしりする。
「なんかもめているみたい」
「仲直りできないのかな……」
さくらとすみれは困ったように二人を見た。
「さくらちゃん……」
知世がある提案をする。
「いいと思いますわ。きっと仲直りできます」
智世がほほ笑む。
「でも……」
「やってみなよ。さくら」
すみれも頷く。
「害はないし、このことに魔法を使うのは良いことなんじゃない?」
美空は肩をすくめた。
「このままだと二人にとって良くないからね。大道寺知世さんの案は悪くないと思う」
小龍はやるだけやるのは良いのじゃないかと思った。
「大丈夫ですわ」
知世がダメ押しとばかりにほほ笑む。
「あの二人に花を与えよ。『花(フラワー)』」
さくらが捕まえたばかりのカードを使う。
「だいたいあなたはなんで料理が上手なの?」
園美が藤隆に文句を言った時だった。
花が二人のもとに降ってきた。
「撫子の花……」
園美は頬に花を当てる。
藤隆も撫子の花を見つめる。この花はすみれたちの母の名前の花だった。
「撫子……。いつも先生に絡んでいるとやってきたわ。笑顔で。私が本気で怒っているのにほえほえした空気でぶち壊すのよ。根っからの天然ボケだったわ」
「確かにちょっとほんわかした人だったけど……」
藤隆がしんみりした様子で言った。
「私が一番撫子のこと好きだったわ」
園美は涙をこぼす。
「撫子さんも君が大好きだったよ」
ハンカチを渡しながら藤隆が言った。
「でも……」
そこで思い出すのは撫子の笑顔だった。
「撫子幸せそうだった……。先生と結婚してから……いつみても……。今までで一番いい顔で笑っていたわ」
ますます涙をこぼし、藤隆が近寄る。
「幸せだったくせにこんなに早く逝っちゃうなんて……」
「ごめんね……」
藤隆は園美を抱き寄せて謝る。
「なんで謝るの……?」
「16歳から27歳までの時間を僕が貰ってしまったから……」
「貴方のそう言うところが嫌いよ!」
園美はそう言って藤隆の頬を引っ張った。
「よかった……。園美も落ち着いたみたいね……」
ほっとした方に後から来た香恋は呟いた。
「お母さん、ずっと心配していたものね……」
「ええ。これで撫子も安心でしょう」
香恋は呟いた。
「お母さんは撫子さんと藤隆さんの結婚に反対しなかったの?」
教師と生徒。ちょっと世間的には眉を顰められそうな関係だ。
「別に。ちょっとびっくりしたけど、園美が言っていたように幸せそうだったから……。ならいいかなって思ったの」
香恋はほほ笑んだ。
「そっか……。お母さんは友達の幸せを優先したんだね……」
自分も友達の幸せを祝えるようになりたい、美空はそう思った。
「すみれ~! そろそろ閉会式だって!」
梅香が呼びに来た。
「分かった! 今行きま~す! 行こう! 三人とも!」
「ああ!」
小龍は頷いて駆け出していった。
「智世ちゃんは……」
美空は智世に何か言いかけた。
彼女は智世がすみれに特別な思いを抱いていたことを知っていたのだ。
「美空ちゃん?」
不思議そうな顔で智世が見てくる。
「ううん。何でもない。行きましょうか」
言うのも野暮かと思って何も言わないことにした。
「そうですわね」
おいていかれた二人もすみれたちを追いかけていったのだった。
「これだけあったらいっぱいジャムが作れそうだね」
雪兎は嬉しそうだ。
「土も入っているから掃除すれば何とか行けると思うわ。一緒に作りましょうよ!」
「いいね!」
聖奈と雪兎が笑いあう。
「なんで運動会に来てまで掃除しなきゃならないんだ」
桃矢が文句を言う
「口を動かさないで、手を動かしてよ、桃矢」
すかさず梅香が注意する。
「はいはい」
桃矢は双子の妹に頷きながら手をまた動かし始めた。
一方、すみれたちはこっそりと藤隆と園美の後をつけていた。
二人が何を話すのか気になったのだ。
「悔しい悔しい悔しい。高校の時からずっとこうなんだから!」
園美が藤隆に言った。彼女は悔しさを隠していなかった。
「先生に撫子を渡したくなかったから何度も何度も勝負をして、でもいつも負けるのよ」
「わざと負けたりしたら君に失礼だから……」
話を聞いていた藤隆はゆっくりと言った。
その言葉に園美は瞳を揺らした。
「君が撫子さんをどんなに大事に想っているか知ってたから……だから僕も一生懸命頑張ったんだ」
「今でも思い出すわ。あなたと撫子の新居。ちっちゃいアパートに二人暮らし。新米教師のくせに一緒に登校しちゃって。毎日撫子にお弁当作ってあげていたでしょ!夫婦そろって同じお弁当箱。しかも手つないで帰ったりして~~‼」
思い出すだけでいらいらするのか園美は歯ぎしりする。
「なんかもめているみたい」
「仲直りできないのかな……」
さくらとすみれは困ったように二人を見た。
「さくらちゃん……」
知世がある提案をする。
「いいと思いますわ。きっと仲直りできます」
智世がほほ笑む。
「でも……」
「やってみなよ。さくら」
すみれも頷く。
「害はないし、このことに魔法を使うのは良いことなんじゃない?」
美空は肩をすくめた。
「このままだと二人にとって良くないからね。大道寺知世さんの案は悪くないと思う」
小龍はやるだけやるのは良いのじゃないかと思った。
「大丈夫ですわ」
知世がダメ押しとばかりにほほ笑む。
「あの二人に花を与えよ。『花(フラワー)』」
さくらが捕まえたばかりのカードを使う。
「だいたいあなたはなんで料理が上手なの?」
園美が藤隆に文句を言った時だった。
花が二人のもとに降ってきた。
「撫子の花……」
園美は頬に花を当てる。
藤隆も撫子の花を見つめる。この花はすみれたちの母の名前の花だった。
「撫子……。いつも先生に絡んでいるとやってきたわ。笑顔で。私が本気で怒っているのにほえほえした空気でぶち壊すのよ。根っからの天然ボケだったわ」
「確かにちょっとほんわかした人だったけど……」
藤隆がしんみりした様子で言った。
「私が一番撫子のこと好きだったわ」
園美は涙をこぼす。
「撫子さんも君が大好きだったよ」
ハンカチを渡しながら藤隆が言った。
「でも……」
そこで思い出すのは撫子の笑顔だった。
「撫子幸せそうだった……。先生と結婚してから……いつみても……。今までで一番いい顔で笑っていたわ」
ますます涙をこぼし、藤隆が近寄る。
「幸せだったくせにこんなに早く逝っちゃうなんて……」
「ごめんね……」
藤隆は園美を抱き寄せて謝る。
「なんで謝るの……?」
「16歳から27歳までの時間を僕が貰ってしまったから……」
「貴方のそう言うところが嫌いよ!」
園美はそう言って藤隆の頬を引っ張った。
「よかった……。園美も落ち着いたみたいね……」
ほっとした方に後から来た香恋は呟いた。
「お母さん、ずっと心配していたものね……」
「ええ。これで撫子も安心でしょう」
香恋は呟いた。
「お母さんは撫子さんと藤隆さんの結婚に反対しなかったの?」
教師と生徒。ちょっと世間的には眉を顰められそうな関係だ。
「別に。ちょっとびっくりしたけど、園美が言っていたように幸せそうだったから……。ならいいかなって思ったの」
香恋はほほ笑んだ。
「そっか……。お母さんは友達の幸せを優先したんだね……」
自分も友達の幸せを祝えるようになりたい、美空はそう思った。
「すみれ~! そろそろ閉会式だって!」
梅香が呼びに来た。
「分かった! 今行きま~す! 行こう! 三人とも!」
「ああ!」
小龍は頷いて駆け出していった。
「智世ちゃんは……」
美空は智世に何か言いかけた。
彼女は智世がすみれに特別な思いを抱いていたことを知っていたのだ。
「美空ちゃん?」
不思議そうな顔で智世が見てくる。
「ううん。何でもない。行きましょうか」
言うのも野暮かと思って何も言わないことにした。
「そうですわね」
おいていかれた二人もすみれたちを追いかけていったのだった。