さくらの三つ子の姉です。髪の色以外は撫子さんに生き写しです。
第八十二話 花の運動会と思い出
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藤隆が持っていたボックスを上げる。
「昨日、作っておいたんだ。大学の冷蔵庫を借りて冷やしていたから冷たいよ」
そういってゼリーを見せる。
「先生、相変わらずお上手……!」
香恋が目を輝かせる。
「おいしそう……!」
すみれは思わず歓声を上げた。
そのくらいゼリーはおいしそうだったのだ。
早速すみれたちはゼリーを食べた。
「ねえ、このゼリー残っている?」
さくらが訊いた。
「うちの冷蔵庫にあるよ」
藤隆が答える。
「よかった……!」
すみれはほっとした。このゼリーをアップルティーアに食べさせたいと思ったのだ。さくらがあるかどうかを訊いたのもケルベロスに食べさせたいと思ったからだろう。
「アップルティーアに食べさせたいと思っていたの?」
小龍が訊いてくる。
「うん。おいしいから……」
「確かにおいしいね。すみれの父上は料理上手だね」
「そうなの! 運動神経もいいし、何でもできるんだよ」
「へえ~……。……父上か……」
小龍はそこで自分の父親のことを思い出した。物心つく前に亡くなっているので、父親のことはあまり知らない。母も親族も話したがらない。なので小龍にとって父親とは遠いものだった。かつてリディアカードを求めたのもその影響がないとは言えない。
だから父子家庭のすみれや両親そろっている美空を見ていると父親とはこういうものなのだろうかと思ってしまう。
「小龍? 大丈夫?」
すみれが声をかけてくる。
「……大丈夫だよ。あんまりゼリーがおいしくて」
「……そう、なの?」
「ああ」
小龍はすみれに父親のことを考えていたと言っても困らせるだけなので誤魔化した。
「何かあったら言ってね」
すみれは何か感じ取ったのかそれだけを言った。
やがてお弁当を食べきると藤隆が立ち上がった。
「ごみ捨ててくるよ」
「俺も行く」
「私も行く」
桃矢と梅香が立ち上がる。
「僕も」
「私も」
雪兎と聖奈も立ち上がった。
「じゃあ僕たちもゴミ捨ててこようかな。香恋はどうする?」
「私はこの子のおむつが濡れてないか確認するわ」
そう言って昨年生まれた美空の弟、康太を見せる。
「そっか……。残りの子はどうしようか……」
たくさんいる妹や弟を葉は見る。
「太一と美冬、美夏は私についてらっしゃいな」
呼ばれた幼い弟と妹たちは香恋の方に来る。
「美雪と美鈴は僕と一緒に。美地と美雨はどうする?」
4歳の妹たちは自分と一緒にと考えたが、5歳の双子の妹たちはどうするのだろうと意見を訊いた。
「私、お姉ちゃんといる」
「私も~」
美雨と美地は姉の美空といると言い張った。親についているよりここにいた方が楽しそうだと思ったのだ。
「……そうか……。でも美空に悪い気がするな……」
葉は渋った。
長女だからという理由で妹の面倒を見させるもの違うと思ったのだ。
「ううん。大丈夫よ。お父さん。ちゃんと見ているから」
美空は笑顔で両親を送り出したのだった。
そしてシートには子供だけになった。
それからしばらくしてさくらがゼリーのことに言及した。
「李小狼君おいしいゼリー食べ損ねちゃったね」
「ええ」
知世が同意する。
「美地、美雨。こっち来なさい。手が汚れてる。このシートでふいて」
手が汚れている双子の妹たちの面倒を美空は見始める。
「いいお姉さんだな」
「そうだね、美空は妹や弟がたくさんいるから面倒見がいいんだよね……」
「あんなにたくさんいると賑やかそうですわよね」
智世がほほ笑む。
「知世、智世、実世」
そこへ知世たちに声をかける人がいた。
「「「お母さま」」」
三人が声を上げる。
振り向くとそこに立っていたのはとてもきれいなショートカットの女の人だった。スーツを着こなしていておもちゃ会社の社長と言うのも納得だ。
(きれいな人……。この方が智世ちゃんたちのお母さま……)
すみれはぽーっとなった。
「さくらちゃん、すみれちゃん、あやめちゃん。ご紹介しますわ。母です」
知世が紹介する。
紹介された知世たちの母もさくらとすみれ、あやめをみてはっとした顔をした。
しばらく三人は見つめあった。
(いったい何なんだろう……? 私の顔に何かある……?)
初対面の人に穴のあくほど見つめられてすみれはきょとんとした。
「ごめんなさい、大道寺園美です。いつも知世、智世、実世たちの仲良くしてくれてありがとう」
「そんなことないです。私がいつもお世話になっていて……」
「智世ちゃんたちにはいつもこちらがお世話になっているので……」
「助けられることも多いです……」
さくら、すみれ、あやめは頭を下げた。
「本当にかわいいわね……」
そう言ってさくらとすみれをのぞき込む。
「私の知っている子によく似ているわ……。それにすみれちゃんはあの子にそっくり……。まるであの子がここにいるみたい……」
そう言って悲しそうな顔をした。
しかしそれは一瞬のことですぐに元に戻った。
その一方で褒められたすみれたちは顔を赤くした。
「知世、智世、実世からあなたたちのことはよく聞いていたんだけど苗字はまだなの。教えてくださる」
「えっと…きの……」
さくらが答えようとした時だった。
「さくらさん、すみれさん、あやめさん」
藤隆が戻ってきた。
「「「おとうさん」」」
すみれたちは振り返った。
「ああ~~! 木之本先生~~!」
園美が叫ぶ。
「園美君……」
叫ばれた藤隆も驚いたように名前を呟く。
「え? え?」
急展開にすみれは驚く。
智世たちの母と自分たちの父は知り合いなのかと思ったのだ。
「ああ~。やっぱりこうなった……」
遅れてやってきた香恋がやれやれとばかりに呟く。
彼女は智世たちの母と同級生で友達だったこともあり、こうなることを少しは予想していたのだ。
「これは修羅場になるわね……」
そういってがっくりと肩を落とした。
その背中をお疲れさまとばかりに葉は叩いた。
「昨日、作っておいたんだ。大学の冷蔵庫を借りて冷やしていたから冷たいよ」
そういってゼリーを見せる。
「先生、相変わらずお上手……!」
香恋が目を輝かせる。
「おいしそう……!」
すみれは思わず歓声を上げた。
そのくらいゼリーはおいしそうだったのだ。
早速すみれたちはゼリーを食べた。
「ねえ、このゼリー残っている?」
さくらが訊いた。
「うちの冷蔵庫にあるよ」
藤隆が答える。
「よかった……!」
すみれはほっとした。このゼリーをアップルティーアに食べさせたいと思ったのだ。さくらがあるかどうかを訊いたのもケルベロスに食べさせたいと思ったからだろう。
「アップルティーアに食べさせたいと思っていたの?」
小龍が訊いてくる。
「うん。おいしいから……」
「確かにおいしいね。すみれの父上は料理上手だね」
「そうなの! 運動神経もいいし、何でもできるんだよ」
「へえ~……。……父上か……」
小龍はそこで自分の父親のことを思い出した。物心つく前に亡くなっているので、父親のことはあまり知らない。母も親族も話したがらない。なので小龍にとって父親とは遠いものだった。かつてリディアカードを求めたのもその影響がないとは言えない。
だから父子家庭のすみれや両親そろっている美空を見ていると父親とはこういうものなのだろうかと思ってしまう。
「小龍? 大丈夫?」
すみれが声をかけてくる。
「……大丈夫だよ。あんまりゼリーがおいしくて」
「……そう、なの?」
「ああ」
小龍はすみれに父親のことを考えていたと言っても困らせるだけなので誤魔化した。
「何かあったら言ってね」
すみれは何か感じ取ったのかそれだけを言った。
やがてお弁当を食べきると藤隆が立ち上がった。
「ごみ捨ててくるよ」
「俺も行く」
「私も行く」
桃矢と梅香が立ち上がる。
「僕も」
「私も」
雪兎と聖奈も立ち上がった。
「じゃあ僕たちもゴミ捨ててこようかな。香恋はどうする?」
「私はこの子のおむつが濡れてないか確認するわ」
そう言って昨年生まれた美空の弟、康太を見せる。
「そっか……。残りの子はどうしようか……」
たくさんいる妹や弟を葉は見る。
「太一と美冬、美夏は私についてらっしゃいな」
呼ばれた幼い弟と妹たちは香恋の方に来る。
「美雪と美鈴は僕と一緒に。美地と美雨はどうする?」
4歳の妹たちは自分と一緒にと考えたが、5歳の双子の妹たちはどうするのだろうと意見を訊いた。
「私、お姉ちゃんといる」
「私も~」
美雨と美地は姉の美空といると言い張った。親についているよりここにいた方が楽しそうだと思ったのだ。
「……そうか……。でも美空に悪い気がするな……」
葉は渋った。
長女だからという理由で妹の面倒を見させるもの違うと思ったのだ。
「ううん。大丈夫よ。お父さん。ちゃんと見ているから」
美空は笑顔で両親を送り出したのだった。
そしてシートには子供だけになった。
それからしばらくしてさくらがゼリーのことに言及した。
「李小狼君おいしいゼリー食べ損ねちゃったね」
「ええ」
知世が同意する。
「美地、美雨。こっち来なさい。手が汚れてる。このシートでふいて」
手が汚れている双子の妹たちの面倒を美空は見始める。
「いいお姉さんだな」
「そうだね、美空は妹や弟がたくさんいるから面倒見がいいんだよね……」
「あんなにたくさんいると賑やかそうですわよね」
智世がほほ笑む。
「知世、智世、実世」
そこへ知世たちに声をかける人がいた。
「「「お母さま」」」
三人が声を上げる。
振り向くとそこに立っていたのはとてもきれいなショートカットの女の人だった。スーツを着こなしていておもちゃ会社の社長と言うのも納得だ。
(きれいな人……。この方が智世ちゃんたちのお母さま……)
すみれはぽーっとなった。
「さくらちゃん、すみれちゃん、あやめちゃん。ご紹介しますわ。母です」
知世が紹介する。
紹介された知世たちの母もさくらとすみれ、あやめをみてはっとした顔をした。
しばらく三人は見つめあった。
(いったい何なんだろう……? 私の顔に何かある……?)
初対面の人に穴のあくほど見つめられてすみれはきょとんとした。
「ごめんなさい、大道寺園美です。いつも知世、智世、実世たちの仲良くしてくれてありがとう」
「そんなことないです。私がいつもお世話になっていて……」
「智世ちゃんたちにはいつもこちらがお世話になっているので……」
「助けられることも多いです……」
さくら、すみれ、あやめは頭を下げた。
「本当にかわいいわね……」
そう言ってさくらとすみれをのぞき込む。
「私の知っている子によく似ているわ……。それにすみれちゃんはあの子にそっくり……。まるであの子がここにいるみたい……」
そう言って悲しそうな顔をした。
しかしそれは一瞬のことですぐに元に戻った。
その一方で褒められたすみれたちは顔を赤くした。
「知世、智世、実世からあなたたちのことはよく聞いていたんだけど苗字はまだなの。教えてくださる」
「えっと…きの……」
さくらが答えようとした時だった。
「さくらさん、すみれさん、あやめさん」
藤隆が戻ってきた。
「「「おとうさん」」」
すみれたちは振り返った。
「ああ~~! 木之本先生~~!」
園美が叫ぶ。
「園美君……」
叫ばれた藤隆も驚いたように名前を呟く。
「え? え?」
急展開にすみれは驚く。
智世たちの母と自分たちの父は知り合いなのかと思ったのだ。
「ああ~。やっぱりこうなった……」
遅れてやってきた香恋がやれやれとばかりに呟く。
彼女は智世たちの母と同級生で友達だったこともあり、こうなることを少しは予想していたのだ。
「これは修羅場になるわね……」
そういってがっくりと肩を落とした。
その背中をお疲れさまとばかりに葉は叩いた。