さくらの三つ子の姉です。髪の色以外は撫子さんに生き写しです。
第八十二話 花の運動会と思い出
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友枝小学校の校庭にピストルの音が響く。
「頑張れ──!」
すみれは妹のさくらを応援していた。
さくらは50m走の選手として出ていたのだ。
今日は運動会。
嫌いという子もいるだろうが、すみれは好きな方だった。
目の前をさくらが通り過ぎる。そしてそのまま一位で走り切った。
「さくらちゃん、足早いですわね~」
「うん、私たち三つ子で一番運動神経いいのさくらだし……」
「そう言えばそうだったわね。そういえばすみれの家族は今日来るんだったよね?」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんがあそこにいるよ。さくらとお兄ちゃんが話しているみたいね」
すみれが指す方向には兄の桃矢と姉の梅香、雪兎と聖奈がいた。
「聖奈さんまで来てくれたんだ……」
すみれは嬉しくてほほ笑む。
「すみれのお父さんはまだ仕事かな?」
「うん、大学のお仕事があるって……。まあ忙しいから仕方ないよ」
次の演目はすみれの所属するチアリーディング部なのだ。見てほしかったが、間に合わないのは仕方がない。
「午後の父母参加の100m競争におじさま、間に合うといいですわね~」
「そうだね。きっと出たがると思う」
『チアリーディング部の人は入場門前に集まってください』
そんな話をしていると知世の声が聞こえた。
「あ、知世ちゃんの声だ。私そろそろ行かなきゃ」
「頑張ってね! すみれ!」
美空が応援してくる。
「頑張る!」
すみれはそう言うと駆け足で着替えに向かった。
「すみれ!」
「小龍!」
着替えると小龍が姿を現した。
「それがチアリーディング部の衣装か?」
「うん! どうかな?」
すみれは小龍をうかがう。
「似合っているよ」
「そうかな、えへへ」
褒められて頬を赤くする。
「応援しているからがんばれ」
小龍が手を握りながら言った。
「う、うん。私、頑張る」
顔を赤くしていることを悟られないようにすみれは足早に去っていった。
「ふ~ん? 女の子にあんなこと言えるようになったんだ?」
一人残された小龍のもとに女性が声をかける。
「叔母上……」
「来ちゃった! 後で小狼にも会うつもりよ」
声をかけたのは紅花だった。
「それにしても女の子に不愛想だった小龍がね~。成長したわね……。お義姉さまに報告したら喜ぶかも。あ、それよりもあの子たちに報告した方がいいかな?」
「勘弁してください……」
小龍はうなだれた。
あの子たちというのは小龍の4人の姉のことだ。年が離れているので小龍たち三つ子は彼女たちのからかいの対象になっていた。
「あはは。冗談よ。そんなことしたらすみれちゃんと上手くいかなくなっちゃう。でも成長したわね。お兄さまがいたら喜んでいたかも」
兄のことを語る紅花の顔はしんみりしていた。
彼女は兄─小龍の父ととても仲が良かったのだ。
「叔母上……」
「さ、それよりも邪魔するといけないから私、行くね」
紅花はそう言ってほほ笑むと去っていったのだった。
「頑張れ──!」
すみれは妹のさくらを応援していた。
さくらは50m走の選手として出ていたのだ。
今日は運動会。
嫌いという子もいるだろうが、すみれは好きな方だった。
目の前をさくらが通り過ぎる。そしてそのまま一位で走り切った。
「さくらちゃん、足早いですわね~」
「うん、私たち三つ子で一番運動神経いいのさくらだし……」
「そう言えばそうだったわね。そういえばすみれの家族は今日来るんだったよね?」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんがあそこにいるよ。さくらとお兄ちゃんが話しているみたいね」
すみれが指す方向には兄の桃矢と姉の梅香、雪兎と聖奈がいた。
「聖奈さんまで来てくれたんだ……」
すみれは嬉しくてほほ笑む。
「すみれのお父さんはまだ仕事かな?」
「うん、大学のお仕事があるって……。まあ忙しいから仕方ないよ」
次の演目はすみれの所属するチアリーディング部なのだ。見てほしかったが、間に合わないのは仕方がない。
「午後の父母参加の100m競争におじさま、間に合うといいですわね~」
「そうだね。きっと出たがると思う」
『チアリーディング部の人は入場門前に集まってください』
そんな話をしていると知世の声が聞こえた。
「あ、知世ちゃんの声だ。私そろそろ行かなきゃ」
「頑張ってね! すみれ!」
美空が応援してくる。
「頑張る!」
すみれはそう言うと駆け足で着替えに向かった。
「すみれ!」
「小龍!」
着替えると小龍が姿を現した。
「それがチアリーディング部の衣装か?」
「うん! どうかな?」
すみれは小龍をうかがう。
「似合っているよ」
「そうかな、えへへ」
褒められて頬を赤くする。
「応援しているからがんばれ」
小龍が手を握りながら言った。
「う、うん。私、頑張る」
顔を赤くしていることを悟られないようにすみれは足早に去っていった。
「ふ~ん? 女の子にあんなこと言えるようになったんだ?」
一人残された小龍のもとに女性が声をかける。
「叔母上……」
「来ちゃった! 後で小狼にも会うつもりよ」
声をかけたのは紅花だった。
「それにしても女の子に不愛想だった小龍がね~。成長したわね……。お義姉さまに報告したら喜ぶかも。あ、それよりもあの子たちに報告した方がいいかな?」
「勘弁してください……」
小龍はうなだれた。
あの子たちというのは小龍の4人の姉のことだ。年が離れているので小龍たち三つ子は彼女たちのからかいの対象になっていた。
「あはは。冗談よ。そんなことしたらすみれちゃんと上手くいかなくなっちゃう。でも成長したわね。お兄さまがいたら喜んでいたかも」
兄のことを語る紅花の顔はしんみりしていた。
彼女は兄─小龍の父ととても仲が良かったのだ。
「叔母上……」
「さ、それよりも邪魔するといけないから私、行くね」
紅花はそう言ってほほ笑むと去っていったのだった。