佐貝の思い
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藤原家へと向かいながら佐貝は過去を思い出す。
夏目レイコという力の強い少女が妖物をボコボコにしていると言う話は聞いていた。
『あなた妖ね。私と勝負しない?』
そう言って声をかけてきたのが噂のレイコだった。
面倒くさくて佐貝はさっさと立ち去った。
それが面白かったのかレイコはその日から追いかけてきた。
面倒くさくて佐貝は逃げてばかりだった。
『なぜ追いかけてくる?』
『だってあなたをまだ子分にしていないもの』
『ほかにも相手してくれるものはいるでしょう? それに人はどうなの?』
そう聞いたときレイコの顔が少し陰った気がしたのは気のせいだったのだろうか。
『さあ? 私は気味が悪いんですって。だから早くひとり立ちしたい。さあ勝負よ』
そう言って棒を持ってくる。
『いやよ。面倒くさい』
黒い山猫はそう言って空を飛んで逃げていった。
それ以降もレイコは追いかけてきたが、ある日を境に来なくなった。
飽きたのかと思っていたが、妖の噂話でも聞かなくなった。
それから20年がたつとある少年がやってきた。
波長が合った妖物しか瞳にうつさない何とも中途半端な力の少年だった。
『君は妖? 僕は和樹。ねえお話しして』
そう言って声をかけてきた。
『なんで声をかける?』
『何となく。話したら面白いかなって』
少年はその日から佐貝に会いにやってきた。
佐貝は暇つぶしとばかりに話に付き合った。
しかしある時少年は泣きそうな顔でやってきた。
『僕、引っ越さなきゃいけないんだ。だからまたいつか会える?』
そう言って少年は去っていった。
それから30年ほどたったある日、佐貝は驚いた。
レイコの瞳に和樹に似た風貌の少女。夏目美結花と名乗った。レイコの孫である彼女はどこかで和樹と血がつながっているのではないかと佐貝は思っている。そうでなきゃ似た風貌であることに説明がつかないからだ。
ちょこちょこと八原から歩いて藤原家へとつく。
窓を開けて入ると美結花がぎょっとした顔でこちらを見る。
「佐貝……? 帰ったの? っていうかお酒臭い! また飲んだのね!」
ぎゅっとこちらをつかんで詰め寄ってくる。
「ちょっと飲んできただけじゃない」
「ちょっとの量じゃないよ!? これは!」
美結花が怒り出す。
「ちょっと揺らさないで。吐く」
「あ、ごめん」
ぱっと手を放してくれた。
「全く。乱暴なんだから……」
ぶつくさと呟く。
「それで何ともなかった?」
「うん。貴志が妖に名前を返したくらいで何ともないよ」
「妖に名前をね……。また斑がいないときにそんなことを……。まあ何もなかったならよかったわ」
佐貝はほっと息を吐く。
「私、寝るから」
そう言って目を閉じる。
「飲みすぎたんじゃないの~?」
半目でこちらを見てくるが、こうしている場合じゃないとばかりに寝間着に着替える。
「おやすみ、佐貝」
(おやすみ、美結花。あなたに幸運があることを)
口に出しては言えない祈りを佐貝は内心で呟いて眠りに落ちたのだった。
夏目レイコという力の強い少女が妖物をボコボコにしていると言う話は聞いていた。
『あなた妖ね。私と勝負しない?』
そう言って声をかけてきたのが噂のレイコだった。
面倒くさくて佐貝はさっさと立ち去った。
それが面白かったのかレイコはその日から追いかけてきた。
面倒くさくて佐貝は逃げてばかりだった。
『なぜ追いかけてくる?』
『だってあなたをまだ子分にしていないもの』
『ほかにも相手してくれるものはいるでしょう? それに人はどうなの?』
そう聞いたときレイコの顔が少し陰った気がしたのは気のせいだったのだろうか。
『さあ? 私は気味が悪いんですって。だから早くひとり立ちしたい。さあ勝負よ』
そう言って棒を持ってくる。
『いやよ。面倒くさい』
黒い山猫はそう言って空を飛んで逃げていった。
それ以降もレイコは追いかけてきたが、ある日を境に来なくなった。
飽きたのかと思っていたが、妖の噂話でも聞かなくなった。
それから20年がたつとある少年がやってきた。
波長が合った妖物しか瞳にうつさない何とも中途半端な力の少年だった。
『君は妖? 僕は和樹。ねえお話しして』
そう言って声をかけてきた。
『なんで声をかける?』
『何となく。話したら面白いかなって』
少年はその日から佐貝に会いにやってきた。
佐貝は暇つぶしとばかりに話に付き合った。
しかしある時少年は泣きそうな顔でやってきた。
『僕、引っ越さなきゃいけないんだ。だからまたいつか会える?』
そう言って少年は去っていった。
それから30年ほどたったある日、佐貝は驚いた。
レイコの瞳に和樹に似た風貌の少女。夏目美結花と名乗った。レイコの孫である彼女はどこかで和樹と血がつながっているのではないかと佐貝は思っている。そうでなきゃ似た風貌であることに説明がつかないからだ。
ちょこちょこと八原から歩いて藤原家へとつく。
窓を開けて入ると美結花がぎょっとした顔でこちらを見る。
「佐貝……? 帰ったの? っていうかお酒臭い! また飲んだのね!」
ぎゅっとこちらをつかんで詰め寄ってくる。
「ちょっと飲んできただけじゃない」
「ちょっとの量じゃないよ!? これは!」
美結花が怒り出す。
「ちょっと揺らさないで。吐く」
「あ、ごめん」
ぱっと手を放してくれた。
「全く。乱暴なんだから……」
ぶつくさと呟く。
「それで何ともなかった?」
「うん。貴志が妖に名前を返したくらいで何ともないよ」
「妖に名前をね……。また斑がいないときにそんなことを……。まあ何もなかったならよかったわ」
佐貝はほっと息を吐く。
「私、寝るから」
そう言って目を閉じる。
「飲みすぎたんじゃないの~?」
半目でこちらを見てくるが、こうしている場合じゃないとばかりに寝間着に着替える。
「おやすみ、佐貝」
(おやすみ、美結花。あなたに幸運があることを)
口に出しては言えない祈りを佐貝は内心で呟いて眠りに落ちたのだった。
