夢のカケラ

1.過去に思いをはせる

湯野ゆの 小織こおりは家を出た。
数分家を出ただけだというのに髪が顔に張り付く。
9月になったとはいえまだまだ暑いのだ。
「暑い……」
思わず呟く。
家をでて20分後、小織は岬にたどり着いた。
下を除くと波が行ったり来たりしていた。
ここは小織にとって特別な場所だった。
はじめて「彼」に出会った場所、そして今の自分を形作っている場所だった。
 小織はかばんの中からキーホルダーを取り出した。
 星形のキーホルダーで金色のそれはきらきらと光っていた。
 このキーホルダーは「彼」からもらったものだった。
「レヴ……」
 キーホルダーを眺めながら「彼」の名前を呟く。
「私、夢に向かって頑張っているよ……。あなたはまた「夢」を守っているのかな……」
 そう呟いて過去に思いをはせた。
1/7ページ
スキ