夢のカケラ

6.夢のカケラ

潮風が小織の頬をなでた。
それで小織は過去からの回想から目覚めた。
あのあと小織は腰まであった髪を肩ぐらいまでばっさりと切った。
決意を固めるためだった。
死ぬ気で両親を説得し、無事東和(とうわ)大学教育学部に入学できた。
久美子や可南子とは学部が分かれてしまったがそれでもいい友達だ。
レヴと別れた後、よく変わったといわれる。
それが嬉しくもあり照れ臭くもある。
でも変わるのも悪くはない。
(それもあなたのおかげね。……レヴ)
小織はクスリと笑った。
あれから気分をリフレッシュするためによくここに来るようになった。ここに来るとがんばれとレヴに励まされるような気がするのだ。
波が音を立てて岬にぶつかる。
そのとき後ろで音がした。
耳がいい小織はその音をとらえていた。
後ろを振り向くとレヴがいた。
銀色の髪に青い瞳。
一年ぶりだというのに何も変わっていない。
「久しぶり。レヴ」
小織はそう言って笑った。
レヴはその言葉に空色の瞳を細めて笑ったのだった。

(終わり)
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