素晴らしき世界―ZERO―

1.新たな出会いがすべての始まり

鏡の前で一回転する。
 白いブレザーに白いタイトスカート、足には白いヒール。うれしくて何度も眺めてしまう。
「ふふっ!」
 鏡をもう一度眺める。鏡には桃色の髪をツーサイドアップにし、左が青、右が緑の瞳のオッドアイの少女が映っていた。
〔レア。そろそろ行かないと母上が待ちくたびれていますよ〕
 鏡を眺めている少女に声がかかった。
 声の主は少女の右腕のブレスレットからだった。
「分かったわ。アイシア」
 レアと呼ばれた少女はうなずくと下に向かった。
 レア。本名をレアノーラ・マリア・リュールラ・アンレ・オブリーズ・クロワーズという長い名を持つ少女である。
 レアの住む世界、マグニフィシャルでは十五歳で教育は終わる。教育が終わった後は社会に出なければならない。教師になるもよし、専門学校に行って知識を学ぶもよし、さまざまな道がある。
 ただ、この世界は魔法というものが存在している。魔法を使って次元世界を行き来できるものも存在する。こうなってくると犯罪も起きてくる。これを取り締まるのが今日からレアが入局する、Demensional Administrative Bureau(次元管理局、通称・DAB)である。
 DABの仕事は次元世界で起きている事件や犯罪者を取り締まること。つまり次元世界全体の警察である。入局資格は魔法が使えることと十五歳以上であること。そしてテストで合格点をとることである。毎年一〇〇〇人が受けて一〇〇人しか受からない超難関だがレアは受かった。
 憧れのDABに入局が決まってレアが浮かれるのも無理はないだろう。
「お母さん、おはよう」
 レアはニコニコ顔で言った。
「おはようレア。ご機嫌ね」
 レアと同じ桃色の髪を持つ女性がにこやかにあいさつした。
 レアの母親のノーラだ。
「うん。だってDABに入局が決まったんだもの」
椅子に座りながらレアは言った。
「いいな~。DAB……」
 レアの向かい側から桃色の髪をツインテールにした少女が言った。
 レアの十歳離れた妹のリアノーラだ。
「リアにはまだ無理だよ。後、一〇年たたなきゃ……」
 レアがそういうとリアは頬を膨らませた。
「それより、早く食べちゃいなさい。入局式に遅刻してもいいの?」
「あ! そうだった!」
 レアは慌てて朝食を食べると玄関へと向かった。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい! お姉ちゃん! 帰ってきたらいろいろ話してね!」
 リアが元気に手を振る。
「うん! いろいろ話すね」
 レアはうなずくと玄関に泊めてある「フライングボード」と呼ばれるものの方に向かった。
「フライングボード」は細長い長方形みたいなものに細長い筒が生えていてそこからハンドルが生えている。我々の間隔で言うとキックスケーターに近いかもしれない。
 レアは青いカードを「フライングボード」のハンドル部分にかざした。すると青くハンドル部分が光った。
【認証完了。所有者レアノーラ・クロワーズ……】
 ハンドル部分に文字が出るとエンジンがかかる。
 レアはそれにまたがると「フライングボード」を動かした。
「フライングボード」はものすごい勢いで街の道路を飛んで行った。
「気持ちいい――!!」
 レアは思わず声を上げた。
〔確かに気持ちいいわね〕
 右腕のブレスレットからアイシアが言う。
 アイシアはレアと契約している精霊だ。まれにだが精霊と契約を交わすものがいる。レアもその一人。契約の証にレアの左目は精霊の色である青である。
しばらく街を「フライングボード」で走る。
「あ、DABの本部が見えてきたよ」
 レアは見えてきた白い建物を見つめた。
 マグニフィシャルの中心にあるDABの本部だ。
 レアは本部につくと駐車場に「フライングボード」を止めた。
「さてと、会場に向かいますか……」
 レアがそういって入局式会場に向かおうとした時だった。
「うわああああああっ!」
 悲鳴が聞こえた。
 見ると青い髪の少年が「フライングボード」にしがみついていた。「フライングボード」はじぐざぐに蛇行していて、彼はどうしていいかわからないようだった。
2/7ページ
スキ