ルミエーラ
「いよいよ開戦ですなあ……」
ヴェスター伯爵が感慨深げに言った。
ルイボスたちが脱獄し、ビリーが王と話をしてから一日たった。
ヴィクトリアは戦場になる予定の地の後方に建てられた司令部の中にいた。
兵士たちの指揮は高い。
そして――
「うおおおおおっ!」
「突撃――!」
戦争が始まった。
剣戟の音がこちらまで聞こえてきた。
「殿下」
ヴェスター伯爵に促されてヴィクトリアは目を閉じて集中する。
やがて白い光がヴィクトリアを覆い、それは戦場を覆った。
それから数分後、アルセリア王国が優勢になっていた。こちらに死者は出ていない。ヴィクトリアの力が効いているのだ。
「ふふっ。これでわが軍の勝利は確定したも同然」
ヴェスター伯爵は笑った。
「そうはさせない!」
テントにルイボスが剣を持って飛び込んできた。
「ラントーの倅か」
ヴェスター伯爵がルイボスを一瞥する。
「やれ」
隠れていたイアン、フレイドル、イドルス、ヴァンザスなどが襲いかかってくる。
ヴァンザスの刃がルイボスに迫るというところで別の剣がそれをはじいた。
「お前たちの相手はこの俺だ!」
「私もいるわよ!」
グレイとハーブだった。
「ルイボス! お前はヴィクトリアに呼びかけろ!」
グレイがフレイドルの剣をはじき返しながら言った。
「ヴィクトリアのことは任せたわよ!」
イドルスの剣をはじき返しながらハーブも言う。
「分かった!」
ルイボスは頷いた。
「ヴィクトリア! 目を覚ますんだ! 正気に戻って!」
「無駄ですよ。彼女の意識はここにはないのですから」
イアンがそういって斬りかかる。
それをひょいとかわすとルイボスはヴィクトリアの手を握る。その手は驚くほど冷たかった。
「ヴィクトリア……」
彼女はぴくりとも反応しない。
「目を覚ませ! ヴィクトリア――!!」
ヴィクトリアのポケットから鈴が落ちてなる。
世界のどこかが微笑んだ気がした。
ヴェスター伯爵が感慨深げに言った。
ルイボスたちが脱獄し、ビリーが王と話をしてから一日たった。
ヴィクトリアは戦場になる予定の地の後方に建てられた司令部の中にいた。
兵士たちの指揮は高い。
そして――
「うおおおおおっ!」
「突撃――!」
戦争が始まった。
剣戟の音がこちらまで聞こえてきた。
「殿下」
ヴェスター伯爵に促されてヴィクトリアは目を閉じて集中する。
やがて白い光がヴィクトリアを覆い、それは戦場を覆った。
それから数分後、アルセリア王国が優勢になっていた。こちらに死者は出ていない。ヴィクトリアの力が効いているのだ。
「ふふっ。これでわが軍の勝利は確定したも同然」
ヴェスター伯爵は笑った。
「そうはさせない!」
テントにルイボスが剣を持って飛び込んできた。
「ラントーの倅か」
ヴェスター伯爵がルイボスを一瞥する。
「やれ」
隠れていたイアン、フレイドル、イドルス、ヴァンザスなどが襲いかかってくる。
ヴァンザスの刃がルイボスに迫るというところで別の剣がそれをはじいた。
「お前たちの相手はこの俺だ!」
「私もいるわよ!」
グレイとハーブだった。
「ルイボス! お前はヴィクトリアに呼びかけろ!」
グレイがフレイドルの剣をはじき返しながら言った。
「ヴィクトリアのことは任せたわよ!」
イドルスの剣をはじき返しながらハーブも言う。
「分かった!」
ルイボスは頷いた。
「ヴィクトリア! 目を覚ますんだ! 正気に戻って!」
「無駄ですよ。彼女の意識はここにはないのですから」
イアンがそういって斬りかかる。
それをひょいとかわすとルイボスはヴィクトリアの手を握る。その手は驚くほど冷たかった。
「ヴィクトリア……」
彼女はぴくりとも反応しない。
「目を覚ませ! ヴィクトリア――!!」
ヴィクトリアのポケットから鈴が落ちてなる。
世界のどこかが微笑んだ気がした。