ルミエーラ
7.街の伝説
ヴィクトリアたちはビリーに連れられて聖ヴァイス教会に来ていた。この教会に街に入った時見た街のシンボルである白い時計塔がついている。
教会の中には黄金の髪の女性が描かれたステンドグラスがあった。羽をはやしていることから天使だと思う。
「そう言えばこの街の伝説について聞いたことがありますか?」
「いいえ」
ビリーに訊かれてヴィクトリアは首を横に振った。
「そうですか。では話して聞かせましょう。この街は天使に守護された街と言われています」
「聞いたことあります。天使、ヴァイスに守護された街、フルーラと」
ルイボスが頷いた。
「ええ。今から四百年前、この街は隣国に攻撃されました。アルセリアは貿易がかなめですからそこを攻撃すればとでも思ったのでしょうね」
「第七回アルセリア‐バーグル戦争ですね」
「かの有名なファルディスの戦いで有名な戦争だな」
グレイも頷く。
「ファルディスの戦いは確か黄金の乙女、アンジュが出てくるんだったよね」
「ええ。よく知ってますね。ルイボス。この街はバーグル王国の攻撃により敵の手に落ちるまであと一歩のところまで行きました。そのとき白い翼をはやした白く輝く乙女が現れ敵をあっという間に殲滅し、この街を救いました。その後もこの街が危機に陥るとこの白く輝く乙女が現れて救ったそうです。いつしかこの乙女は天使ではないかと言われるようになりました。だから天使、ヴァイス。ヴァイスはこの国の言葉で白を意味します。この街の門にも彫られていますよ」
「ああ」
ルイボスが頷く。この街に入るときに門に彫られているのを見た。
「天使、ヴァイス……」
ヴィクトリアは呟いた。
「面白いことに天使、ヴァイスは黄金の乙女、アンジュではないかともいわれています。彼女はこの街の出身ですし、時期も同じですしね」
ビリーはくすくすと笑った。
「黄金の乙女、アンジュにはなんか不思議な力でもあったっていうの?」
ルイボスが首を傾げる。
「ええ。彼女は光の子 でしたよ。だから強かったんですよ」
「光の子 ……。彼女が……」
ヴィクトリアは驚いた。
「ええ。光の子 は世界に一人だけでしかも女性しかいません。後で彼女たちについての本をあげましょう」
「ありがとうございます」
ヴィクトリアはお礼を言った。
「では次行きましょうか」
「ああ」
「うん」
四人は教会を出て行く。その間ヴィクトリアは自分の前の光の子で頭がいっぱいだった。
(私以外の光の子……。どんな人たちだったんだろう……?)
ビリーの家に帰るとヴィクトリアは早速もらった本を開いた。
それをみて分かったことは彼女たちはとても勇敢だったこと、愛と優しさに満ち溢れていたことだ。
特にアンジュは戦争が終わった後孤児院を開き、戦争で親を亡くしたこのためにすべてをささげている。
(勇気と愛と優しさ……。それを持つ人物になれるの……?)
そんなことを考えていると眠くなってきた。
やがてヴィクトリアは眠りについたのだった。
【ヴィクトリア……】
真っ白い空間にいると自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「誰……?」
訊くと真っ白い空間が晴れて目の前に大きな樹が見えた。点にそびえたつようにでかい。
【ようやく会えましたね。ヴィクトリア】
「なんで私の名前を……?」
【私はあなたが生まれた時から知っていますよ。私はあなたの成長を見ていたのです】
声は優しい声で言った。
「生まれたときから……?」
【ええ。あなたはもうすぐ真の力を開放します。ですが、あなたをつけ狙うものたちがいる……】
「第一王妃とその親族……」
【あなたが捕まってしまうと戦争になってしまう。それだけは避けたい。それに万が一戦争になってしまうとあの出来事が起きてしまう……】
声は悲しそうに言った。泣いているように思えた。
泣かないで。そう言いたかった。
【お願いヴィクトリア。私のところまでたどり着いて。奴らに捕まえる前に……。そうすればあなたは大丈夫だから……】
「どうして私を心配してくれるの……?」
【それはね。あなたのことが大好きだからよ……】
その声を最後にヴィクトリアは目を覚ました。
「夢……」
ベッドの上で呟いた。
そのままぼ~としているとドアをノックする音が聞こえた。
「ヴィクトリア。ご飯だってさ」
扉の向こうからルイボスの声が聞こえた。
「うん、今行くわ」
ヴィクトリアは返事すると夢について考えた。
(夢に出てきた樹……。懐かしいのはなんで……?)
なんだか泣きそうだ。
「しっかりしなさい。ヴィクトリア。強くなるって決意したでしょ。こんなことで泣いてなんかいられないわ」
自分を叱咤するとヴィクトリアはドアを開けてルイボスのところに向かったのだった。
ヴィクトリアたちはビリーに連れられて聖ヴァイス教会に来ていた。この教会に街に入った時見た街のシンボルである白い時計塔がついている。
教会の中には黄金の髪の女性が描かれたステンドグラスがあった。羽をはやしていることから天使だと思う。
「そう言えばこの街の伝説について聞いたことがありますか?」
「いいえ」
ビリーに訊かれてヴィクトリアは首を横に振った。
「そうですか。では話して聞かせましょう。この街は天使に守護された街と言われています」
「聞いたことあります。天使、ヴァイスに守護された街、フルーラと」
ルイボスが頷いた。
「ええ。今から四百年前、この街は隣国に攻撃されました。アルセリアは貿易がかなめですからそこを攻撃すればとでも思ったのでしょうね」
「第七回アルセリア‐バーグル戦争ですね」
「かの有名なファルディスの戦いで有名な戦争だな」
グレイも頷く。
「ファルディスの戦いは確か黄金の乙女、アンジュが出てくるんだったよね」
「ええ。よく知ってますね。ルイボス。この街はバーグル王国の攻撃により敵の手に落ちるまであと一歩のところまで行きました。そのとき白い翼をはやした白く輝く乙女が現れ敵をあっという間に殲滅し、この街を救いました。その後もこの街が危機に陥るとこの白く輝く乙女が現れて救ったそうです。いつしかこの乙女は天使ではないかと言われるようになりました。だから天使、ヴァイス。ヴァイスはこの国の言葉で白を意味します。この街の門にも彫られていますよ」
「ああ」
ルイボスが頷く。この街に入るときに門に彫られているのを見た。
「天使、ヴァイス……」
ヴィクトリアは呟いた。
「面白いことに天使、ヴァイスは黄金の乙女、アンジュではないかともいわれています。彼女はこの街の出身ですし、時期も同じですしね」
ビリーはくすくすと笑った。
「黄金の乙女、アンジュにはなんか不思議な力でもあったっていうの?」
ルイボスが首を傾げる。
「ええ。彼女は
「
ヴィクトリアは驚いた。
「ええ。
「ありがとうございます」
ヴィクトリアはお礼を言った。
「では次行きましょうか」
「ああ」
「うん」
四人は教会を出て行く。その間ヴィクトリアは自分の前の光の子で頭がいっぱいだった。
(私以外の光の子……。どんな人たちだったんだろう……?)
ビリーの家に帰るとヴィクトリアは早速もらった本を開いた。
それをみて分かったことは彼女たちはとても勇敢だったこと、愛と優しさに満ち溢れていたことだ。
特にアンジュは戦争が終わった後孤児院を開き、戦争で親を亡くしたこのためにすべてをささげている。
(勇気と愛と優しさ……。それを持つ人物になれるの……?)
そんなことを考えていると眠くなってきた。
やがてヴィクトリアは眠りについたのだった。
【ヴィクトリア……】
真っ白い空間にいると自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「誰……?」
訊くと真っ白い空間が晴れて目の前に大きな樹が見えた。点にそびえたつようにでかい。
【ようやく会えましたね。ヴィクトリア】
「なんで私の名前を……?」
【私はあなたが生まれた時から知っていますよ。私はあなたの成長を見ていたのです】
声は優しい声で言った。
「生まれたときから……?」
【ええ。あなたはもうすぐ真の力を開放します。ですが、あなたをつけ狙うものたちがいる……】
「第一王妃とその親族……」
【あなたが捕まってしまうと戦争になってしまう。それだけは避けたい。それに万が一戦争になってしまうとあの出来事が起きてしまう……】
声は悲しそうに言った。泣いているように思えた。
泣かないで。そう言いたかった。
【お願いヴィクトリア。私のところまでたどり着いて。奴らに捕まえる前に……。そうすればあなたは大丈夫だから……】
「どうして私を心配してくれるの……?」
【それはね。あなたのことが大好きだからよ……】
その声を最後にヴィクトリアは目を覚ました。
「夢……」
ベッドの上で呟いた。
そのままぼ~としているとドアをノックする音が聞こえた。
「ヴィクトリア。ご飯だってさ」
扉の向こうからルイボスの声が聞こえた。
「うん、今行くわ」
ヴィクトリアは返事すると夢について考えた。
(夢に出てきた樹……。懐かしいのはなんで……?)
なんだか泣きそうだ。
「しっかりしなさい。ヴィクトリア。強くなるって決意したでしょ。こんなことで泣いてなんかいられないわ」
自分を叱咤するとヴィクトリアはドアを開けてルイボスのところに向かったのだった。