「くそ――っ！！」
　グレイは悪態をついた。
　悪態をつきつつ一人斬り捨てる。
　あれから別の橋を見つけ向こう側に渡った。
　渡って再び森の中に入ったまではよかった。
　しかし盗賊が出てくる出てくる。
　グレイは盗賊を斬り捨てつつ先へと急いでいるのだった。
　早くヴィクトリアたちに会いたいばかりに足が早まる。
　そんな時に限って盗賊は出てきてしまうのだ。
　おかげで昨日から一睡もしていない。
「邪魔だ！」
　そう言って盗賊の腹を斬る。
「ぐっ……」
　盗賊がうめく。そして倒れた。
　その動きのままグレイにとびかかってきた盗賊の腕を斬る。腕を切って体を斜めに斬った。盗賊は何が起こったか分からずに倒れた。
　残りは三人だった。
　三人の下には盗賊たちの死体の山があった。その数八。
「さてと……」
　グレイはそう呟くと剣を構えなおした。
「時間がないんでちゃっちゃとやらせてもらうよ」
　一人目の首を斬り、二人目を縦に一閃、三人目はお腹を切った。
　数秒後には盗賊たちは崩れ落ちた。
「じゃあな……」
　グレイはそう言うと盗賊たちの死体の山を後に先を急いだ。
「ヴィクトリア……ルイボス……」
　二人の名前を呟く。
　やがて白いぽかっりとした空間を見つけた。
「出口だ……」
　あの先には街がある。きっとそこに二人はいる。
　そう思って森を早足に抜け出た。
　その数分前に金髪の少女と茶色の髪の少年の二人組が街の門をくぐり抜けたのだった。