ルミエーラ
5.変わりたい
「はあはあはあ……」
長距離を走ったみたいに息が切れていた。
川に落ちた後、ヴィクトリアはルイボスとともに流れてきた大木にしがみついた。大木が運よく川にはみ出ていた岩にぶつかったため岸に上がることができた。
「助かった……! 」
ヴィクトリアはほっと息をついた。
「君の力のおかげだよ……」
こちらも息を切らしながらルイボスが言った。
二人は川岸で座り込んでいた。
「力? ……これも力なのね……」
自分とその味方に幸運をもたらす力。だから助かったのだろうか。ヴィクトリアはそう思った。
「さあ、フルーラに行こう」
そう言ってグレイが立ち上がって手を差し伸べてくる。
「グレイは? 」
「大丈夫。フルーラに行った方がグレイ伯父さんも見つけやすいよ。こんな森の中動作がしても見つかりにくいだろうしね」
「うん……」
戸惑いがちにヴィクトリアは手を握った。
二人は森の中をさくさくと歩いた。
「ねえ……」
ヴィクトリアがちらりとルイボスを見て言った。
「何」
「あなた私の事嫌いじゃなかったの? なんで助けてくれるの? 」
疑問に思っていたことを訊いた。
「別に嫌いじゃないんだ。ただ、自分のせいでとか自分がいなければっていう思考が嫌だったんだ。僕たちは君が不思議な力がなくても守った。なのに君は不思議な力が無ければ守ってもらえないと思っている。見ててイライラした。だからあんな態度を取っていたんだ」
「そうだったの……」
ヴィクトリアは呟いた。
二人はしばらく無言になった。
「私、変われるかしら……」
守られるだけの少女にはなりたくない。
「変われるよ」
そう言ってルイボスは笑ったのだった。
「はあはあはあ……」
長距離を走ったみたいに息が切れていた。
川に落ちた後、ヴィクトリアはルイボスとともに流れてきた大木にしがみついた。大木が運よく川にはみ出ていた岩にぶつかったため岸に上がることができた。
「助かった……! 」
ヴィクトリアはほっと息をついた。
「君の力のおかげだよ……」
こちらも息を切らしながらルイボスが言った。
二人は川岸で座り込んでいた。
「力? ……これも力なのね……」
自分とその味方に幸運をもたらす力。だから助かったのだろうか。ヴィクトリアはそう思った。
「さあ、フルーラに行こう」
そう言ってグレイが立ち上がって手を差し伸べてくる。
「グレイは? 」
「大丈夫。フルーラに行った方がグレイ伯父さんも見つけやすいよ。こんな森の中動作がしても見つかりにくいだろうしね」
「うん……」
戸惑いがちにヴィクトリアは手を握った。
二人は森の中をさくさくと歩いた。
「ねえ……」
ヴィクトリアがちらりとルイボスを見て言った。
「何」
「あなた私の事嫌いじゃなかったの? なんで助けてくれるの? 」
疑問に思っていたことを訊いた。
「別に嫌いじゃないんだ。ただ、自分のせいでとか自分がいなければっていう思考が嫌だったんだ。僕たちは君が不思議な力がなくても守った。なのに君は不思議な力が無ければ守ってもらえないと思っている。見ててイライラした。だからあんな態度を取っていたんだ」
「そうだったの……」
ヴィクトリアは呟いた。
二人はしばらく無言になった。
「私、変われるかしら……」
守られるだけの少女にはなりたくない。
「変われるよ」
そう言ってルイボスは笑ったのだった。