ルミエーラ
自身に危険が迫っていることも知らずにヴィクトリアはのどかな小道を歩いていた。
時々道端には露店が立ち並ぶ。
「のどかな道ね……」
「昼間はな。だが夜は危険だぞ」
グレイが脅す。
「ふ~ん。あ、あれ何?」
ヴィクトリアが指したのは丸いガラス細工のものだった。先っぽに銀色のチェーンがついている。
「ラルシュだ。持っていると幸運になれるというお守りさ。買うか?」
「うん!」
ヴィクトリアは水色の花模様が描いてあるラルシュを買ってもらうことになった。
「ありがとう!」
ヴィクトリアはお礼を言った。
「いいことあるといいな」
グレイは微笑んで言った。
二人は穏やかな道筋を進んでいく。
やがて大草原にたどり着いた。グリセア草原だ。
「うわあっ!大きな草原――!!」
ヴィクトリアは歓声を上げた。
こんな草原を見たことがなかったからだ。
「アルセリアは平らな土地だからな。草原も多い」
「そうなんだ~」
ヴィクトリアは感心した。
「さあ、早く行こう。暗くなるとやばいからな」
グレイはそう言ってさっさと歩いて行ってしまった。
「あ、待ってよ!」
慌ててヴィクトリアは後を追ったのだった。
草原を一時間ほど歩いたところで暗くなってきた。
「……危険だが、ここで野宿するか……」
グレイはそう言うと持ってきたテントを広げると枯草を集めて火をつけた。
ヴィクトリアもそれを手伝った。
日が完全に暮れるころにはシチューの香りが漂ってきた。
「ではいただきます」
持ってきたお皿とスプーンにシチューをよそって食べる。
「うん。うまいな」
グレイも満足そうだ。
お腹いっぱい食べると眠くなってきた。
うとうとと眠りについたヴィクトリアを見るとグレイは苦笑しながら毛布を掛けた。
「おやすみ。いい夢みなよ」
そう呟くと自分も眠りについたのだった。
事件はその三〇分後に起きた。
グレイは嫌な気配を感じて飛び起きた。
「何だ……!」
この感じは感じたことある。狼の気配だ。
ヴィクトリアを見ると眠っていた。
グレイは彼女を守るために携帯していた剣に手をかけた。
狼がだんだんと近づいてくる。今にもとびかかりそうだった。
その時だった。ヴィクトリアの体が光りを発し始めた。あたりが目もくらむような光で覆われた。
すると狼はおびえたのか後退し始めた。そして逃げて行ったのだった。
「これが光の子 の力……。どんなピンチも幸運に変えてしまう力……」
グレイはヴィクトリアの力を目の当たりにして驚いた。
この力を誰かのものにしてはいけない。漠然とグレイはそう感じたのだった。
時々道端には露店が立ち並ぶ。
「のどかな道ね……」
「昼間はな。だが夜は危険だぞ」
グレイが脅す。
「ふ~ん。あ、あれ何?」
ヴィクトリアが指したのは丸いガラス細工のものだった。先っぽに銀色のチェーンがついている。
「ラルシュだ。持っていると幸運になれるというお守りさ。買うか?」
「うん!」
ヴィクトリアは水色の花模様が描いてあるラルシュを買ってもらうことになった。
「ありがとう!」
ヴィクトリアはお礼を言った。
「いいことあるといいな」
グレイは微笑んで言った。
二人は穏やかな道筋を進んでいく。
やがて大草原にたどり着いた。グリセア草原だ。
「うわあっ!大きな草原――!!」
ヴィクトリアは歓声を上げた。
こんな草原を見たことがなかったからだ。
「アルセリアは平らな土地だからな。草原も多い」
「そうなんだ~」
ヴィクトリアは感心した。
「さあ、早く行こう。暗くなるとやばいからな」
グレイはそう言ってさっさと歩いて行ってしまった。
「あ、待ってよ!」
慌ててヴィクトリアは後を追ったのだった。
草原を一時間ほど歩いたところで暗くなってきた。
「……危険だが、ここで野宿するか……」
グレイはそう言うと持ってきたテントを広げると枯草を集めて火をつけた。
ヴィクトリアもそれを手伝った。
日が完全に暮れるころにはシチューの香りが漂ってきた。
「ではいただきます」
持ってきたお皿とスプーンにシチューをよそって食べる。
「うん。うまいな」
グレイも満足そうだ。
お腹いっぱい食べると眠くなってきた。
うとうとと眠りについたヴィクトリアを見るとグレイは苦笑しながら毛布を掛けた。
「おやすみ。いい夢みなよ」
そう呟くと自分も眠りについたのだった。
事件はその三〇分後に起きた。
グレイは嫌な気配を感じて飛び起きた。
「何だ……!」
この感じは感じたことある。狼の気配だ。
ヴィクトリアを見ると眠っていた。
グレイは彼女を守るために携帯していた剣に手をかけた。
狼がだんだんと近づいてくる。今にもとびかかりそうだった。
その時だった。ヴィクトリアの体が光りを発し始めた。あたりが目もくらむような光で覆われた。
すると狼はおびえたのか後退し始めた。そして逃げて行ったのだった。
「これが
グレイはヴィクトリアの力を目の当たりにして驚いた。
この力を誰かのものにしてはいけない。漠然とグレイはそう感じたのだった。