青き真珠

それから数日後――。
昴はテストから解放されてすっきりした気持ちで住宅街を歩いていた。
期末テストから終わった後の解放感を味わっていると空から光の玉が降ってきて昴にぶつかった。
「――――っ!」
昴が痛さに悶絶していると光が収束していった。
「箱?」
光の玉から姿を現したのは手のひらに乗るくらいの小さな箱だった。外見は赤く金細工がところどころに施されている。
不思議に思って昴は箱を拾ってみた。
「これ何なんだ?誰かの落し物か?」
昴がそう言ったときだった。
「うわっ!」
箱が光りだし昴の体の中に入っていってしまった。
「これ、俺の体の中に入ったのか?」
昴は箱が体の中に入っていると思うと気持ち悪くなってきた。
あまりの気持ち悪さに吐きそうになった時だった。
「おまえ!『ギャラクシア・ボックス』を持っているだろ!」
黒髪を一つにした少年が言ってきた。
「どうやらこの子の中にあるみたいね」
茶色の髪の少女が言う。
「へえ……。ではこいつをさらうか」
「ええ。」
昴は自分が危機的状況にあることを忘れて思わず胡乱な目で二人を見てしまった。
夏だというのに少年は黒いセーターにズボン、少女は白いセーターにズボンという恰好をしている。
暑くないのだろうか。
昴がそう考えていると二人は距離を縮めていた。
まずい!
さすがにそう思って昴は逃げ出した。
二人が追ってくる。
だが運動は苦手な昴だ。すぐに追いつかれてしまった。
「さあ、観念なさい!」
少女が昴の方に手を伸ばしてきた。
しかしその手が昴の腕を掴むことはなかった。
「ふぎゃっ!」
「のわっ!」
二人は悲鳴を上げた。
何者かが少女と少年の顔面を蹴り飛ばしたからだ。
「大丈夫?」
その瞬間昴は息をのんだ。
昴を助けてくれたのは太陽の恩恵を受けた腰まである金髪に海の深いところのような青色の瞳をもつ少女だった。
「おまえは!」
少年が金髪の少女をみて声をあげる。
「この人は渡さないわ。」
金髪の少女はそう言うとスクーターみたいなものを出して宙に浮かせた。
「乗って!」
昴はそう言われて少女の手を取ってスクーターみたいなものに乗った。
「行かせないわよ!」
昴をさらおうとした少女が銃を出して脅すがそれより早く金髪の少女が小型のバズーカみたいなものを出して撃った。
「ふぎゃっ!」
茶色の髪の少女は悲鳴を上げた。
「エルナト!」
少年が悲鳴を上げてエルナトに駆け寄った。
どうやら彼女は無事らしい。
金髪の少女が撃ったのは空気の塊だったのだ。
金髪の少女はそれを一瞥することもなく昴を連れてそこから去っていったのだった。
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