ルミエーラ
2.逃走
ヴィクトリアは黄色い水仙が咲き乱れる泉のほとりで休憩していた。
そこへ白馬に乗った立派な男の人が声をかけてきた。服は金色のボタンがついた青い上着に白いズボンをはいている。
「リーラへはどうやって行けばいいですか?」
「あっちへ行けばたどり着けますわ」
ヴィクトリアは茶色い髪に灰色のたれ目の男の人にドキドキしながら言った。どこかの貴族かしら?そう思った。
「ありがとう」
男の人はそう言うと去って行った。
「立派な人だったな……。でもあの男の人がつけていた印どっかで見たような……」
ヴィクトリアは男の人が胸につけていた剣がクロスしている印が気になった。
「グレイに訊けば分かるかも」
そう思うとグレイに訊くために家へと向かって行ったのだった。
ヴィクトリアが家へと向かって行った頃、さっき道を訊いた男の人はリーラの町へと向かう途中に仲間と合流した。
「で、どうでした?」
茶色の髪の男に訊いてくるのは黒髪に青い釣り目の男、ヴァンザス・クルクスだ。
「間違いない。あの子は王女様だ」
「あなたが言うなら間違いないでしょう。イアン・クローゼ」
ヴァンザスは満足そうに頷いた。
「さっそくヴェスター伯爵に報告だな」
「ええ」
イアンの言葉に頷くと二人は馬を早足で駆け巡らせたのだった。
「ただいま!」
ヴィクトリアは茶色のドアを開けて家の中に入った。
家の台所からグレイが顔をだす。
「ずいぶん早かったな」
「うん。なんか気になることがあって……」
紅い三人掛けソファに座りながらヴィクトリアが言った。
「気になること?何かあったのか?」
湯を沸かす手を止めてグレイが訊いた。
「うん……。あのね――」
ヴィクトリアは今日会った人についてすべて話した。
「ヴィクトリアが気になっているマークって言うのは剣がクロスしているものだったんだな?」
「うん」
ヴィクトリアが頷くとグレイの顔が険しくなった。
「で、奴はどんな風だった?」
「茶色の髪に灰色のたれ目。歳は二十七くらい?」
グレイの顔がますます険しくなった。間違いない。イアン・クローゼだ。自分の教え子の。
「そうか……。しばらく外に出るなよ?」
「なんで?」
「いいから」
有無を言わせない感じのグレイにヴィクトリアはしぶしぶと頷いた。
ヴィクトリアは黄色い水仙が咲き乱れる泉のほとりで休憩していた。
そこへ白馬に乗った立派な男の人が声をかけてきた。服は金色のボタンがついた青い上着に白いズボンをはいている。
「リーラへはどうやって行けばいいですか?」
「あっちへ行けばたどり着けますわ」
ヴィクトリアは茶色い髪に灰色のたれ目の男の人にドキドキしながら言った。どこかの貴族かしら?そう思った。
「ありがとう」
男の人はそう言うと去って行った。
「立派な人だったな……。でもあの男の人がつけていた印どっかで見たような……」
ヴィクトリアは男の人が胸につけていた剣がクロスしている印が気になった。
「グレイに訊けば分かるかも」
そう思うとグレイに訊くために家へと向かって行ったのだった。
ヴィクトリアが家へと向かって行った頃、さっき道を訊いた男の人はリーラの町へと向かう途中に仲間と合流した。
「で、どうでした?」
茶色の髪の男に訊いてくるのは黒髪に青い釣り目の男、ヴァンザス・クルクスだ。
「間違いない。あの子は王女様だ」
「あなたが言うなら間違いないでしょう。イアン・クローゼ」
ヴァンザスは満足そうに頷いた。
「さっそくヴェスター伯爵に報告だな」
「ええ」
イアンの言葉に頷くと二人は馬を早足で駆け巡らせたのだった。
「ただいま!」
ヴィクトリアは茶色のドアを開けて家の中に入った。
家の台所からグレイが顔をだす。
「ずいぶん早かったな」
「うん。なんか気になることがあって……」
紅い三人掛けソファに座りながらヴィクトリアが言った。
「気になること?何かあったのか?」
湯を沸かす手を止めてグレイが訊いた。
「うん……。あのね――」
ヴィクトリアは今日会った人についてすべて話した。
「ヴィクトリアが気になっているマークって言うのは剣がクロスしているものだったんだな?」
「うん」
ヴィクトリアが頷くとグレイの顔が険しくなった。
「で、奴はどんな風だった?」
「茶色の髪に灰色のたれ目。歳は二十七くらい?」
グレイの顔がますます険しくなった。間違いない。イアン・クローゼだ。自分の教え子の。
「そうか……。しばらく外に出るなよ?」
「なんで?」
「いいから」
有無を言わせない感じのグレイにヴィクトリアはしぶしぶと頷いた。