青き真珠

13.そこから始まる

あれからリゲルをはじめとする一味は逮捕された。
 長い裁判が始まるだろうが協定を無視したのだし長い懲役の刑が科せられるのは間違いないだろう。
「……これで全部終わりか……」
 感慨深そうに昴が言った。
「ええ。これであなたを狙うものはいなくなるはずよ。今度協定が結ばれるの」
 スピカも頷く。
「……今回のことで宇宙人の存在が地球に知れ渡ったものな。忙しくなるだろうな……」
「そうね。でもおかげで資源不足が少しは解消されるかも。地球から輸入すればいいしね……」
「なるほど……。でも大変だな……」
 そう言って昴は笑った。
 スピカの心臓がドキンとなった。
(やっぱり、私昴のことが好きなのかも……)
 そう思いながら歩いていると前方に人がいた。
 昴が立ち止まる。
「父さん……」
 昴が呟く。
 そこにいたのは昴の父、誠一だった。

スピカが二人きりになるように取り計らい二人はビルの屋上にいた。
「今まですまなかった」
 二人きりになると誠一は謝った。
「別にいいよ……。ただ、母さんを傷つけたことに対して何の罪悪感も感じていなかったことが嫌だっただけで……」
「お前は弟の存在が嫌だったのか……?」
 誠一の問いに昴は首を横に振った。
「あいつは……北斗は……俺のかわいい弟だよ。ただ、少し複雑な思いも抱くけどね……。基本は可愛いよ。あいつには何の罪もないし……。」
「そうか……」
 二人は黙り込んだ。
「私はお前の気持ちを考えてなかったんだな……。当時のお前が傷ついていることにさえ気づかなかった」
「謝ってくれたんならいいよ。だけど許すわけじゃない」
「お前は心が広いな……。時間はたっぷりある。これからいっぱい話そう……」
「うん……」
 昴は頷いて微笑んだ。
 父親に対する複雑な思いはなかなか解けそうになかったがもう話すことに抵抗などなかった。
 二人は話をしなかった時間を埋めるように色々な話をした。将来の夢や学校の事、普段の暮らしぶりなど……
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