青き真珠

「カリスト!?」
 リゲルは驚愕した。
 光がおさまったらその場にはカリストがいた。
「よみがえったのか……?」
 呆然とした様子で言ったリゲルにカリストは首を横に振った。
【違う。私は昴の力を借りて一時的にこの世に来ただけ……。蘇ったわけじゃない】
 そして彼女はまっすぐリゲルを見た。
【私はあなたに言いたい事があってここに来ました】
 リゲルもまっすぐカリストを見る。
【どうか、私を蘇らせるなんて馬鹿なことをやめてください。多くの人の命を使ってまで私はこの世に蘇りたくない】
「な……」
 リゲルが絶句する。
【どうか過去を受け入れて前に進んで。……お父さま……】
 カリストはおとうさまと呼んだ。
「夢で何度もあったな」
 昴がカリストに言った。
【ええ。お父さまを止めようとしてくれてありがとう。昴。そしてスピカ、あなたに会えて良かった】
「私もまた会えてうれしい……」
 スピカが泣きそうな顔で言った。
【さあ。お父さまを止めましょう……】
「どうやって……?」
 二人は顔を見合わせた。
【昴とスピカ、ふたりが力を合わせて祈るの。そうしたら『ギャラクシア・ボックス』の力が働いてお父さまを止めることができるわ】
「分かった」
「うん」
 二人は頷くと手をつないで目を閉じた。
 すると二人の身体が青く輝いた。
 手から青い光線が出るとリゲルにぶつかる。
「うわああああああっ!」
 リゲルが悲鳴を上げると体から青い光が出ていき始めた。
「カリスト……私は……私は……」
 リゲルが呟く。
【どうか私がいなくても幸せに……】
 カリストがそう言ってほほ笑む。
「ただ、おまえと生きたかっただけなのに……」
 彼が意識を失う前に見たのはカリストの微笑みだった。
 部屋中が光で満たされる。
 光がおさまると後には気絶したリゲルと消えかけているカリストがいた。
【どうか幸せになって……】
 カリストはリゲルに向かってそう言うと消えていった。
「終わったのか……?」
 昴が呟く。
「みたいね……」
 スピカが頷く。
 自分たちの方に駆け寄ってくるポラリス姫たちを見ながらスピカはやっと終わったと思った。
(これで、全部終わった……)
 光をスピカが照らす。
(まぶしいな……)
 素直にそう思った。
42/46ページ
スキ