青き真珠

スピカはワープホールから出た。目の前には青く美しい星、地球と地球の衛星、月があった。
『すごいな。『青き真珠』と褒めたたえられる理由がわかる気がする』
 ドゥーベが感心したように言った。
『感心するな!我々の仕事は昴の救出だ。他のことに気を取られるな!』
 デネブがすかさず叱責する。
『隊長。敵が!』
 アルタイルが敵を知らせる。
『分かった。各自気をつけろ!』
『了解!』
 みんな一斉に砲弾をよける。そしてすかさず攻撃する。
「待ってて!昴!」
 スピカはそう叫ぶと一気に突っ込んでいった。砲撃が来るがすべてよける。そして目の前の敵機をロックオンする。ボタンを押すと桃色の光線が戦闘機から出て敵機が落とされた。
「これで一機……」
 スピカはそう呟くと右からくる敵機と左からくる敵機をぎりぎりのところでよけ二機を衝突させた。
「まだまだ……」
 スピカの戦闘はまだまだ続く。
 その頃昴は力を吸い取られていた。
「スピカ……」
 スピカを心配して力を使った。すると彼女がこの周辺に来ていることを知る。
(スピカ……?俺を助けに来たのか……?)
 彼女は華麗に空を舞って戦闘機を撃墜させていっている。
 それを美しいと昴は感じた。
(スピカ、俺はここだ……)
 昴は心の中で自分の居場所を念じた。
 スピカに届くように祈りながら。そして体が光り強く光り始めた。
 その光は部屋を満たしていったのだった。
 ――スピカ、俺はここだ……。
「昴?」
 スピカは昴の声が聞こえたような気がしてあたりを見回した。
 目の前にはいくつもの大きな戦艦が見える。
(昴はあの中に絶対いる)
 スピカはそう確信を持った。
 やがて戦艦のうちの一部屋が光り始めた。ひときわ大きい戦艦だ。その光はすぐに消えたがそれで十分だった。
『デネブ隊長!昴の居場所がわかったわ!』
 スピカは叫んだ。
『どうして分かったのです?』
 デネブが答えるより先にアルタイルが怪訝そうに訊いた。
『昴が教えてくれたの!』
『昴君が……』
『二人にはなんか絆があるんだろう。よしスピカ。他の隊の連中が来たら行け。俺たちが道を開く』
『分かった』
 スピカはデネブの言葉に頷いた。
『それまでみんな頑張るんだ!』
『あいよ!』
『了解だ!』
 みんなそれぞれ返事をする。
 やがてワープホールが現れ始めた。他の隊の人が来たのだ。
『よし!行け!スピカ!』
 スピカはひときわ大きい戦艦を目指して飛んでいった。迎え撃つ戦闘機は隊のみんなが撃墜してくれる。
「はああああああっ!」
 戦闘機の弾丸で戦艦に穴を開ける。そこからスピカは戦闘機ごと入り込んだ。戦闘機を降りてスピカは次の部屋に行く。
(待ってて!昴!)
 守りたいものを助けに行くためにスピカは走り続けるのだった。
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