青き真珠
【おねがい。あの人をお父さまを止めて……!】
悲痛な顔でカリストが言う。
【私のためにそんなことしなくていいから……。そんなの望んでいない……】
そう言ってカリストは泣いた。
泣くな。そう昴は言いたかった。
従妹なだけあってカリストはスピカにどこか似ているところがある。だから彼女の泣くところは見たくなかった。スピカが泣いているようで。
(スピカ……)
スピカのことを思ったところで辺りが真っ白になった。
昴は目を覚ますと同時に頭痛を感じた。
あたりを見回すと昴が寝かされている簡易なベッドが置いてあるだけだった。
「俺……」
昴は自分がミラたちに連れ去られてから意識を失ったことを知った。
「目が覚めたかね。昴君」
「お前は……!」
昴はリゲルを睨み付けた。後ろには初老の男性がいる。
「私のことは知っているだろうが紹介しておこう。私はリゲル。リゲル・シュトラウト。後ろにいるのはベテルギウスだ」
ベテルギウスが頭を下げる。
「さて、昴君。私に協力してもらおう」
「断る!俺は故郷を危険にさらすなんて御免だ!」
昴は叫んだ。
「やれやれ。別に私は君の故郷を征服しようなんて思わないよ。ただ、私のために役立ってもらうがな……」
「あんたの目的って……」
思わず聞いてしまった昴をちらりと見るとリゲルは一言言った。
「来なさい」
昴は仕方なしについていった。
ついていった先には一枚の絵があった。一人の少女が描かれている。
銀髪に青い瞳の少女――カリストだ。夢で会っているから知っている。
「彼女は私の娘、カリスト」
愛おしいものを見るような目でリゲルは言った。
「だがあの子はいなくなってしまった。もう二度とこの手に戻らないと知った私の絶望がわかるかね?」
事故のことだと思った。
「だから私は私のすべてを賭けてあの子を取り戻して見せる。そのためなら何でもすると決めた。だから私は『ギャラクシア・ボックス』を狙っているのだ」
「そんなことが可能なのか?」
死者の蘇生なんて
「ああ。たくさんの魂と大きな力があればね」
そう言ってリゲルはにやりと笑った。
「たくさんの魂って……」
昴は嫌な予感を覚えた。それって人が大勢死ぬことでは?
「たくさんの魂を集めるには戦争を起こす必要がある。だから『ダークマター』をつくり困っている星の代表者たちをけしかけて地球を征服させようとした。それを止める勢力が出てくるだろう。その代表格といえば『COSMOS(コスモス)』だ。戦争になるな……」
「あんた……」
くるっている。昴はそう思った。
人一人のために多くの人を犠牲にしていいわけがない。
それにそんなことで昴の愛する星、地球を巻き込まれてたまるものか。
「あんた、くるっているよ」
「それは君の意見だろう。私はただ愛するカリストを取り戻したいだけなんだよ。さて、君にはもう少し眠ってもらおう」
リゲルはそう言うと手刀を落とした。
それで昴は気絶してしまった。
「エルナト、アルデバラン。こいつを部屋に」
「了解」
「どうなさるおつもりです?」
エルナトがリゲルに訊いた。
「どうやら『ギャラクシア・ボックス』はこいつとどうかしているらしい。それにこいつの意志で力が自在に使える」
「では洗脳するおつもりで?」
「いや」
アルデバランの問いをリゲルは否定した。
「洗脳するのはたやすいが意志が何かの拍子で目覚めないとも限らないからな。だからあの機械を使う。ベテルギウス。エウロパ博士のところに行って機械の起動を命じろ」
「了解しました」
ベテルギウスは一礼すると部屋を辞した。
「さあ、ふたりとも行くんだ」
エルナトとアルデバランもお辞儀をすると意識のない昴を連れて部屋を辞した。
「カリスト……。もうすぐお前を……」
リゲルはそう低く呟いたのだった。
悲痛な顔でカリストが言う。
【私のためにそんなことしなくていいから……。そんなの望んでいない……】
そう言ってカリストは泣いた。
泣くな。そう昴は言いたかった。
従妹なだけあってカリストはスピカにどこか似ているところがある。だから彼女の泣くところは見たくなかった。スピカが泣いているようで。
(スピカ……)
スピカのことを思ったところで辺りが真っ白になった。
昴は目を覚ますと同時に頭痛を感じた。
あたりを見回すと昴が寝かされている簡易なベッドが置いてあるだけだった。
「俺……」
昴は自分がミラたちに連れ去られてから意識を失ったことを知った。
「目が覚めたかね。昴君」
「お前は……!」
昴はリゲルを睨み付けた。後ろには初老の男性がいる。
「私のことは知っているだろうが紹介しておこう。私はリゲル。リゲル・シュトラウト。後ろにいるのはベテルギウスだ」
ベテルギウスが頭を下げる。
「さて、昴君。私に協力してもらおう」
「断る!俺は故郷を危険にさらすなんて御免だ!」
昴は叫んだ。
「やれやれ。別に私は君の故郷を征服しようなんて思わないよ。ただ、私のために役立ってもらうがな……」
「あんたの目的って……」
思わず聞いてしまった昴をちらりと見るとリゲルは一言言った。
「来なさい」
昴は仕方なしについていった。
ついていった先には一枚の絵があった。一人の少女が描かれている。
銀髪に青い瞳の少女――カリストだ。夢で会っているから知っている。
「彼女は私の娘、カリスト」
愛おしいものを見るような目でリゲルは言った。
「だがあの子はいなくなってしまった。もう二度とこの手に戻らないと知った私の絶望がわかるかね?」
事故のことだと思った。
「だから私は私のすべてを賭けてあの子を取り戻して見せる。そのためなら何でもすると決めた。だから私は『ギャラクシア・ボックス』を狙っているのだ」
「そんなことが可能なのか?」
死者の蘇生なんて
「ああ。たくさんの魂と大きな力があればね」
そう言ってリゲルはにやりと笑った。
「たくさんの魂って……」
昴は嫌な予感を覚えた。それって人が大勢死ぬことでは?
「たくさんの魂を集めるには戦争を起こす必要がある。だから『ダークマター』をつくり困っている星の代表者たちをけしかけて地球を征服させようとした。それを止める勢力が出てくるだろう。その代表格といえば『COSMOS(コスモス)』だ。戦争になるな……」
「あんた……」
くるっている。昴はそう思った。
人一人のために多くの人を犠牲にしていいわけがない。
それにそんなことで昴の愛する星、地球を巻き込まれてたまるものか。
「あんた、くるっているよ」
「それは君の意見だろう。私はただ愛するカリストを取り戻したいだけなんだよ。さて、君にはもう少し眠ってもらおう」
リゲルはそう言うと手刀を落とした。
それで昴は気絶してしまった。
「エルナト、アルデバラン。こいつを部屋に」
「了解」
「どうなさるおつもりです?」
エルナトがリゲルに訊いた。
「どうやら『ギャラクシア・ボックス』はこいつとどうかしているらしい。それにこいつの意志で力が自在に使える」
「では洗脳するおつもりで?」
「いや」
アルデバランの問いをリゲルは否定した。
「洗脳するのはたやすいが意志が何かの拍子で目覚めないとも限らないからな。だからあの機械を使う。ベテルギウス。エウロパ博士のところに行って機械の起動を命じろ」
「了解しました」
ベテルギウスは一礼すると部屋を辞した。
「さあ、ふたりとも行くんだ」
エルナトとアルデバランもお辞儀をすると意識のない昴を連れて部屋を辞した。
「カリスト……。もうすぐお前を……」
リゲルはそう低く呟いたのだった。