青き真珠

「昴君が……」
 フォーマルハウトが深刻な顔で言った。
 部屋の中にはスピカが所属する隊のメンバーとタイタン、カロンがいた。
「ええ。ミラとプロキオンとアンタレスの三人がかりで……。昴は私を人質にとられて力を使えなかったの……」
 スピカはうつむきながら言った。
「よりによってその三人かよ……」
 カノープスがうめく。
「それにしても三対一は卑怯すぎです」
「ええ。本当に卑怯です」
 ポルックスとカストルが怒りをあらわにする。
「カロン。位置は特定できたか?」
 フォーマルハウトが機械をいじっているカロンに訊く。
「ええ。太陽系第三惑星、地球周辺にいますね」
「……奴らとうとう動き出したか……」
「本気なのだな……」
 フォーマルハウトとタイタンがうなる。
「どういうこと?」
 話の内容にスピカはついていけなかった。
「昴君に発信器を持たせておいたんだよ」
「ああ!それで位置がわかるのね!」
 スピカは感心した。
「万が一のためにね。でも使う日が来るとは思わなかったな……」
 その言葉にみんな黙り込んだ。
「司令。俺たちは何をすればいい?」
 デネブが隊長として訊いた。
「位置は特定できた。デネブ隊には昴君の救出を任じる。他の隊はリゲルたちの気をそらす役割だ」
「昴君の救出……。重要ですね」
 アルタイルが難しい顔で言った。
「ああ。でもそれは俺たちを信頼してのことだ」
「そうですね」
「よし。お前ら出撃は三〇分後だ。各自準備を怠るな!」
「「「了解!」」」
 デネブの声にみんな敬礼をした。
 『COSMOS(コスモス)』が動こうとしていた。
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