青き真珠

2.ギャラクシアボックス

リゲルたちによる話し合いから一か月後、地球に大量の流星が降り注いだ。
それに紛れて一機の宇宙船が宙圃そらほ町付近にある湖に着陸した。
「ふう。ここか?『ギャラクシア・ボックス』があるというのは」
黒髪を低い位置で髪を一つにくくった灰色の瞳を持つ少年が言った。
「そのようね。この探知機をみるとここに反応があるようだわ」
茶色の髪を肩の位置で切りそろえている少女が探知機を見ながら言った。
「さて、どうする?エルナト?」
「決まっているでしょ。アルデバラン。」
エルナトと呼ばれた少女は眼鏡越しの茶色い瞳をアルデバランに向けた。
「反応があるならこのあたりを探すのよ。」
「そうだな。だがその必要はなさそうだぜ。あれを見ろ」
アルデバランは湖の真ん中を指さした。あのあたりの水が光っていた。
「湖の中にあるのね。アルデバラン。」
「おうよ。」
アルデバランはそう言うと宇宙船を動かした。すると湖の上を宇宙船が滑っていく。
「さていただくわよ。『ギャラクシア・ボックス』を」
エルナトがそういって湖の中に手を突っ込もうとした。
その時、湖の上に光に包まれた箱が出るとどっかに飛び去ってしまった。
「しまった…!」
エルナトが焦った顔で言った。
「ぐずぐずしていないで早く探すぜ。さもないとリゲル様に怒られてしまうからな」
「分かっているわよ。もう!早く宇宙船を岸へ!」
エルナトの声に急かされるようにアルデバランは宇宙船を岸へつけた。そして二人はとっとと湖をかこっている森の中から出たのだった。
それから二〇分後――。
エルナトたちとは違う宇宙船が湖に着陸した。中から現れたのは見事な金の髪を持つ少女だった。
少女は湖に浮かんでいる宇宙船を見て顔を険しくした。
「あいつらが来ているのね。急がないと。」
だが、そこで少女はふと思案するような顔をした。
「でも『ギャラクシア・ボックス』はまだ手に入れていないみたい。来てたらとっとと帰っているはずだもの。だからと言ってちんたらしていいわけじゃないわ。早くしないと『青き真珠』が危ないわ」
少女はそれだけ言うと急いで宇宙船から出て湖から出て行ったのだった。
後には二機の宇宙船と痛いほどの静寂が湖に残されたのだった。
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