青き真珠

10.危機

ポラリスと話をして何週間も過ぎた。もうすぐ地球では夏休みが終わるところだ。
「もうすぐ夏休みが終わるな……」
 昴はぽつりと呟いた。
 自分はいつまでここにいればいいのかわからないでいた。
「昴。ごはん食べましょう」
 スピカが誘ってくる。
「ああ」
 昴は頷くと慣れた食堂への道を歩いて行った。
「昴。ここでの生活には慣れましたか?」
 ポルックスが訊いてくる。
「ああ。おかげさまで」
「そう。よかったです。ね?カストル」
「ええ。それは何よりです」
 カストルも頷く。
「そういえば昴はお姉ちゃんのこと可愛いとは思わない?」
 カペラが興味津々で乗り出してくる。
「え?そりゃ可愛いとは思うけど……」
 そう言って昴は微笑んだ。
 それを見てスピカが真っ赤になる。
「ほう……」
「やるね……」
「へえ……」
 アルビレオとプレオネとシルマがにやりと笑った。そんな三人を見てコル・カロリとカーラが苦笑する。
「へえ~。そうなんだ~!!昴がお姉ちゃんと結婚してお兄ちゃんになってくれたらいいのに」
「カ、カペラ!?」
 ますますスピカが真っ赤になる。アルビレオ達の笑みが深くなりデネブとアルタイルは興味津々。カストルとポルックスとドゥーベも無関心を装って聞き耳を立てていた。
「だって~。昴って童顔だけどよく見るとかっこいいし~。お兄ちゃんになってくれたらうれしいなって!」
「もう~。お姉ちゃんをからかわないの!……嫌じゃないけど……」
 スピカがむくれる。
「ほう~。嫌じゃないのか~」
「ついに本音が出たな」
「照れ屋さんなんだから」
「これからどうなるのかな~」
 食堂中の視線がスピカと昴に集まる。
 スピカはいたたまれなくなって昴を連れて食堂を出たのだった。
「しっかり昴を連れているところからして本音がバレバレだと思うけどな~」
 にやにやしながらプレオネが言った。
「今回ばかりはあんたに賛同するよ」
 プレオネと衝突することが多いシルマも頷く。
「あとはあの二人次第なんだろうな~」
 カノープスはそう言うとカレーをかっ込んだのだった。
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