「美結花♪　たい焼き食べに行こう！」
放課後、小枝が笑顔で美結花を誘いに来る。
「たい焼き？　いいけど……」
「うん！　彩も誘ったの。早く行きましょう！　たい焼きが私を待っている」
「こら！　小枝。美結花が困っているでしょうが」
彩が小枝の頭を叩く。
「イタッ。何するのよ……。彩」
小枝が涙目で彩に抗議する。
「ん～～？　美結花が困っているみたいだから。あと、たい焼きは逃げないわよ」
「売り切れちゃうかもしれないでしょ？　そう！　たい焼きは美味しいの！」
「小枝は食いしん坊なんだから……。ほら、早く準備をすること。そうしたら早く行けるでしょ？」
「はあい」
小枝はもくもくと帰る準備をする。
「彩は本当に面倒見がいいんだね。小枝のお姉さんみたい」
「ええ～？　あんなうるさいお姉さん嫌だよ～」
「私も手のかかる妹の面倒をみるなんてまっぴら」
そう言いつつも二人は本気で言っていないのが分かる。
（羨ましいな……）
あんなふうに仲のいい関係を築いていきたいと思った。