「処分って何！？」
自分は成人検査を受けにきたはずだ。なのにどうしてこんなことになっているのだろうか。話が違うと狼狽えた。
相手はすでに銃を構えていた。照準はリリナだ。
《左に走って！サポートします》
うろたえていると声が聞こえた。
「撃て！」
何者かがリリナに向かってきた銃を緑のシールドで防いでくれた。
リリナは保安部の人がうろたえている内に言われたとおりに走った。
やがてフェンスで道がふさがれた。
《ジャンプして！》
リリナはフェンスを越えて跳んだ。
すると小型の飛行艇がリリナを受け止めてくれた。
《乗って！》
栗色の髪をした女性が手を差し伸べながら言った。いや言うというのは語弊がある。頭に声が響いてくるのだ。
リリナは戸惑いながらも乗った。それしか生き残る道がないと思ったのだ。
保安部隊の人は戸惑いながらも銃を撃つ。仕事はまっとうしているのだ。
《捕まっててくださいね……！》
小型の飛行艇は空の彼方へと飛んでいった。

空の彼方にあるシャングリラと呼ばれる船の中で銀髪の女性がベッドに横たわっていた。
《リリナがもうすぐ来る……》
嬉しそうにセレーネは言った。
喋るのがつらいのか思念派を使っている。
「そうですね。でも、安静にしていて下さいね。あなたは力を使いすぎたから……」
ジョミーが気遣わしげに言った。
《もう……。みんな同じことを言う》
「あなたが大事だからですよ」
すねたようなセレーネをかわいらしく思ったのかジョミーは言った。
《ねえ、ここでしばらくリリナの話を聞かせてよ》
「……いいですよ」
ジョミーは迷ったが、頷いてベッドのそばに置いてある椅子に腰かけた。
しばらく二人はリリナの話をリオが来るまでしていた。